◯ 公認心理師制度を脅かす心因万能論

1.はじめに

公認心理師に新しく他分野から流入してくる人、臨床心理士がただ取れる資格として公認心理師を取得したなど新公認心理師にはいろんな人がなるわけです。

そこで「国家資格化された心理の専門家」としてデビューする(そんな可能性が多過ぎるわけでもないかなと思うのですが)あまりにも期待過剰になると心理職の方は困るだろうなあ、また、真面目な心理職の人も苦労するでしょう。


2.身体疾患への過剰な心因主義の危険性

自信に満ち過ぎている心理職の人が心理万能主義でクライエントさんに接することも危険です。

たとえば医療現場外の心理職のところに「ストレス性急性胃炎」の人が連れて来られる。

胃炎でも十二指腸潰瘍でも心理療法は適応ですが、それは医師の診断を受けてきちんと身体医学的治療を受け、主治医の了解を取っての上のことです。

僕のところに「ストレスだから先生みてもらえませんか?」という七転八倒している急性期の患者さんが来た時にはすぐ専門の胃腸科内科に行ってもらいました。

急性期の患者さんへのこういった対応、これは公認心理師法施行前から心理職として当然のように行っていたことです。

また、過呼吸に関してどうやって対応するか、確かに心理職が患者さんへの初期対応として深呼吸をしてもらう、息を吸い過ぎないようにして脳内酸素量をコントロールして過剰にならないようにする、それで収まる人も多いです。

意識障害やけいれんを起こしている患者さんは一刻も早く救急搬送しないと命にかかわります。

意識が呼吸のコントロールではっきりとしたとしても背後にはWPW症候群のような循環器系統の疾患が存在することもあるのできちんと循環器内科を受診してもらうことも必要です。

それでは認知行動療法も適応とされている疾患の場合はどうか。

線維筋痛症FMのように身体症状優位だとまず身体疾患として扱われますが、患者さんもまず身体の病気としてとらえているので問題はありません。

補助的に心理療法が活用されます。

それから明らかにパニック障害だなあと思う患者さんでも精神科、心療内科に行きたがらずに心理療法だけを望む場合も困ります。

強迫性障害もそうです。

医師の投薬が奏功がある場合が多いので、心理療法は併用療法と考えておいた方がいいわけです。

何でも心因で片付けようとする心理職の勝手な振る舞いは一人よがりのスタンドプレー、独走とみなされかねません。

3.心理職のかかわりが期待される分野

上記の疾患は医師の了解や指示があり、患者さんが望んでインフォームドコンセントがしっかりとできるようであれば心理職の活躍が期待されます。

アレキシサイミア(失感情症)はさまざまな疾患、身体表現性障害(身体的医学的因子と身体症状の相関が不明な場合、依存症や摂食障害にも認められて、カウンセリングが有効な場合は多いでしょう。

心因性の視力、聴力障害、リハビリテーション部門、老齢者への関与、精神腫瘍科も遺伝子カウンセリングも身体と心因の絡み合う領域です。

整形外科、スポーツ医学にも心理職はかかわっています。

内科で治療アドヒアランス(意欲)が低いクライエントさんをうまく医療に乗せていこうと心理職が医療現場で多職種連携チームの一員として活躍することもあります。

4.公認心理師の責務と倫理

公認心理師が心理療法を行うに当たっては臨床心理的なかかわりを期待されています。

箱庭療法やってもいいですか、イメージ療法やってもいいですかと医師に全部了解を取るのではなく、そのクライエントさんにとって侵襲性が低い、効果が期待できる心理療法をすることが包括的な医師の指示に従うことだと理解しています。

認知行動療法に侵襲性がありそうなら、普通に話を聞くことが優先される場合もあります。

臨床心理倫理行政専門家からも医師の指示についてはそのように解するべきだという見解を聞いています。

公認心理師法42条第2号医師の指示の項目がなくても公認心理師が期待される活動は心理万能主義に陥ってはいけないわけです。

そして期待される活動の中には身体疾患へのかかわりもあり、かなり高い技量もあり、心身相関に対処する能力も必要になります。

このような心身相関の研究は古くは著作、「ゲシュタルトクライス」をあらわしたヴィクトール・フォン・ヴァイツゼッカーが内科神経医学に精神分析やゲシュタルト心理学を取り入れた試みがあります。

脈々としたこういった流れがあることを知る、学ぶことで身体因と心因と倫理を調和させて欲しいと思います。

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