公認心理師制度は職人心理職の終焉を招くか?

公認心理師試験を受験した方はわかると思いますが、関係諸法律知識と基礎心理学分野問題は充実していて、その意味ではいい出題配分だという評価かあります。

専門家が出題委員に入っていたので出るのかなと思っていたロールシャッハテストは一問も出ませんでした。

ロールシャッハテストは昔から言われているようにかなり熟練を要するテストで、専門的なトレーニングを受けたのちも年間20例ぐらいケースを扱っていないとまっとうには取れないテストと言われています。

以下、聞いた話なので本当かどうかはわかりません。

とある総合病院の心理職が、明日開頭手術をする患者さんに対し、「器質性の脳疾患なのか統合失調症なのかわからないからロールシャッハテストやって明日の朝結果ちょうだい」と言われたと。

さもありなんという感じで否定はできません。

熟練していれば結果の解釈まで含めてテスト実施から解釈まで含めて2時間程度で済むでしょう。

かなり精緻な徴候も読み取れるでしょう。

箱庭や風景構成法の専門家はクライエントさんの顔を見ただけで、どんな作品を作るかわかるという域に達するとも言います。

僕は催眠を比較的よく使うのですが、クライエントさんによっては技法との相性がよく、20年来の疼痛が消えたという人もいます。

その人にとっては神業のようだと思えたかもしれませんが、僕よりもずっと上手で、催眠分野には歯科、分娩で無痛催眠を実施する達人がいます。

心理職の人はそれぞれに得意とする分野や属している流派があるでしょう。

今回公認心理師試験に出題されたのは心理検査ではバウムテスト、TAT、質問紙、知能検査、心理療法では森田療法、認知行動療法がさらっと出ただけです。

もっとたくさんの領域を広げて出題した方がいいという趣旨ではありません。

これが心理職初任者の資格審査のためだったら基礎分野だけでも十分です。

現任者で、ある分野の達人のような人、ニッチな領域を学んでいる、実施している人の技術力や経験値は試験結果に反映されるわけではないでしょう。

多くの心理関係学会が公認心理師制度策定や試験に関与しています。

しかし全てを網羅することは到底不可能です。

今後数年間はそれぞれの現場スタッフから、またクライエントさんからも信頼されているこういった職人のような心理が公認心理師になれなければならないと思います。

公認心理師は建物でいえば施設整備全般能力を問う試験でしょう。

電気配線が得意な専門家を水道配管知識や技術が足りないからと落としてしまうような試験になってはまずいと感じています。

何度も書いていますが、開業領域には相当な実力がある職人心理職がいるでしょう。

受験資格についても再考して欲しいと思うのです。

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