公認心理師はプロファイラーになれるか?
1.序
たまに若い人からの「心理学を専攻したらプロファリングをするプロファイラーになれますか?」という話を聞くことがあります。
プロファリングは未解決事件、連続凶悪事件の犯人像や行動パターンを心理学的に作成し、その特徴から次の犯行日時、場所を特定して犯人逮捕にまで至るというもので、多くのテレビドラマや小説で取り上げられています。
これは確かにスリリングで見ていてときめきますし、会議室で連続事件のポイントにピンを刺して、「次はここだ!」などと推理をしているのは視覚的エフェクトも抜群で興味を抱かせます。
重大犯罪が起きると大学で教鞭を取っている精神医学者や臨床心理士がテレビに出て、犯人の診断名を述べたり、生育史を想像してまだ逮捕前の犯人像をプロファイルしています。
その識者たちの発言「?」と思うこと多数、「犯人にも会っていないし精神鑑定も実際にしていないのにここまで言い切っちゃっていいのかなあ」と思うことがたびたびあります。
精神医学、心理学とは関係のない、犯罪について見識のあるジャーナリストが奈良で起きた小児女子に対する凶悪事件を犯人逮捕前から「フィギュア萌え族」の犯行と言い切って大はずれだったことが思い出されます。
2.日本でプロファリングをしている機関は?どうすればなれるの?
都道府県にある科学捜査研究所ではプロファリングを行っているところもあればやっていないところもあります。
都の科学捜査研究所では心理区分担当者にポリグラフの研究をしてもらっていると書いてありました。
科捜研ではアメリカFBIのように全米を統括して行動科学部門がチームで犯罪捜査に当たるような全国協力捜査をしていることはなさそうです。
科学捜査研究所はおおむね30歳程度の年齢制限もあるので、博士号、臨床心理士、今後は公認心理師ホルダーも採用されていくでしょう。
やはりプロファリングができるかもという魅力からでしょうか。
受験倍率は100倍ぐらいになるらしいです。
自治体によっては心理警察官もいますが、キャリア採用というわけでもなく、加害者の再犯防止のための心理面での支援も重要な業務です。
僕が卒論に使った(嘘)困ったときのウィキペディア先生に科学捜査研究所について聞いてみたら採用条件に「公認心理師」と書いてあって驚きました。
役に立つこともあるwikiですがまあ情報の真偽もそこそのなのでほどほどに。
科学捜査研究所出身の教員がいる大学もあるそうです。
そこを出たからといってプロファリングができるわけではないのですが、生の話が聞けるのは面白いかもしれません。
3.犯罪心理学あれこれ
日本犯罪心理学会は司法にかかわる心理学者、実践家の研究学会です。
行われている研究発表は司法矯正に関するもの、どのようにしたら累犯者に治療的処遇ができるかという、臨床的なものが多いように思われます。
司法の現場で求められている心理職の実践的な仕事は、犯罪に至った家庭や社会的環境、個人の資質と矯正可能性をどう見極めるか(家庭裁判所調査官、法務省矯正局)です。
そしてどのようにして心理学を活用して再犯を防止していくか、どういった処遇プログラムを行えばいいかという、治療的なかかわりです。
これはかなり人間理解を総合的に必要とする仕事でやりがいのあるものでしょう。
司法や犯罪に心理職としてかかわりたいのであれば、加害者を取っ捕まえたいというよりも、加害者臨床を行って更生させる、犯罪被害者の精神療法を行う(これにも相当な困難さを伴います)があります。
4.結語
プロファリングをやりたい、どんな事柄でも犯罪捜査にかかわりたいと
いうのであれば、心理学を学部で学んだことはさておき、いっそのこと警察官になるということが手っ取り早いのではないかと思います。
それもまた、道路に落ちた車の破片から加害車両を特定するという地道な捜査になるかもしれませんが社会における犯罪抑止には役立つ仕事です。
公権力の介入で児童福祉についての強制力が付与されるようになり、長期間児童が出てこない家庭に児相と警察が共同して強制捜査をすることができるようになっています。
警察としての捜査の仕事も人命を守るためにはやりがいがある、立派なものだと思うのです。
それはそれとして、ユーロポール女性心理分析官クローディーンが活躍する、ブライアン・フリーマントルのプロファリングシリーズは面白いので、お時間のある方は手に取って読むのもよろしいかと思います。
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1.序
たまに若い人からの「心理学を専攻したらプロファリングをするプロファイラーになれますか?」という話を聞くことがあります。
プロファリングは未解決事件、連続凶悪事件の犯人像や行動パターンを心理学的に作成し、その特徴から次の犯行日時、場所を特定して犯人逮捕にまで至るというもので、多くのテレビドラマや小説で取り上げられています。
これは確かにスリリングで見ていてときめきますし、会議室で連続事件のポイントにピンを刺して、「次はここだ!」などと推理をしているのは視覚的エフェクトも抜群で興味を抱かせます。
重大犯罪が起きると大学で教鞭を取っている精神医学者や臨床心理士がテレビに出て、犯人の診断名を述べたり、生育史を想像してまだ逮捕前の犯人像をプロファイルしています。
その識者たちの発言「?」と思うこと多数、「犯人にも会っていないし精神鑑定も実際にしていないのにここまで言い切っちゃっていいのかなあ」と思うことがたびたびあります。
精神医学、心理学とは関係のない、犯罪について見識のあるジャーナリストが奈良で起きた小児女子に対する凶悪事件を犯人逮捕前から「フィギュア萌え族」の犯行と言い切って大はずれだったことが思い出されます。
2.日本でプロファリングをしている機関は?どうすればなれるの?
都道府県にある科学捜査研究所ではプロファリングを行っているところもあればやっていないところもあります。
都の科学捜査研究所では心理区分担当者にポリグラフの研究をしてもらっていると書いてありました。
科捜研ではアメリカFBIのように全米を統括して行動科学部門がチームで犯罪捜査に当たるような全国協力捜査をしていることはなさそうです。
科学捜査研究所はおおむね30歳程度の年齢制限もあるので、博士号、臨床心理士、今後は公認心理師ホルダーも採用されていくでしょう。
やはりプロファリングができるかもという魅力からでしょうか。
受験倍率は100倍ぐらいになるらしいです。
自治体によっては心理警察官もいますが、キャリア採用というわけでもなく、加害者の再犯防止のための心理面での支援も重要な業務です。
僕が卒論に使った(嘘)困ったときのウィキペディア先生に科学捜査研究所について聞いてみたら採用条件に「公認心理師」と書いてあって驚きました。
役に立つこともあるwikiですがまあ情報の真偽もそこそのなのでほどほどに。
科学捜査研究所出身の教員がいる大学もあるそうです。
そこを出たからといってプロファリングができるわけではないのですが、生の話が聞けるのは面白いかもしれません。
3.犯罪心理学あれこれ
日本犯罪心理学会は司法にかかわる心理学者、実践家の研究学会です。
行われている研究発表は司法矯正に関するもの、どのようにしたら累犯者に治療的処遇ができるかという、臨床的なものが多いように思われます。
司法の現場で求められている心理職の実践的な仕事は、犯罪に至った家庭や社会的環境、個人の資質と矯正可能性をどう見極めるか(家庭裁判所調査官、法務省矯正局)です。
そしてどのようにして心理学を活用して再犯を防止していくか、どういった処遇プログラムを行えばいいかという、治療的なかかわりです。
これはかなり人間理解を総合的に必要とする仕事でやりがいのあるものでしょう。
司法や犯罪に心理職としてかかわりたいのであれば、加害者を取っ捕まえたいというよりも、加害者臨床を行って更生させる、犯罪被害者の精神療法を行う(これにも相当な困難さを伴います)があります。
4.結語
プロファリングをやりたい、どんな事柄でも犯罪捜査にかかわりたいと
いうのであれば、心理学を学部で学んだことはさておき、いっそのこと警察官になるということが手っ取り早いのではないかと思います。
それもまた、道路に落ちた車の破片から加害車両を特定するという地道な捜査になるかもしれませんが社会における犯罪抑止には役立つ仕事です。
公権力の介入で児童福祉についての強制力が付与されるようになり、長期間児童が出てこない家庭に児相と警察が共同して強制捜査をすることができるようになっています。
警察としての捜査の仕事も人命を守るためにはやりがいがある、立派なものだと思うのです。
それはそれとして、ユーロポール女性心理分析官クローディーンが活躍する、ブライアン・フリーマントルのプロファリングシリーズは面白いので、お時間のある方は手に取って読むのもよろしいかと思います。
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