◯「先生」と呼ばれない公認心理師

心理職をしていると所属する機関の性質によって「先生」と呼ばれたり、さん付けで呼ばれたり、心理士(師)さん、カウンセラーさんと呼ばれたり、ばらばらです。

さん付けで呼ばれるから軽く扱われているというわけではなく、心理職というのは常に曖昧な職業上のヒエラルキーの中でぼんやりとした位置付けにいるわけです。

医療や司法の現場にいてトップではないけれども大事なことをしている。

心理職の働く現場でほか高度な専門職はたくさんいるけどなぜ心理だけが「先生」と呼ばれることもあるのか?

あるいは呼ばれないこともあるのか。

◯ そもそも先生とは何か

「先に生まれた」と辞書にぞんざいに書いてあります。

そんなわけはないと思います。

若くても専門知識でてきぱきと診断、診察できる20代の研修医は立派な先生だなあと思います。

僕も精神科と関連ない他科の医師と話す時に、豊富な知識と巧みな手技を見ると尊敬に値すると思います。

でも町医者で「あそこの先生はヤブだ」などと言われるので別に尊敬が先生呼称の前提ではなさそうです。

弁護士は法的技術を駆使します。

評判のいい弁護士先生もいればそうでない先生もいるのは医師と同じです。

司法書士、行政書士、公認会計士、税理士も依頼主からは信頼を寄せられる自営の先生もいます。

1.医療関連現場

大病院にいると無条件で心理職が先生と呼ばれることが多いでしょう。

医師からも先生と呼ばれ、「心理の◯◯先生に相談してね」と医師から言われると患者さんもすんなりそう思うわけです。

それに生活、行動の指針をきちんと的確に与えてくれる心理職は、やっぱりしっかりとした先生だなあと思う患者さんも多いでしょう。

医療関連現場の「先生」は医師、歯科医師、理学療法士PT、作業療法士OT、あんま鍼灸マッサージ師、言語聴覚士、視能訓練士、健康指導を行う栄養士などです。

例えば理学療法士は人体の構造に相当詳しくないといけないですし、試験合格後には患者さんに接して医療行為をきちんとできないといけません。

リハビリも計画して患者さんに知識を伝えつつ技能を使うので難しい仕事だなあと思います。

心理職の「先生」は単なる略称として先生と自動的に呼ばれていることも多いのかなと。

人格的に尊敬されていて心理面接技術が卓越しているから先生と呼ばれているわけではないのは、ほか先生商売と同じです。

ドクター1人院長のクリニックだとドクターがカウンセラーさん、ひなたさんと言っていると患者さんからそう呼ばれますが、これも別に技能をクライエントさんから軽く見られてさん付けで呼ばれているわけではないです。

精神保健福祉士や社会福祉士、介護福祉士やケアマネ、保健師はかなり専門性が高いと思うのですが、慣例上先生とは呼ばれません。

薬剤師の世界は特殊で、お互いに会合で集まると「先生」と呼び合うのですが、患者さんからは先生とは呼ばれません。

薬剤師は医師に次ぐ相当な専門知識の持ち主と思います。
His 57とSer 195 との間の相互作用は、Ser195のヒドロキシ基の求核性を高めている、Asp 102 と His 57 との間の相互作用は、His 57 のイミダゾリル基の塩基性を低 下させている。
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という薬剤師国家試験過去問の選択肢を読んでもなにがなんだかわかりません。

薬剤師は全ての科の薬剤に通暁しているのはすごいなあと思います。

もっとも心理もII5.Ddo Mp-Hd mor,PHRとかさらさらとメモしている時もあるので、まあ専門性はどの分野でもあるわけですが分野が違うと感心します。

精神科の患者さんには時間を取って丁寧に説明してくれる薬剤師さんを頼りにしている人も多いと思います。

調剤薬局薬剤師さんは24時間対応で電話に出てくれます。

彼らもまた人の命を預かる仕事です。

2.教育・福祉

学校はすべからく全員先生で間違いないです。

用務員でも給食員でも学校に入っていったら先生と呼んでおけば間違いないというのはスクールカウンセラーとして働いた時に思いました。

大人は全員先生、僕はバイトのカウンセラーだけど先生と呼ばれるのだなあと思いました。

福祉はさまざまです。

児童施設では大人は先生と呼ばれることもあり、老人施設だと呼ばれないこともあり、作業所、就労継続支援施設だと心理の正式職名は法的規定がないので生活指導員枠で採用されていて、これもばらばらでしょう。

3.産業

これは産業現場によって異なります。

産業保健ルームなどで産業医と一緒に仕事をしていて専門職として他職員、社員と差別化して地位を確立していると先生として扱われる場合があります。

心理職によっては会社の人事部門で人事課長付の場合もあります。

ヒエラルキーでは会社組織の係長クラスぐらい、専門知識があるスーツを着た相談員という位置付けぐらいということもあります。

4.司法

行刑施設だと刑務官が担当先生と呼ばれています。

少年院、鑑別所技官教官は先生です。

家裁調査官は少年部では施設に行くと「調査官の先生」、家裁内では「さん」、家裁調査官は法律家に囲まれた人文科学系専門家という難しい立ち位置です。

家事部調停委員は「先生」ですが、調査官がお互いに先生と呼ぶことはありません。

そんなことをしたら家裁の中で猛反発されて裁判官書記官事務官から排斥されます。

さて、「それでは真に『先生』と呼ばれるような専門知識と専門職として信頼される態度を身につけましょう」とこの記事をキレイにシメるのは簡単です。

が、僕はこう思います。

まず「自分の評価は最終的には自分でしなさい」という考え方です。

それは当たっているところもありますが、違っているところもあります。

誇りを持って心砕いて勉強してカウンセリングをするのはいいことです。

しかし手前勝手に「偉い先生」と自分で思い込んで「先生はね」と自称してクライエントさんに接していたら「?」と思われるだけです。

僕が尊敬する心理の偉い先生はものすごく努力家、クライエントさんのために熱心でプライドは高くてもその根拠もありなおかつ姿勢態度は謙虚です。

勤め人の心理職の場合を考えてみます。

組織の中で働いていると上司も心理職のいい悪いの評価をします。

安い給与が急に上がるような評定はありません。

「先生」は一種の記号です。

給料や仕事の質、能力とは関係ないです。

あちこちの機関で働いてみて、このばらつきこそが心理職の本質なのかもしれないと思います。

心理の世界でお金が欲しければEAP事業を立ち上げてどんどん営業するといいのかもしれません。

お金だけを人生の目的にするなら、心理の世界で生きるのをやめて超多忙でノルマを達成するセールスの仕事に転職、チャレンジしてもいいでしょう。

先生という呼称だけが欲しければ査読論文をたくさん書いて大学教員になるといいでしょう。

そして「ひなたの心理の授業つまんねーな、しかも宿題出すとかありえねえ、超うぜえ」と学食で学生たちに呼び捨てで文句を言われます。

心理職はどこの世界でもいろいろと不安定な立場で仕事をしていて努力が報われる保証もないですが、この仕事を選んでやり続けているのは自己責任、ブログで文句ばかり書いてますが僕は好きでやっている仕事ということは胸を張って言えます。

保育士の先生も行司の連続、休日出勤当たり前の多忙な仕事をしていて偉いなあと思います。

給料には見合わなくてもプロだと思われる仕事をしたいものです。

クライエントさんから「前のカウンセラーは話聞いてくれたけどそれだけで何もならなかったし気持ちも晴れなかった」とよく聞きますが、僕もそう言われないようにしたいと日々思っています。

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