児童心理司増員・公認心理師への大きな期待
◯ 児童行政をめぐる問題と課題
平成30年7月20日付の厚生労働省こども家庭局長「児童相談所における専門人材の確保等について(協力文書)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000335997.pdf
では、児童心理司の任用区分に公認心理師の任用がはっきりと定められています。
児童心理司は以前は児相では「心理判定員」と呼ばれていていました。
心理判定員は臨床心理士取得者が多く、日本臨床心理士会中央理事や地方臨床心理士会長などを務める志の高い人がこの心理判定員を非常勤、常勤で行いながら心理士会の要職を務めていることもあります。
児相への相談件数のトップが心理的相談ということを考えると児童心理司の果たす役割は大きなものです。
上記の協力依頼文書は
公認心理師養成機関連盟
日本臨床心理士養成大学院協議会
臨床心理職国家資格推進連絡協議会
医療心理師国家資格制度推進協議会
宛の文書になっています。
児相の職員増員は2018年12月18日に閣議決定され、2022年までに児童心理司1360人を2150人、2024年までに2500人と大幅増員を予定されていますが、厚生労働省のこういった動きは世論に大きく影響を受けています。
2018年3月に船戸結愛(ゆあ)ちゃん5歳が悲惨な家庭内でのネグレクトて低栄養死した事案があり、大きく報道されたました。
ちなみに児相職員は児童福祉司も現行の約3000人から2022年までにさらに2000人を増員する予定です。
今回公認心理師試験を受験した児童福祉司と話したことがあるのですが、昔から「児相は動かない」と苛立ちを込めて言われていましたが、動かない」のではなく「動けない」現状があると言っていました。
全国の児相が扱っている事件は年間12万件、それに比して例えば東京都の一時保護所収容定員は200人台です。
児童福祉司はの人は、深夜まで仕事をしても捌き切れない、そんな現状について話していました。
また、児童福祉司の任用者は法的には社会福祉士や、社会学、教育学を学び、一定の研修や実務経験がある専門家を採用することになっていますが、実態はそうではないということに注目しておく必要があるでしょう。
とりあえず自治体の職員に事務職として採用された、わけがわからずに児相に配置されることも多く、営林署職員もいたなあと思い出します。
児相所長も出世の階段の一段でさかなく、児童福祉には素人ということもあります。
児童精神科医杉山登志郎先生がその著作の中で書いていましたが、日本の施設内児童養護、社会的養護の現状はひどすぎる、独裁チャウシェスク政権下で両親を喪った子どもたちがチャウシェスクベイビーと呼ばれ、社会的にひどい不適応状態になりました。
DSM-5で規定された反応性愛着障害は代理養育者にも無反応で無関心、脱抑制愛着障害は反対に大人にべったりとして離れず、泣いてでもしがみつく、これら愛着障害は社会的養護でしか起こり得ません。
杉山登志郎先生はチャウシェスクベイビーの研究結果を踏まえても日本の社会的養護の現状はひどい、あまりにも職員数が少な過ぎて愛着障害の温床となっていることを指摘しています。
つまり日本の社会的養護は相当に立ち遅れている環境なのです。
そうであればきちんと職員数を確保、施設、施設内で養護を受けられる児童の人員のキャパシティも十分になければいけません。
南青山の児童施設建設住民反対運動はデベロッパーの利権追求の結果なのか、市民の無理解から来るのか、子どもをそれだけ追い詰めていることを理解して欲しいと思います。
公認心理師は公認心理師法施行規則第5条に定められている施設での実習生経験、実務経験が認められることになるのですが、児童相談所及び児童福祉施設もその中に含められています。
公認心理師はそういった社会的養護の場での活躍も今後期待されていくことになるでしょう。
さて、心理職国家資格化とほぼ同時期にこういった行政の動きがありました。
この動きは、単に公認心理師の雇用確保ということではなく、厳しい人手不足の環境の中、傷ついた子どもを対象に心理職も働くことを意味しています。
並大抵の仕事ではない厳しさが児童にかかわる職務には要求されます。
僕が乳児院にボランティアで行った時には、今ではかなり改善されていますが、ずらっと並んだ布団、忙しく立ち働く職員、ボランティアたちに寄ってくる子どもたちは一様にしがみついてきます。
ただし、ボランティアが帰る時間になると子どもたちは途端に無関心になります。
職員の話では「みなさんが来ても、すぐいなくなるというのはわかっているんですよ」とのことでした。
これもまた愛着障害なのだと思います。
児童行政に対する公認心理師の期待は大きなものです。
行政がきちんと人材を育てることも大事ですが、児童にかかわる公認心理師もまた相当な覚悟をして働かなければならないと思うのです。
児童にかかわる仕事をする医療、福祉専門職に限らず、一般人にも児童福祉法上の通告義務があります。
市区町村役場も通告の窓口です。
火のついたような泣き声、怒鳴る親、親も何らかの理由で追い詰められているのかもしれません。
「泣き声通報」という通報で役場の子育て支援課などの職員が家庭訪問をしてかなり親が落ち着くこともあります。
心理職はさまざまな人間模様を見てきますが、隠れたクライエント、最も救いの手を必要としている子どもたちに目を向けて欲しいと思うのです。
にほんブログ村
にほんブログ村
(スポンサードリンク)
◯ 児童行政をめぐる問題と課題
平成30年7月20日付の厚生労働省こども家庭局長「児童相談所における専門人材の確保等について(協力文書)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000335997.pdf
では、児童心理司の任用区分に公認心理師の任用がはっきりと定められています。
児童心理司は以前は児相では「心理判定員」と呼ばれていていました。
心理判定員は臨床心理士取得者が多く、日本臨床心理士会中央理事や地方臨床心理士会長などを務める志の高い人がこの心理判定員を非常勤、常勤で行いながら心理士会の要職を務めていることもあります。
児相への相談件数のトップが心理的相談ということを考えると児童心理司の果たす役割は大きなものです。
上記の協力依頼文書は
公認心理師養成機関連盟
日本臨床心理士養成大学院協議会
臨床心理職国家資格推進連絡協議会
医療心理師国家資格制度推進協議会
宛の文書になっています。
児相の職員増員は2018年12月18日に閣議決定され、2022年までに児童心理司1360人を2150人、2024年までに2500人と大幅増員を予定されていますが、厚生労働省のこういった動きは世論に大きく影響を受けています。
2018年3月に船戸結愛(ゆあ)ちゃん5歳が悲惨な家庭内でのネグレクトて低栄養死した事案があり、大きく報道されたました。
ちなみに児相職員は児童福祉司も現行の約3000人から2022年までにさらに2000人を増員する予定です。
今回公認心理師試験を受験した児童福祉司と話したことがあるのですが、昔から「児相は動かない」と苛立ちを込めて言われていましたが、動かない」のではなく「動けない」現状があると言っていました。
全国の児相が扱っている事件は年間12万件、それに比して例えば東京都の一時保護所収容定員は200人台です。
児童福祉司はの人は、深夜まで仕事をしても捌き切れない、そんな現状について話していました。
また、児童福祉司の任用者は法的には社会福祉士や、社会学、教育学を学び、一定の研修や実務経験がある専門家を採用することになっていますが、実態はそうではないということに注目しておく必要があるでしょう。
とりあえず自治体の職員に事務職として採用された、わけがわからずに児相に配置されることも多く、営林署職員もいたなあと思い出します。
児相所長も出世の階段の一段でさかなく、児童福祉には素人ということもあります。
児童精神科医杉山登志郎先生がその著作の中で書いていましたが、日本の施設内児童養護、社会的養護の現状はひどすぎる、独裁チャウシェスク政権下で両親を喪った子どもたちがチャウシェスクベイビーと呼ばれ、社会的にひどい不適応状態になりました。
DSM-5で規定された反応性愛着障害は代理養育者にも無反応で無関心、脱抑制愛着障害は反対に大人にべったりとして離れず、泣いてでもしがみつく、これら愛着障害は社会的養護でしか起こり得ません。
杉山登志郎先生はチャウシェスクベイビーの研究結果を踏まえても日本の社会的養護の現状はひどい、あまりにも職員数が少な過ぎて愛着障害の温床となっていることを指摘しています。
つまり日本の社会的養護は相当に立ち遅れている環境なのです。
そうであればきちんと職員数を確保、施設、施設内で養護を受けられる児童の人員のキャパシティも十分になければいけません。
南青山の児童施設建設住民反対運動はデベロッパーの利権追求の結果なのか、市民の無理解から来るのか、子どもをそれだけ追い詰めていることを理解して欲しいと思います。
公認心理師は公認心理師法施行規則第5条に定められている施設での実習生経験、実務経験が認められることになるのですが、児童相談所及び児童福祉施設もその中に含められています。
公認心理師はそういった社会的養護の場での活躍も今後期待されていくことになるでしょう。
さて、心理職国家資格化とほぼ同時期にこういった行政の動きがありました。
この動きは、単に公認心理師の雇用確保ということではなく、厳しい人手不足の環境の中、傷ついた子どもを対象に心理職も働くことを意味しています。
並大抵の仕事ではない厳しさが児童にかかわる職務には要求されます。
僕が乳児院にボランティアで行った時には、今ではかなり改善されていますが、ずらっと並んだ布団、忙しく立ち働く職員、ボランティアたちに寄ってくる子どもたちは一様にしがみついてきます。
ただし、ボランティアが帰る時間になると子どもたちは途端に無関心になります。
職員の話では「みなさんが来ても、すぐいなくなるというのはわかっているんですよ」とのことでした。
これもまた愛着障害なのだと思います。
児童行政に対する公認心理師の期待は大きなものです。
行政がきちんと人材を育てることも大事ですが、児童にかかわる公認心理師もまた相当な覚悟をして働かなければならないと思うのです。
児童にかかわる仕事をする医療、福祉専門職に限らず、一般人にも児童福祉法上の通告義務があります。
市区町村役場も通告の窓口です。
火のついたような泣き声、怒鳴る親、親も何らかの理由で追い詰められているのかもしれません。
「泣き声通報」という通報で役場の子育て支援課などの職員が家庭訪問をしてかなり親が落ち着くこともあります。
心理職はさまざまな人間模様を見てきますが、隠れたクライエント、最も救いの手を必要としている子どもたちに目を向けて欲しいと思うのです。
にほんブログ村
にほんブログ村
(スポンサードリンク)
コメント