A502B657-6829-41E6-BA71-A0212C6196F8

公認心理師の主治の医師の指示ジレンマ対応のためのガイドライン

公認心理師法や暗黙のルール、制度の中でジレンマに陥った際の回答は誰も書いていません。

マニュアルもありませんし誰も作りません。

厚生労働省の基準は曖昧です。

ならば自分たちで考えていくしかないのが現状です。

「どうすればいいの?」という事例はもう現場でどんどん起きているでしょう。


1.医療領域

やっぱり気になっているのは主治の医師の指示です。

医師には伝えたいけれど伝えて欲しくないと患者さんが言う。

任意入院したばかりの患者さんが「もうイヤ、退院する」と言い出したらどうするか?

という設問が試験にあり、「主治医に報告」が正答扱いでした。

それでも退院したい退院したいと患者さんが言うのならば即日歩いて帰れるはずです。

それが任意入院という制度です。

それでも主治医が退院させないと言う。

主治医が判断に迷ってそう言うのかもしれませんが、それ自体の違法性が高いです。

退院させてもらえない、とか閉鎖病棟はイヤだという要望があれば患者さんは都道府県知事に対して「退院・処遇改善の請求書」を出して精神医療審査会での審査を求めることができます。(日本精神福祉士協会資料)

主治医に報告することも正答のひとつかもしれませんが、そんなに入院が必要なら措置入院にすればいいでしょ?

と思うのです。

患者さんは都道府県精神医療審査会に相談して申し立てをする権利がありますし、病院の地域連携室のケースワーカーは患者さんの申し立てを円滑に進めさせるよう援助しなければなりません。

公認心理師が主治医の指導で「新患の◯◯さん、退院したいってわがまま言ってるんだよね、心理師さんから説得しといてよ、ヨロシク!」という指示に従うと人権侵害になりかねないです。

医師も法律には詳しいのでそんな無茶ぶりは通常はしないのですが、心理師の側で「何でもかんでも医師の指示に従えばいいんだ」と思って、一回出された指示をそのまま有効だと思ってずっと従い続けているととんでもないことになりかねません。

時々刻々と変わる患者さん、その心情や家族、社会などの環境も含めた変化をきちんと把握しておかないといけません。

「なんで状況変わったのに報告しなかったの?」と心理師が詰め腹を切らされかねません。

公認心理師試験ブループリントには掲載されていない患者さんの人権、権利についても知っておかないと思わぬ落とし穴が待っています。

2.主治の医師の指示再考

何度か記事にして主治の医師の指示については書いています。

以前「薬飲んでない。これからも飲まない。でもあのヤブハゲの医者にチクったらシヌ。黙っててくれたら死なない」という例を提示したことがありましたが、どうすればいいでしょう?

行動化がこれまでも激しく、確かに陰性感情を抱いている医師に通告すると致命的な自傷をしかねない。

しかも公認心理師が働いているのが当該病院でなく、教育機関や相談所など、どんな主治医かもわからないでどうコミュニケーションを取ればいいのかわからないのにどうすればいいのか。

こういった場合にはまず要支援者の説得をしましょうという厚生労働省のガイドラインは出ています。

説得で話が進めば楽ですがそうでないことも多々あるでしょう。

自分で作った命題ですが、明快な答えはないと思います。

行動化、アクティングアウトが心配なら服薬コンプライアンス、遵守を犠牲にしてでも、可能ならば家族に協力を求めたりしながら徐々に時間をかけてでも説得する方がいいでしょう。

そしてこれは僕の私見ですが、患者さんが飲んでいる薬の内容を把握しておく必要はあると思います。

抗精神病薬で、それを飲んでいないと妄想幻覚状態が抑えられない。

続けて飲んでいないと希死念慮が出ることが予測される抗うつ剤。

躁転するかもしれない(もうしている)双極性障害の患者さんへのメジャートランキライザーやムードスタビライザー、気分安定剤。

以上のような症状に対して大きな影響を与える薬と、ただ不安を抑えるという目的でベンゾジアゼピン系の抗不安剤だけが処方されているのでは、服薬コンプライアンスの重み付けが違うでしょう。

そして投薬をしている医師が患者さんに対して持っている意図をよく理解するのには投薬カクテルが何を示唆しているのかを知る必要があります。

鎮静化させる目的で投薬している抗精神病薬の力価が過鎮静となっていないか、短時間診療しかできない医師に副作用を言えていないかということも気になります。

だから服薬できないということは大いにありえます。

厚生労働省ガイドラインでは服薬指導はできないと明記されています。

しかし状態は把握して報告せよということなのでしょう。

服薬しているけれども副作用が言えないのはもっと大きな問題です。

患者さんが医師との信頼関係を短時間診療で構築できていないために重大な副作用があって(たとえば「ラモトリギンを飲んだら湿疹が出てかゆくなるからイヤ」)も言えないで薬だけ飲み続けようとしている。

放置しておくと難病スティーブンスジョンソン症候群に罹患して皮膚が壊死、失明の危険性すらあります。

服薬内容を知り、作用、副作用と症状との関係を素早く吟味した上で服薬に関して患者さんに話をしなければならない場面も出てくるかもしれないと思います。

心理職がしている仕事は生死がかかっている危機介入が必要な場合も多いです。

主治医に指示を仰ごうとしても捕まらない、いつ返事が来るかわからない、そもそも非医療機関から医療機関へと指示を仰いでも守秘義務があるから医療機関はその患者さんが通院しているかどうかについても言及できないはずです。

以前にも主治医の指示については書きましたが、かなりジレンマが生じかねない問題を内包しています。

患者さんの生死、公認心理師資格を賭して何人犠牲者が出るか見るための制度ではないはずです。

患者さんも公認心理師もモルモットではありませんからきちんと権利は守られないとならないでしょう。

それなのに公認心理師法上、主治の医師の指示について、医師には何の義務もないということは医師会が望んだ心理職への重い義務です。

今後も公認心理師のガイドラインについては考えていきたいと思います。

※ 当サイトは公序良俗に反するサイトを除きリンクフリーです。また、当サイトからのリンク先情報についての真偽は保証しかねますのでご了承ください。

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ
(スポンサードリンク)