◯ 公認心理師志望学生、きりみちゃんと話す

※ 多少脚色あり

きりみちゃんは僕が道楽で所属している哲学書購読会の見学に来ている学生です。

(終わってから会場で)

きりみ「ひなた先生公認心理師の勉強大変だったでしょ」

僕「いや、そんなにかしこまらなくても、先生はいらないから」

きりみ「おいひなた」

僕「けっこうむかつく」

きりみ「ねえ、アッキー?」

僕「それ、くだけ過ぎ系みたいな?」

きりみ「ひなたさんさあ、私も臨床勉強してるから公認心理師になりたいわけね」

僕「うん」(このブランドのミルクティー美味しいな・・・)

きりみ「でね、私ね、豆腐メンタルだから人が死んだりするとこっちも食らっちゃうと思うの、病院ってまずいよね」

僕「2人いとこが看護師やっててホスピスと医療観察法対象病院で働いてるよ」

きりみ「そういうのは私はダメじゃん、スクールカウンセラーは?」

僕「どこの自治体のスクールカウンセラー部会でも自殺が発生したときの対処マニュアル置いてあるからなあ」

きりみ「・・・司法関係は?」

僕「自分は死んでないけど人死なせちゃった人と面接するよね、更生保護施設からどっか出てって死ぬ人いるし」

きりみ「児童」

僕「虐待死。神は死んだ」

きりみ「と言ったニーチェも死んだ。老人・・はやめといて、あ、わかった、作業所だ」

僕「就労継続支援施設はわりと重病の人も多いしなあ。境界性パーソナリティ障害とか双極性障害とかPTSDとか毎日重い人と会うよ」

きりみ「リワークなら大丈夫でしょ!」

僕「復職支援はかなり厳しいよ。会社やめるか戻るか瀬戸際だから命がけでくる人多いよ」

きりみ「ひなたさんいじわるしてるでしょ」

僕「ないない、実感だって。クライエントさんは確かにいつ死ぬかわからない、僕らだってそれは同じで、いつ死ぬかわからない。心理は風来坊みたいな生活してるからいつ転職するかわからない、そうするとクライエントさんは見捨てられたって思うようになるかもしれないよね」

きりみ「無責任な仕事だよね」

僕「身分が不安定な専門職だからいい条件があると移るよね。自分が大事だし。生活してる人間だもん」

きりみ「私やっぱり人が死ぬのはイヤ」

僕「クライエントさんが自殺したときにね、『あの人はそういう運命だった』とか、『あの性格だから仕方なかった、あの人が悪かった』っていうカウンセラーは先輩でも後輩でも見たけどね」

きりみ「それは聞いててやだなあ」

僕「辛くてもスーパーバイザーに話して自分の面接を振り返ったり、もっと踏み込んで自分の心理職としての生き方やキャリアを考え直すとかね、それが必要なんだよね」

きりみ「ふーん、ひなたさんは?」

僕「死んだクライエントさんが生きて最後に話したのが僕だったから、長時間警察に取調べ受けた。しばらく眠れなかったなあ」

きりみ「キツイね、公認心理師っていう国家資格になったら何か変わる?」

僕「マイルールで好き勝手なカウンセリングやって何か起こったら信用失墜行為と責められるんじゃないかな。そこら辺の責任は重い」

きりみ「じゃ、臨床心理士だけにした方が楽?」

僕「臨床心理士だって倫理は厳しいじゃない。それにこれからどんどん採用は公認心理師シフトになっていくよ」

きりみ「じゃあきちんと両方とも資格取ろうかなあ」

僕「うん、その方がよさそうだね、きりみちゃんぐらいまでかな?資格両方取る人は。これから公認心理師しか取らない人が増えるかもね」

きりみ「勉強して資格だけは取った方がいいかなと思ってさ」

僕「寒いね、駅のそばの味噌ラーメンでも食べてく?あそこのラーメンまずいけど七味唐辛子山ほどかけると味がわけわからなくなって美味しくなる」

きりみ「・・そういう誘い方ってどうよ。まあひなたさんのおごりならいいや。一食浮くし。」

僕「何言ってんの。ありがたいお話してあげたじゃない、講義料だからワリカンで負けてあげる。吝嗇心理士だし」

きりみ「ひなたさんがケチってだけでそれ心理士と何の関係もなくない?」

僕「さ、行こ行こ」

※ 若い人はきりみちゃんに限らず、臨床の現場に出て行く前に不安を抱える人もいます。

それは当然のことで、むしろ心理職が不安を話せるということは、誰かに聞いてもらえるというセーフティネット作りにもなります。

国家資格ホルダーだからといって、乗り越えられる困難が増えるというほどカウンセリング現場は甘いものではありません。

国家資格化は心理職のある意味スタートに過ぎず、5年後の制度見直しも待ち受けています。

クライエントさん、その家族、同僚や上司、世間の全てから注目されているという意識が大切なのではないでしょうか。

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