◯ PTSD.AC.BPD.繊維筋痛症、慢性疲労症候群と公認心理師の可能性

(閑話休題)

僕「(恋人の)ちみちゃん、今日ブログ書くのかったるいから300円で代筆してくれない?」

ちみ「ヤダ、割に合わない、それにアンタのブログ、ムダに長くて読みきれない。読みにくい。要点だけ100文字ぐらいで書くとか?あ、書いてあげてもいいわよ。これまでひなた先生の作品を読んでいただきましてどうもありがとうございました。次回作にご期待ください。300円ちょうだい」

僕「うーん」

ちみ「私、ケーキ教室行くから後で迎えに来てねー」

(本題)

さて、ICD-10がICD-11(世界保健機構が定めている疾病及び関連保健問題の国際統計分類)にバージョンアップされました。

2019年に日本でも適用されるのではないかということで、ICD-11では正式にCPTSD(複雑性心的外傷後ストレス障害)が認定されることになるでしょう。

ICDは日本の保険制度の親玉のような疾病分類で、病名にそぐわない治療法や投薬をすると保険機構から支払いがされません。

だから双極性障害の人に精神病薬を出すのに、統合失調症診断名も同時につけたり、医療機関の現場は苦労しているわけです。

さて、PTSDやCPTSDに現場でかかわる心理職の人たちは相当な努力をしているだろうと思います。

難治性というだけでなく、カウンセリングからドロップアウトもしやすいですし、精神療法家にネガティブな怒りをぶつけてくることもありえます。

それは精神療法家への怒りではなく、加害者への怒りをカウンセリングルームの中で投影同一視しているからです。

さて、PTSD、CPTSDは医療機関だけに関係しているわけではなく、施設内の社会的養護を受けている児童にも起こっていることは、児童精神医学者の杉山登志郎先生がよく指摘しているとおりです。

2016年に日本でも訳書が出たベッセル・ヴァン・デア・コークの「身体はトラウマを記録する」は大変興味深く、評判がいい著作です。

専門家だけでなく、患者さんにもよく読まれています。

心理職が患者さんに「先生、読みました?知ってますか?」と聞かれるかもしれませんので必読の書だと思います。

PTSD、CPTSDの人は解離、回避、フラッシュバック、過覚醒以外にも、激しい全身疼痛を訴えることがあります。

難病指定を受けている繊維筋痛症FMには古くからトラウマや虐待との関連が指摘されています。

繊維筋痛症は慢性疲労症候群CFSと併発していることが多く、日本でも認知行動療法が行われていますが、著効がなかなか出ない疾患です。

「PTSDにはどんな治療法も効きやすい、薬物療法も認知行動療法も精神分析も効く」と言われていますがどうなのでしょうか?

クライエントさんに「病者の役割」を与え、治療に専念させる、クライエントさんが現在かかわっている対人関係に焦点を当て、クライエントさんの言うことをきちんと語らせる対人関係療法IPTはシンプルPTSDには効果があるかもしれません。

しかし幼少期から繰り返し虐待を受けていて、現在対人関係そのものが欠如しているCPTSDのクライエントさんをIPT技法16回で完治させることは困難でしょう。

「身体はトラウマを記憶する」ではCPTSDに対するさまざまな心理療法の可能性を検証しています。

認知行動療法はPTSDに効果があるということから、持続エクスポージャー法PEが使われることがありますが、週1回のセッションでトラウマ体験を語ってもらう、その時の録音テープを少なくとも毎日1時間聞いてもらうというのは凄まじい暴露、エクスポージャーです。

僕はクライエントさんに「持続エクスポージャー法もありますけどやってみますか?」と言うとたいてい断られます。

PTSDもそうですが、アダルトチルドレン、境界性人格障害の人たちも幼少期からの深いトラウマを心に負っていることが多く、便宜上診断名としてうつ病、発達障害、双極性障害、統合失調症、恐怖症などあらゆる診断名がついていることもあります。

多彩な症状を示すので前の病院から次の病院に移ると別の診断名がつくことも多いです。

PTSDに薬物療法が効くか、というとPTSD治療ガイドラインではSSRIを第1選択薬としてあげていますが、僕の知っているクライエントさんはSSRIが全く効かない、抗精神病薬を出してもらっても実感がないという人もいます。

PTSDの病態が重い人に多いようです。

それでは精神療法はどうかというと、さきほどの認知行動療法のPEは何しろ脱落例が多く、1日100分テープを聞かないと効果がない、CPTSDには認知行動療法は効かないという研究が出ています。

「身体はトラウマを記憶する」だとじゃあ何がPTSDには効くかというと、EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)が効果的と指摘しています。

そしてまたEMDRから派生した自我状態療法も効果的です。

EMDRも術者によって上手下手はあるでしょう。

指を動かしながら認知の編み込み(EMDRは認知行動療法も精神分析も取り入れています)をすればいいんだというわけではありません。

侵襲性(外科手術だと病変部を切ることによって生体に害を与える可能性があること)はどんな心理療法にもあるので、きちんとクライエントさんに確認しながらセッションを進めないとなりません。

セッション中、心的に安全な場所を確保しながら、クライエントさんがトラウマ記憶でフラッシュバックしそうなところをうまくコントロールすれば相当な効き目があります。

EMDR3回でPTSDがかなり軽快する人は70パーセントだとEMDR創始者のフランシーン・シャピロは数字を上げています。

公認心理師になりました、でもPTSDや虐待、トラウマが背景にある可能性が高い繊維筋痛症、慢性疲労症候群、境界性パーソナリティ障害はわかりませんということでは世間や患者さんからの大きな期待にはこたえられないでしょう。

公認心理師という箱ができたのですから、トラウマへのかかわりが可能な技法はきちんと習得して欲しいと思います。

グラント博士はBSPブレインスポッティングという、侵襲性が低いイメージ療法をEMDRにヒントを受けて生み出しました。

「身体はトラウマを記憶する」はヨガ、太極拳、ダンス、瞑想など身体性の追求に活路を見出そうとしています。

催眠、BSP以外のイメージ療法も効果的でしょう。

これらNBMの心理療法はソマティック・エクスペリエンスとしての新しい治療法の可能性が秘められています。


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