公認心理師資格取得≠即戦力

心理職の仕事は活動分野が広がり、複雑多岐になってきています。

公認心理師試験は確かに各分野での総花的な知識を問うものになっていますが、それだけでどんな現場に行ってもすぐ仕事ができるわけではありません。

例えば全身疼痛を訴える線維筋痛症FMは認知療法の有効性があると言われていて、心理職の活躍が期待されています。

まずこの疾患を理解、そして心理療法ができる心理職がどれだけいるのでしょうか。

また、慢性疲労症候群CFSもFMに近縁ですが、「じゃあこれらの精神療法は任せてください」と自信を持って言える心理職は、現場でも皆無でしょう。

精神療法の働きかけ、効果が期待されている難治性疾患はいくらでもあります。

公認心理師試験で出題範囲に入っていた精神腫瘍学、PTSDが試験勉強をして点数を取れるようになった、今後公認心理師養成課程で勉強して合格点を取れるようになったからすぐ現場でカウンセリングができるわけではありません。

反面、ある特定の分野に精通していてその現場のほかに職種からもクライエントさんからも絶大な信頼を得ている心理職は確実にいるわけです。

そういった心理職が安心してこれからも活躍して欲しいですし、医療機関ならきちんと診療報酬点数を取って堂々と役に立って欲しいとも思います。

心理療法は細分化しています。ある心理療法に精通して効果を十分に上げている人=試験で高得点を取れる人ではありません。

その逆も然りで、試験点数が良かったからどの現場でも通用はしません。

公認心理師試験は国家資格として初回試験が行われ、この制度が有効に社会内で認知され、役立つかという意味では心理職も医師を含む関係職種も、そして何よりもクライエントさんにとっても注目の対象ともなるわけです。

今日の標題を公認心理師≠専門職、あるいは公認心理師≠専門家にしようかと迷ったのですが、公認心理師が専門職であって専門家であることは間違いないですし、そういう世間からのきっちりとした評価も受けるでしょう。

ただ、どうにも現場で通用しない、ペーパー公認心理師がふと思い立って現場に出ようとして、公認心理師ホルダー不足なのでたまたま採用されてしまった、何も出来なかったということならば現場は混乱します。

その逆に現場で重用されている心理職がいつまで経っても公認心理師になれないということだとやはり現場でも困るということが予想されるわけです。

現在即戦力となっている人はきちんと資格ホルダーになって欲しい、逆に取っただけなんちゃって公認心理師の存在が現場で跳梁跋扈することも困ると思うのです。

この辺りのうまい落とし所が見つかるようなシステムはできないものかなと考えあぐねます。


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ
にほんブログ村

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ
にほんブログ村

6A5C0A3C-974B-42F5-A616-1E4A2D59686E