98E81B96-2857-4842-A31E-EE70FB013A7A

◯ 公認心理師は文科省・厚労省のPDCAサイクルにコミットできるか?

産業現場、経営学などで使われているPDCAサイクル概念はあらゆる場面に行き渡っていて、心理職が働いている5領域全てにPDCAは関連していると言えます。

文部科学省、厚生労働省のサイトを見ると特に重視されていますし、矯正現場でも必要な概念だと思います。

元々統計的な品質管理を行う現場で使われてきた言葉なのですが、Plan(計画)Do(実施)、Check(点検)Act(処置)が語源です。

例えば教育現場だと、朝ごはんを食べる活動のプランニングをして啓発のためにおたよりを書いたり家庭訪問で啓蒙を実施します。

さて、朝ごはんを子どもが食べるようになったか、その結果として授業への集中度が増したかを点検します。

そしてさらに効果を上げる余地があれば、さらにPTA講演会に管理栄養士さんを呼んで講義をする、など手を尽くしてみます。

PDCAサイクルの最後のAをSにしてPDCS、S=Study、研究とする考え方もあります。

医療、産業も効率的に健康診断を行い、その結果としてメンタルヘルス不調者への手当てをPDCA的にできたら役立つでしょう。

果たして公認心理師制度はこういったPDCAサイクルの一員として、有効な結果を出す、コミットメントすることができるのでしょうか。

効率的でない作業システムがメンタルダウンする社員を作る原因ならば心理職はPDCA分析をしてその改善をアドバイスできます。

精神障害者雇用がうまくいかないのはなぜか?児童福祉制度をもっと効果的にするにはどうしたらいいか?

もちろん行政サイドで考えなければならないこともあるわけですが、現場の心理職はクライエントさん、場合によっては働く現場でのメンタルヘルス施策を任されている場合も多いでしょう。

だからどうしても心理職の方々はマネジメントをしなければならない場面が多いと思うのです。

PDCA概念はあらゆる領域で有効です。

伝統的に心理職はプランニングが弱いと言われてきました。

これが看護師なら、研修中に看護計画をきちんと立てられなかったら上司から大目玉を食らいます。

福祉でも対象者のケアプランは大切で、ケアマネさんが作ったブランに心理職が加わります。

ただ唯々諾々と言われたとおりにチーム内の仕事を心理職がこなしていればいいわけではありません。

プランニングは短期的、中期的、長期的視点から行われます。

リワーク、復職支援が典型的ですが、来週まではこういう風に、1カ月後、3カ月後、1年後と計画を立てます。

そこにPDCAサイクルは大きくかかわってくるので計画を立てます。

クライエントさんは思ったとおりにならないことが多いです。

カウンセラーが過剰に期待していなくても、高い要求水準をクライエントさんが持っていれば、うまく行かなかった際にクライエントさんはがっくりとします。

じゃあ出たとこ勝負で計画なしにやろう、というわけでなく、A案がダメならB案、C案・・・と果てしなくプランニングをする、コミットメントをして結果を出すことを心理職は求められるわけです。

「こういう方法でも大丈夫なんですよ」と笑顔でカウンセラーが言ったらクライエントさんはほっとします。

心理職の人たちはいつもすごく真面目だなあとぼくは思うのですが、どの教科書にも書かれていないことが現場では多すぎます。

この流派の勉強をしました、研究会に出ました、だからいいカウンセラーになれるかというとそういうわけではありません。

元乃木坂46の中元日芽香さんが行っているカウンセリングを記事にしたことがありましたが、

何かを押し付けてしまう(その流派のやり方、クライエントさんが認めていない認知)カウンセリングは求められていないカウンセリングです。

中元さんは当初から求められているというアドバンテージが強いのでそのサービスが成り立っているわけです。

心理職はさまざまな言葉で治療同盟を結ぶための信頼感、その獲得を大切にしているのですが、それは経営学的、マーケティング理論からも説明がつく概念です。

専門外と思っていたのですが勉強してみたら目からウロコでした。

まずマーケティングでは返報性の原理Reciprocityを大切にします。

カウンセリングにきてこういういいことがあったという価値観を強くクライエントさんに持ってもらうこと。

そして社会的証明Social Proof、他者にそれは支持されているのか?

大勢の支持を受けていてもそれは「みんながそうしているから自分もそうする」という価値判断の基準になっています。

またはカウンセラー1人だけでも説得力を持ってクライエントさんにそう信じてもらえらばいいのですが、とても難しいことです。

「みんな生きたいと思って生きているのですから、あなたも生きるべきです」

というのは社会的証明になりません。

「あなたが辛くて死にたいというほどの気持ちになっているのは置かれている境遇からよくわかりますから、どんな感じ方や考え方になっても私はあなたのことを否定しませんよ」

これはクライエントさんに対してはたった1人から認められたひとつの社会的証明になるでしょう。

マーケティングでは権威Authorityも重視していますが、「私はこんなに偉い」とスラッシュ名刺や学位証明書を飾ることがいいわけではありません。

(クライエントさんより優位性があるという負の相補性が出現してカウンセリングが崩れる可能性もあります。)

心理教育の立場で、「厚生労働省のガイドラインでは復職者にはこういう仕事内容がふさわしいとされているので焦らないでくださいね」

と権威を持ち出すことも有用かもしれません。

産業現場では厚生労働省の名前を言っても「ふーん」と特になんということもないことが多いので、「本社部長がこういう風にしてくださいと言っています、社長も了解しています。◯◯課長ならうまくやってくれると期待しているようです」

と権威はひけらかすのでなく、コンプリメント(賞賛)とセットにして「理解ある素晴らしい上司と課長は褒められているんですねえ」

とか、クライエントさんに対しては

「いや、無理せず復職プログラムに参加していることは評価されていて、頑張りすぎないように課長が心配しているんですよ。」

など権威は外から借りるとうまくいくようです。

心理職の人が自分が論文で読んだデータ(それはかなり信用されることも多々ありますが)だけでなく、内部の権威を借りることも大切です。

医師と心理職のコンビネーションがうまくいっていると診察の際に「うん、心理のひなたがよくやってくれているみたいだね」

という権威を与えてくれるとカウンセリングはスムーズになります。

マーケティングでは本当に単純な概念ですが、好意Likingも重視しています。

カウンセリングが来院するついでにどうしても受けなければならないものになっていないか、苦行になっていないか検証します。

そうなっていることも多いかもしれないのです。

カウンセリングの必要性があるのに来たがらない人を説得するのは難しいことです。

社会的証明、権威と相反するようですが

希少性Scarcityもマーケティングでは大切な概念です。

そしてここが心理職としての持ち味を発揮できる最大のポイントです。

「あなたの障害にもっとも効果的な心理療法を習得しています」

「誰よりもあなたにとって親身になって、カウンセリングに来ている1時間のほか、1週間の167時間を豊かにしたいですし、できます」

これをそのまま言葉にして言うと?あゃしぃ、となるので、「来週までの宿題ですかね」と柔らかに言う心理職の人は多いでしょう。

心理職も考えてみると5領域のそれぞれのシステムの中で働いているのでPDCAの考え方と無縁ではいられないと思うのです。

クライエントさんはセグメント(サービス購入者)です。

やっとこのあたりの考え方が各省庁で重視でされてきたので、心理職のカウンセリングの概念にもプラスの影響を及ぼして欲しいと思うのです。

※ 当サイトは公序良俗に反するサイトを除きリンクフリーです。また、当サイトからのリンク先情報についての真偽は保証しかねますのでご了承ください。

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ
(スポンサードリンク)