カウンセラーさんたすけて

(かなちゃん)

わたしはまだ5さいなの

5さいだからむずかしいことはわからない

このまえおかあさんがあたらしいおとうさんとけっこんしたの

やさしいおとうさんで、かながねていると、おふとんにはいってきてだっこされて、ぐにゃぐにゃでやわらかい・・・いやー!!!

(まさよさん36歳登場)

かなちゃん、怖がらなくていいのよ、かなちゃんがいるこの白い部屋のドアを開けて、私がぎゅっとかなちゃんを抱っこしてあげる。

だから安心して。

かなちゃんは何も悪くないのよ。

悪いのはかなちゃんがお父さんって呼んでいたおじさん、おじさんはもうどこか遠くに遠くの離れたところにいっちゃったからね。

(しょうた14歳登場)

おい、勝手なことばかりお前ら言いやがって、俺の出番を増やせよ!

お前がかなっていうのか、ガキだからっていつまでも泣いてるんじゃねえよ、もっとしゃんとしろ!!

(かな)

こわい、しょうたさんあっちいってよ(泣く)

(しょうた)

やだね、俺は俺の好きなように暴れるね

(まさよさん)

大丈夫、かなちゃん抱っこしててあげるから、しょうたくんももう18歳なんだから、もうちょっとかなちゃんのこと可愛がってあげてね。

(しょうた)

俺の出番をガキに奪われるのはやだっていってるんだろ!

(はつみ18歳)

しょうた、あんた子どもイジメて楽しいわけ?

あんたの方がガキじゃん、かなちゃんは辛い思いしてきたんだよ、もうちょっと子どもには優しくしなよ。

(しょうた)

何だよ、辛い思いって。

(はつみ)

あんたには関係ないよ。

わかったらドアの向こうに帰りなよ。

(しょうた)

面白くねえな。

わかったよ。

ここにいてもつまんねえな。

あっちでゲームやって時間潰すか。

ゾンビ倒すの面白いんだぜ?

(はつみ)

いいからあっちいきな、私も帰るよ。

(まさよさん)

かなちゃん待っててね、また戻ってくるからね、ほら、これね、クマさんのぬいぐるみ。

ぎゅっとしてると安心するの。

いい子だから待っててね。

(かなちゃん)

うん、わたしもむこうであそんでる

(かすみ20歳登場)

ずっと見てたけど、かなちゃん辛そうだね。

(まさし23歳登場)

そうだな、お前、覚えてるの?

俺、何があったか知ってるぜ。

(かすみ)

私は知らないよ、私大学生だから勉強もサークルも忙しいからさ。

私、今主人格なんだってさ。

12歳ごろからずっと。

(ゆめ20歳、元々の主人格)

かすみちゃんありがとうね。

私いつも疲れてるから休んでるの。

だから私の代わりに大学の勉強頑張ってね。

(かすみ)

うん、任せておきなよ。

ゆめは疲れてるから休んでなよ。

(まさし、ゆめ、かすみ退場)

(しょうた登場)

ゲーム何回もやってたからつまんねえな。

(はつみ登場)

あんたもかなちゃんいじめるのやめなよ、大人げない、あんた何歳なんだよ。

(しょうた)

どうだっていいじゃねえか

(カウンセラー)

どうなのかな、深く深く眠っているとみんなが話し合いしやすいね。

しょうたくんは元気だからいろいろ言いたい年ごろだね、まさよさんを呼んでみようか。

(かすみにポンとひざを叩かせる)

(まさよ登場)

(カウンセラー)

まさよさん、しょうたくんと話し合ってくれるかな?

(まさよさん)

しょうたくん、実はね、あなたがあつも暴れたり、かなちゃんをいじめるからみんな困っているの。

なんとかならないかしら?

(カウンセラー)

しょうたくんはまだ14歳だから、もう少し、もう少し大人になったら変われるかな?

しょうたくん、しばらく深呼吸しながら深呼吸だけに注意していてくれるかな?僕の言うことは何も聞かないでいいよ。

しょうたくんは立派で男らしいね、だんだん大人になっていくよ。

(しょうた)

先生、俺、さっきまで14歳だったけど、今16歳、18歳なんですよ。

確かに小さな女の子いじめるのはカッコ悪いですよね。

どこか旅に出ようかな?って。

俺はもう役割終わったみたいな気がしてるんですよ。

(カウンセラー)

しょうたさん、ありがとう、これからどうするかはよく考えてみてね。

かすみさん、出てきてくれるかな?

(かすみ)

いつも大変だけどみんなと仲良くしていますね。

これからもよろしくお願いしますね。

(かすみ)

はい、私が頑張らないと支えられないから。

(カウンセラー)

かすみさん、無理しないでくださいね。

まさよさんもいつもかなちゃんの面倒見てくれてありがとうございます。

これからもよろしくお願いしますね。

まさしさん出てきてくれませんか?

(まさし)

うん

(カウンセラー)

まさしさんはよくみんなのことを観察してくれていますね、いろいろと自分で判断しているんですね。

(まさし)

はい

(カウンセラー)

これからもよろしくお願いしますね。

まさしさんは観察するのがすごく上手だから感心していますよ。

それじゃあかすみさんに戻って、あとはみなさんドアの向こうに帰りましょうか。

※ あくまでこれは例示で、こんなに簡単に心理療法は進みませんし、人格の成長や再統合には時間がかかります。

トラウマに触発された多重人格障害は、基本的に人格の数だけ面接をしていきます。

20の人格があれば20人分のカウンセリングをします。

しかし相当注意してやらないといけません。

人格の無理な統合は絶対厳禁です。

催眠下、EMDRや自我状態療法でこういった面接は行われていて、うまく行くと人格交代訓練も可能になります。

ただし、刺激に弱い段階でこういった療法をするとかなり大きな危険もあります。

心理職はセラピストです。

チャレンジャーではないのです。

PTSDのことばかり書いていますが、クライエントさんが抱えている恐怖はどの疾患でも重大なものです。

強迫性障害、自己臭妄想など枚挙にいとまがありませんが、どれも死に至りかねない病です。

特に新しく公認心理師になる方、そして既存の心理職の方にも知っておいて欲しいと思うのです。

自分のできること、最善のことをしつつ、手に負えないクライエントさんはその道の専門家に紹介できるだけの社会資源を持ち、できないことを自分でやらない勇気を持つことは大切なことです。

僕自身自分でカウンセリングをするよりも専門機関にクライエントさんを紹介し、うまく軌道に乗ってくれたらいいなと思いつつ手放すことは多々あり、自戒の念を込めて本稿を記しました。

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