
◯ 公認心理師上級資格と福祉新資格子ども家庭福祉士創設の動きについて考える
ヤフーニュース、福祉新聞で報じられていますが、相次ぐ児童虐待事件の対応のため、超党派議員連盟が「子ども家庭福祉士」の創設に向けて動いています。
また、厚生労働省でもその賛否をめぐってのワーキンググループが開催されていますが、意見は分かれている段階です。
児童の権利擁護、虐待防止そのものはとても大切なことですが、果たして新資格創設は児童福祉領域に役立つのか?
日本社会福祉士会会長はこの新資格創設について疑義を申し立てています。
現行制度で社会福祉士や精神保健福祉士で十分対応できるというのが西島会長の意見です。
現行制度でも児童相談所に社会福祉士は必置化されていません。
社会福祉士試験に児童虐待は1科目しかないということもこういった超党派議員連盟が資格創設をしようとする論拠になっていると考えられるとのことです。
また日本社会福祉士会は「認定社会福祉士」「認定上級社会福祉士」制度を設置しており、これらが児童福祉に寄与するという論拠をあげています。
さて、公認心理師生徒との関係ですが、日本社会福祉士会は独自の認定資格を持っています。
認定社会福祉士、認定上級社会福祉士です。
認定社会福祉士になるには経験年数、ほか団体で定める一定の専門的経験及び団体の研修またはスーパーヴィジョンが必要になります。
社会福祉士22万6千465人に対して認定社会福祉士は667人です。
さらに認定上級社会福祉士になるには学術研究などのさらに高度な経験が必要なのですが、現在のところ有資格者は0人です。
実質的に機能しているとは言いがたい上級認定資格を創設したために、日本社会福祉士会は追い詰められることになってしまったというのはうがった見方でしょうか。
日本で児童・家庭分野の認定社会福祉士はわずか29人です。
この数がいるから日本の児童福祉行政は大丈夫だという主張は何の根拠にもならないでしょう。
公認心理師はどうなるのでしょう?
日本公認心理師会も高い組織率が望めない(グーグル先生で「公認心理師協会」を検索しても相当下位にならないと協会のホームページは相変わらず出てきませんし、僕の心理職の仲間は相変わらず加入意思なし、誰一人として僕の周囲には加入すると言っている人なし。)です。
そんな協会が厚生労働省と協働しても専門公認心理師資格創設で多くの人が資格を取得するとも思えないのです。
精神保健法指定医のように法的に指定医でなければできないことがあれば取得率も違うでしょう。
指定医でなければ雇わない病院あり、給与は変わります。
管理栄養士も栄養士とは違う職場、異なった対象者のより専門的な栄養指導ができて医療チームの一員にも加われます。
上級(専門)公認心理師資格は実効的で意味のあるものでなければ創設はムダどころか、害になりかねません。
上級公認心理師やら専門公認心理とか専門上級公認心理師とかいうわけのわからない資格を実体を伴わないまま創設したら社会福祉士が窮地に立たされている二の舞になりかねないということです。
公認心理師は元々5分野の領域をカバーできる試験となっているわけです。
上級資格を作らなければ専門性が担保できないと思うなら、試験の形式を変えればいいとも思います。
政治家はいつも夢、というか妄想を持ちます。
形を作れば解決すると思って耳ざわりが良くてマスコミ受けしそうな新制度を作る反面、今あるものを良くするという肝心の地道なテコ入れをしません。
だから児童行政はこんなにめちゃくちゃなのですし、人手も足りないままです。
上層部は新制度の屋台骨がまだぐらぐらしている現在、さらに屋上屋を重ねようとしています。
世間の公認心理師に対する認識、認知度がまだ低く、「公認心理師は雇いません」と言われるぐらいまだ信頼性もないうちに育てなければならない新資格を危険にさらさないで欲しいと思うのです。
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