◯ 公認心理師は科学の子になれるか。期待と現実

心理学は意識心理学、内観から始まってその反証として、実験重視の潮流になりました。

知覚、認知心理学が現在の認知行動療法の流れの根底になっています。

一方で目に見えない無意識の存在を仮定した精神分析、ユング心理学になるとさらに無意識世界を発展させて人類が共通して持っている集合的無意識を取り扱うようになりました。

認知行動療法全盛期になると、どの疾患や症状についてもエビデンス(証明力)がある論文が次々と出されていき、保険診療では認知行動療法が認められる動きとなっているのは周知の事実です。

ただし、心理療法の流れを見ていると必ず揺り戻しがあり、認知行動療法の中でも瞑想に近いマインドフルネスが重視されています。

さらに心身統合心理療法としてソマティックサイコセラピーが注視されるようになって来るとボディワーク、ダンス・セラピー、スピリチュアル、仏教的概念が癒しに役立つという、およそ統計や実験、データとは縁がない世界の流れがどんどん提示されつつあります。

PTSD治療者の精神療法を行う医師でも、ソマティックという言葉がこれほど定着する以前からヨガ、ダンス、そしてスピリチュアルを重視するヒーラー、レメディを使用するホメオパシー療法のような代替医学を勧めている先生もいます。

ついこの間ほかの医療職の人に「心理療法とか学派っていくつぐらいあるの?」と聞かれて「400ぐらい?」と答えて驚かれました。

箱庭は?芸術療法、音楽療法は?科学なのでしょうか。

科学だけが正しいのでしょうか。

僕が心理職として行っているのはクライエントさん一人一人のために行っているオーダメイドのカウンセリングです。

心理職でも「自分は◯◯の学派だからこういうやり方しかしません」という言い方をされたらクライエントさんは不安に思うでしょう。

絵画療法や中井久夫先生が統合失調症患者さんに対して行った共同空間分割法も言葉だけに頼らないセラピーです。

(僕のカウンセリングによくありがちな話・ほぼフィクション)

僕「◯◯さんのイメージってこんな悪いやつが気持ちの中で邪魔してるって感じ?」(適当なバイキンマンみたいなイラストを描く)

クライエントさん「そうそう、そんな感じね、じゃ、正義の味方みたいなの描いてよ」

僕「えー、僕絵下手だから◯◯さん描きなよ」

ク「私お客さんだからひなたさんは言うこと聞かないと」

僕「わかったよ、こうかな?」

ク「ひなたさん、これほど絵が下手ってその仕事に致命的じゃね?」

僕「うーん、大学で習わなかったから」

ク「いや、ひなたさんの場合はそれ以前の問題でしょ、向き不向きっていうか才能っていうか」

(以上)

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催眠、イメージワークのように身体と心双方にダイレクトに働きかける心理療法もあります。

細分化されていく心理療法の中で身体性は常に注目されている概念です。

この間医療機関勤務の若い女性心理職と話していて彼女が「痛いって言っているのが取れるまでがカウンセリングの目標」と言っていたのに対し、別のカウンセラーが「それはカウンセリングの目標になるの?無理じゃないの」とやり取りをしていたのを見たのは印象的でした。

彼女はとても優秀で、多くのクライエントさんから慕われていてケースワーク的な動きも巧みに行い、マジシャンのように思われているとほかの病院スタッフから聞きました。

心理カウンセリングはきちんとクライエントさんの状態を見ながら実施すると、数十年来の症状除去、緩和をしたり、身体に働きかけて体も楽にすることがあります。

治療同盟がきちんとできて、信頼を得たカウンセラーとクライエントさんの関係性は安定しています。

それでも何らかの理由でカウンセラーを交替しなければならなくなった時(引っ越しなどで医療機関を変える場合など)「前のカウンセラーの先生はこうしてくれたのに今の先生はしてくれない」というのはありがちなことです。

僕のところから去っていったクライエントさんがその後カウンセリングを中断してしまったと連絡が来ることがあると心配になります。

もちろん逆パターンもあって僕の知らないところで僕のカウンセリングからドロップアウトしている人もいるのだと思います。

心理の仕事が国家資格化されて、従前から行っていた心理療法の質がこれまで以上にブラッシュアップされたものを期待されると思います。

心理職が科学的であることにこだわっていてもクライエントさんの求めている世界観はもっと身体性に根差しているものかもしれません。

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