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公認心理師のカウンセリングハラスメント防止策

もうそろそろ公認心理師登録証が届いて晴れて公に公認心理師を名乗れる人たちがたくさん出てきました。

お疲れ様でした。そしておめでとうございます。

今日はカウンセリングという行為そのものが持っている危険性について書きます。

◯ 境界性パーソナリティ障害に関して

現代の精神科難治性疾患の中でも医療をはじめとした各心理分野領域で、本人の苦悩が大きい境界性パーソナリティ障害はその効果的な対処法が課題となっています。

もともと精神病と神経症との鑑別がつきにくい症例に対して境界例と呼んでいたのですが、境界性パーソナリティ構造概念を経て、DSM-Ⅲではっきりとした診断体系の中に境界性人格障害は位置付けられました。

この障害はあらゆる意味で医療の世界でも、どの領域で働く心理職にとっても対処が困難とされています。

診断体系DSMの優れているところは境界性パーソナリティ障害を単独の障害として扱うのではなく、合併している疾患についてもその診断可能性を探ることで、多面的な対応がしやすくなりました。

境界性パーソナリティ障害
Borderline personality disorder BPDはパーソナリティ障害という枠組にとらわれているだけでなく、うつのような気分障害、双極性障害、統合失調症、PTSDと並存した診断を受けていることもあります。

なぜBPDが難しいかというとまずはそのスティグマ(烙印)です。

◯AC PTSDとの関連

BPDの人は幼少期から思春期に至るまで親や他者からのひどいネグレクトや危害を連続的に加えられていた場合が多く、アダルトチルドレンやPTSDの中にもBPDの人は確かにいます。

だから全てのACやPTSDの人をBPDとして扱うと「私は人格的に問題があるの?欠陥があるの?障害なの?」と思われてしまうわけです。

人格障害というのはかなりきつい言葉です。

BPDはそうでない疾患が「BPDだ」と誤診されやすく、その逆も多いです。

BPDはパーソナリティ障害の中では本人の苦しみが強く致死率も高い、危険性を孕む病です。

薬物療法が奏功を呈する場合も多く、他のパーソナリティ障害よりも疾患性が高いと言えるでしょう。

日本の保険医療制度の診断名と実体には解離があります。

医師の診察時に医師が患者さんに紙カルテや電子カルテの病名欄を見にくくしています。

例えば双極性障害に医師が処方ししたくても保険適用にならない薬剤があると統合失調症の病名をつけて保険適用させることがあるわけです。

PTSD、AC、BPDは身体的症状やあらゆる精神病的症状が現れます。

保険診療のために医師がどんな診断名をつけてどんな投薬をするか、医師はその患者さんの状態像を見て処方しているわけです。

院内にいれば心理師もカルテを見る機会はあるわけですが、「BPDか、それじゃあ精神病的な妄想か」「病名が統合失調症か、やっぱり妄想か」として扱うと例えば幼少期の被害体験が何度もフラッシュバックしてそれを体験している患者さんの苦悩は置き去りにされてしまいます。

心理が勝手に患者さんを傷つける判断をしてはいけません。

医療は証人を呼んで事実の有無を采配して認定する司法機関ではありませんが、「家族からの情報」で客観性を求める場合はあるでしょう。

ところが「事実ですか?それとも妄想なんですか?」という判断を医療が求められる場合もあります。

お金や制度がからむと行政や福祉からの要請で情報を開示や参考意見を聴取されることもありえます。

その際に医師、医療現場は患者を「おかしなやつだから」というスティグマを押しつけてしまうと患者さんのその後には命取りになりかねません。

自傷的なアクティングアウト、行動化は扱うことが困難です。

医師にとってはODで入院を繰り返す患者さんに出せる薬は限られてしまいます。

服薬コンプライアンスをさせるのが難しい、そして医療者のプライドも傷つけられます。

「だからBPDはやっかいなんだ」という扱いを受けていた患者さんが転院すると医師や心理職に恵まれて平静になることもあります。

いつと疑われてかかられていて厄介者扱いをされていたらよくなりにくいです。

同じ投薬治療をしていても治療関係が良好だと薬の効き目が違うというのはよく言われていることです。

心理職が医師の診断を広げて患者さんに先入観を持って対処することは感心しません。

医師は困難な患者さんだからこそ心理職にフォローアップを求めているわけで、患者さんの劣等感を深める目的でカウンセリングを命じているわけではありません。

「教科書にも書いてあったから妄想は肯定も否定もしないでおこう」という態度ではちっとも共感的理解にはなりません。

他院の治療に不信感を抱いて転院してきた患者さんのインテーク(初回の見立て)面接をするのは今後も心理職、心理師が多くなるでしょう。

患者さんと一対一できちんと長時間向き合える心理職の役割は大きなものですし、インテークや心理検査は医師の診断にも大きく影響しますので、ここで患者さんと心理職が良好な関係、ラポールを使っておくことは大事です。

さて、心理療法の話になりますが、患者さんがBPDだと診断され、自覚していたら弁証法的行動療法はかなり有効な精神療法です。

弁証法的行動療法DBTはマインドフルネスや瞑想にも似た精神療法で「賢い心」という第三の精神状態を止揚させる弁証法的行動療法は、患者さんの気持ちを落ち着けるための数々のスキルを内包しています。

両腕傷だらけで自らもBPDであろうDBTの創始者マーシャ・リネハンがBPD患者さんを見る目はとても暖かいです。

さて、最近の患者さんはとても勉強熱心で、初めて受診に来る際に自分の病気のことをかなり調べてから来る人も多いです。

成り立ての大学院卒臨床心理士や公認心理師はとてもかなわないでしょう。

弁証法的行動療法をしようとすると自分はBPDと思われた、と察知しますし、トラウマを自覚していないのにEMDRをされるといぶかしく思うわけです。

今や精神療法の王道と言われている認知行動療法にも侵襲性、相手を傷つける可能性はあるでしょうし、来談者中心療法ということでクライエントさんに漫然と話させているうちにフラッシュバックや徐反応が起きる場合もあるでしょう。

心理職が自分は何をしているか、その危険性は何か、どんな方針で精神療法を行おうとしていてそのターゲットと見込みはどうかという、インフォームドコンセントICがきちんとできないと時としてそれはカウンセリングハラスメントになります。

もともと心理が行うカウンセリングには患者さんの短期的、中期的、長期的治療計画を看護や福祉計画のように立てる力が弱いのです。

あまり強力に自分が作ったスケジュールに患者さんを当てはめようとしても無理が出るのですが、ある程度の見通しは必要です。

今回公認心理師に合格したいろんな人たちから話を聞いています。

公認心理師に合格したものの、もともと心理プロパーでないので福祉、看護、教育の自分の主舞台で心理的知識を生かすという謙抑的な人は賢いと思います。

心理の世界は泳ぎ切れないぐらい広い海です。

もし僕があと50年ずっと勉強を続けても今現在の心理療法の全貌はさわりだけしかわからないでしょう。

全世界のカウンセリングの世界でハラスメントが問題とならなかった時代も流派もなかったと言っていいと思います。(偽の記憶事件など)

守秘義務と安全配慮と主治医の指示をすべて守れと矛盾した要求を突きつけられている公認心理師の仕事は今まさに注目を集めています。

公認心理師制度は常に正と見られるか負ととらえられるかの分水嶺にあるわけです。

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