サクラソウがキレイな季節です。
公認心理師が組織に翻弄されないための動き方とは?(ブリーフセラピー に学ぶ)
過日ブリーフセラピーの研修に出ました。
かなり勉強になったのですが、僕以外の心理職のみなさんにとってはブリーフセラピー的思考はもはや常識かもしれません。
練達の心理職の方々には釈迦に説法かもしれませんが、公認心理師が組織内で上手に泳げるヒントになるのではないかと思い記事にしてみます。
(例)
−教育現場におけるブリーフセラピー 的かかわり−(ひなた作成事例)
鈴木まみみ担任「A君は校内でタバコは吸うし授業はエスケープするし、他の子たちの手前どうにもならないし、私みたいな新卒の女性だとなめられているばかりで」
学年主任「A君のところは親もダメだね。学校に丸投げ、母親に電話すると『学校内のことは学校で解決して下さい』って言われて話にならない」
校長「A君、スクールカウンセラーのところにたまに行ってるんだろ?授業中に相談室に入れて甘やかしてないだろうね?」
スクールカウンセラーもなみ「A君、昼休みに相談室に来ると他の子たちの邪魔をしないようにそっと(話を聞いて欲しくてふてくされて)隅でじっとしてるんですよ。遠慮深い礼儀正しいところもある子ですね」
校長「居場所がなくて相談室に行ってるだけだろ」
スクールカウンセラーもなみ「でも中1のころはすごく学校楽しみに来てたって聞きました。いいところもある子ですよね」
校長「ない。授業妨害するから邪魔なだけだ」
教頭「親も子どももダメだよ。やる気がない」
主幹高橋先生「そうですよね、校長先生のおっしゃるとおりです。」
スクールカウンセラーもなみ「コーディネーターの佐藤先生はA君の相談に乗ってましたよね、いいところもありますよね」
コーディネーター佐藤先生「もうあいつはダメだなあ。全くダメ、ゼロ点だ」
もなみ「そう言えばこの前県のスクールカウンセラー研修に行ったとき講師で教育委員会のB先生がこのC中学校は、校長先生をはじめとして先生方のやる気があって結束力が強いって褒めてましたね。こうやって学校を良くしようと管理職の先生方が熱心に集まる姿勢は本当にすごいですね。B先生は次期教育長ですかね。校長先生も私が見てきた中では素晴らしい行政手腕がありますよね。またB先生とお会いする機会が来月あるんですけどねえ」
校長「ほう、B先生がそんなことを」
もなみ「そうですよ、私いろんな学校行ってますけどB先生はD中の校長をしていたときから校長先生のことほめてましたよ。難しい問題も真剣に取り組む真面目な先生だって」
校長「うんうん、そっかー」
もなみ「で、A君のいいところなんですけど実は…校長「ないな」
教頭「ないですよね、ねえ、校長先生」
校長「うん、ない。な、高橋先生」
主幹高橋先生「ないですねえ」
もなみ「でもこうやって集まっていつも熱心だからB先生が校長先生褒めてるんですよね。一致団結してますよね、A君よく考えてみるといいところもありますよね」
校長「邪魔だから学校来なきゃいいのに最近は週2回来てるな。前はずっと来なかったよなあ」
もなみ「少しやる気になってるのかもしれませんね」
校長「そうならいいけどな」
鈴木まみみ担任「私すごく大変でもう学校来たくないです」
スクールカウンセラー「鈴木先生真面目だからA君のこと心配なんですよね」
鈴木まみみ担任「心配だけでなんとかなるならいくらでも心配しますけど私が倒れます」
−後日−
スクールカウンセラー「A君、この前校長先生と話したんだけどさ」
A君「あー、ハゲジジイね」
もなみ「A君前は学校に来なかったのに最近は週2回来てるのちゃんと知ってたよ。気にして応援してくれてるんじゃない」
A君「はあ?あのハゲが?」
もなみ「担任の鈴木先生もA君のためならいくらでも心配してもいいって言ってたよ」
A君「まみっちってヨワヨワじゃん、俺より自分のこと心配しろよ」
もなみ「A君鈴木先生のこと心配したりして優しいわねえ。あなた男らしいわねえ、よっ、男前、男の中の男!すごい!ほれちゃうわあ!」
A君「二十歳過ぎのおばさんに言われてもなあ。先生俺の味方?」
もなみ「味方味方。世界が滅びるまでA君と話してる。で、少しもうちょっと学校来てみる?」
A君「もなみが言うなら少しなら来てやってもいいかな」
もなみ「お願いね、本当はみんなA君の良さを感じてるのよ」
※ ブリーフセラピーの中で行われているのはコンプリメント(補う)といってとにかく「ほめる」ことです。
カウンセラーが自分という心理学を知っている専門性だけを盾にしてコンプリメントをしてもあまり効果はありません。
権威ある第三者を引き合いに出す、次期教育長を使って校長のコンプリメントを行います。
もなみはA君には校長と担任の発言を出してコンプリメントを行いました。
組織の中でブリーフセラピーを行うというのは実はとても難しいことです。
学校はチーム学校なので集団守秘義務なのだから生徒保護者のプライバシー全無視ということだとスクールカウンセラーはすぐ信頼を失うでしょう。
産業場面、家族内でも上記のようなうまくいかないやり取り、ディスコミュニケーションは頻繁に起きています。
そんな中で心理職1人が孤軍奮闘して自分が誰かをコンプリメントしようとしてもたかが心理カウンセラーと思われて終わることは多いでしょう。
ブリーフセラピーは大変奥が深いです。
元々は車椅子の天才催眠療法家ミルトン・エリクソンから始まりました。
故宮田敬一先生はブリーフセラピー の大家で家族療法も教えていたのですが、催眠はかなり手っ取り早いディスコミュニケーションの修正方法で、宮田先生は催眠の世界でも権威的な存在でした。
心理職が所属している組織の中に絡め取られてしまうと組織はクライエントさんの守秘義務を外そうとして「出せ」「さあいいから喋れ」「ここだけの話にしとくから話せ」という果てしないプレッシャーを受けることがあります。
守秘義務は絶対に死守しながら組織に適合、ジョイニングしていくのは熟練の心理職でも難しい場面が多々あるでしょう。
心理は一人職場が多いです。
公認心理師は法的制約が厳しいです。
自分の身を守るのは自分だけという事実に大変心許ないと思うのですがコンプリメント技法は乗り切るひとつの手段になるかもしれません。
「コンプリメント=とりあえずほめる」
※ 当サイトは公序良俗に反するサイトを除きリンクフリーです。また、当サイトからのリンク先情報についての真偽は保証しかねますのでご了承ください。
(スポンサードリンク)
公認心理師が組織に翻弄されないための動き方とは?(ブリーフセラピー に学ぶ)
過日ブリーフセラピーの研修に出ました。
かなり勉強になったのですが、僕以外の心理職のみなさんにとってはブリーフセラピー的思考はもはや常識かもしれません。
練達の心理職の方々には釈迦に説法かもしれませんが、公認心理師が組織内で上手に泳げるヒントになるのではないかと思い記事にしてみます。
(例)
−教育現場におけるブリーフセラピー 的かかわり−(ひなた作成事例)
鈴木まみみ担任「A君は校内でタバコは吸うし授業はエスケープするし、他の子たちの手前どうにもならないし、私みたいな新卒の女性だとなめられているばかりで」
学年主任「A君のところは親もダメだね。学校に丸投げ、母親に電話すると『学校内のことは学校で解決して下さい』って言われて話にならない」
校長「A君、スクールカウンセラーのところにたまに行ってるんだろ?授業中に相談室に入れて甘やかしてないだろうね?」
スクールカウンセラーもなみ「A君、昼休みに相談室に来ると他の子たちの邪魔をしないようにそっと(話を聞いて欲しくてふてくされて)隅でじっとしてるんですよ。遠慮深い礼儀正しいところもある子ですね」
校長「居場所がなくて相談室に行ってるだけだろ」
スクールカウンセラーもなみ「でも中1のころはすごく学校楽しみに来てたって聞きました。いいところもある子ですよね」
校長「ない。授業妨害するから邪魔なだけだ」
教頭「親も子どももダメだよ。やる気がない」
主幹高橋先生「そうですよね、校長先生のおっしゃるとおりです。」
スクールカウンセラーもなみ「コーディネーターの佐藤先生はA君の相談に乗ってましたよね、いいところもありますよね」
コーディネーター佐藤先生「もうあいつはダメだなあ。全くダメ、ゼロ点だ」
もなみ「そう言えばこの前県のスクールカウンセラー研修に行ったとき講師で教育委員会のB先生がこのC中学校は、校長先生をはじめとして先生方のやる気があって結束力が強いって褒めてましたね。こうやって学校を良くしようと管理職の先生方が熱心に集まる姿勢は本当にすごいですね。B先生は次期教育長ですかね。校長先生も私が見てきた中では素晴らしい行政手腕がありますよね。またB先生とお会いする機会が来月あるんですけどねえ」
校長「ほう、B先生がそんなことを」
もなみ「そうですよ、私いろんな学校行ってますけどB先生はD中の校長をしていたときから校長先生のことほめてましたよ。難しい問題も真剣に取り組む真面目な先生だって」
校長「うんうん、そっかー」
もなみ「で、A君のいいところなんですけど実は…校長「ないな」
教頭「ないですよね、ねえ、校長先生」
校長「うん、ない。な、高橋先生」
主幹高橋先生「ないですねえ」
もなみ「でもこうやって集まっていつも熱心だからB先生が校長先生褒めてるんですよね。一致団結してますよね、A君よく考えてみるといいところもありますよね」
校長「邪魔だから学校来なきゃいいのに最近は週2回来てるな。前はずっと来なかったよなあ」
もなみ「少しやる気になってるのかもしれませんね」
校長「そうならいいけどな」
鈴木まみみ担任「私すごく大変でもう学校来たくないです」
スクールカウンセラー「鈴木先生真面目だからA君のこと心配なんですよね」
鈴木まみみ担任「心配だけでなんとかなるならいくらでも心配しますけど私が倒れます」
−後日−
スクールカウンセラー「A君、この前校長先生と話したんだけどさ」
A君「あー、ハゲジジイね」
もなみ「A君前は学校に来なかったのに最近は週2回来てるのちゃんと知ってたよ。気にして応援してくれてるんじゃない」
A君「はあ?あのハゲが?」
もなみ「担任の鈴木先生もA君のためならいくらでも心配してもいいって言ってたよ」
A君「まみっちってヨワヨワじゃん、俺より自分のこと心配しろよ」
もなみ「A君鈴木先生のこと心配したりして優しいわねえ。あなた男らしいわねえ、よっ、男前、男の中の男!すごい!ほれちゃうわあ!」
A君「二十歳過ぎのおばさんに言われてもなあ。先生俺の味方?」
もなみ「味方味方。世界が滅びるまでA君と話してる。で、少しもうちょっと学校来てみる?」
A君「もなみが言うなら少しなら来てやってもいいかな」
もなみ「お願いね、本当はみんなA君の良さを感じてるのよ」
※ ブリーフセラピーの中で行われているのはコンプリメント(補う)といってとにかく「ほめる」ことです。
カウンセラーが自分という心理学を知っている専門性だけを盾にしてコンプリメントをしてもあまり効果はありません。
権威ある第三者を引き合いに出す、次期教育長を使って校長のコンプリメントを行います。
もなみはA君には校長と担任の発言を出してコンプリメントを行いました。
組織の中でブリーフセラピーを行うというのは実はとても難しいことです。
学校はチーム学校なので集団守秘義務なのだから生徒保護者のプライバシー全無視ということだとスクールカウンセラーはすぐ信頼を失うでしょう。
産業場面、家族内でも上記のようなうまくいかないやり取り、ディスコミュニケーションは頻繁に起きています。
そんな中で心理職1人が孤軍奮闘して自分が誰かをコンプリメントしようとしてもたかが心理カウンセラーと思われて終わることは多いでしょう。
ブリーフセラピーは大変奥が深いです。
元々は車椅子の天才催眠療法家ミルトン・エリクソンから始まりました。
故宮田敬一先生はブリーフセラピー の大家で家族療法も教えていたのですが、催眠はかなり手っ取り早いディスコミュニケーションの修正方法で、宮田先生は催眠の世界でも権威的な存在でした。
心理職が所属している組織の中に絡め取られてしまうと組織はクライエントさんの守秘義務を外そうとして「出せ」「さあいいから喋れ」「ここだけの話にしとくから話せ」という果てしないプレッシャーを受けることがあります。
守秘義務は絶対に死守しながら組織に適合、ジョイニングしていくのは熟練の心理職でも難しい場面が多々あるでしょう。
心理は一人職場が多いです。
公認心理師は法的制約が厳しいです。
自分の身を守るのは自分だけという事実に大変心許ないと思うのですがコンプリメント技法は乗り切るひとつの手段になるかもしれません。
「コンプリメント=とりあえずほめる」
※ 当サイトは公序良俗に反するサイトを除きリンクフリーです。また、当サイトからのリンク先情報についての真偽は保証しかねますのでご了承ください。
(スポンサードリンク)
コメント