1.公認心理師試験に落ちる人々

さて、公認心理師合格率についてはかなり辛口の予想もネットには出ています。

僕は僕なりの予想をしているのですが、やはりどんなに合格率が高くても試験に落ちる人たちは一定数います。

今回の試験は難しかった、それは心理職の人々が共通して持っている感想です。

初回補正がかかったとしても、心理の世界をまるで知らない人にとっては合格ができないでしょう。

言われていたように(本当にいたのでしょうか?)クリニックの院長から命じられた受付事務員の人、施設で相談とは全然別の仕事をしていた人たちが現任者として受験をしていたかもしれないというのはあり得たのかな?という疑問があります。

占い師、ヒーラーが受験してたよという噂もあります。

心理業務をしていたという会社定款を登記簿謄本上出せなかっただろうと思いますが。

こういった本来受験してはならなかった人でも心理研修センターでは審査して撥ねることはできなかった場合もあるでしょう。

施設長の職印と上司の私印があれば受験可能な資格です。

その全ての適正さを厳密に審査することは不可能だったでしょう。

ただ、心理を長くやっていた人、大学院出たての知識新鮮な人が難しいと言っていた試験を門外漢が受けて合格できるかというと「?」と思わざるを得ません。

合格基準の60パーセント程度を必要人数を確保するために50パーセント程度に引き下げることは他の国家試験と同様に可能です。

しかし何の知識もない人が徒手空拳で挑んだとしたらそれでも試験は難しかったでしょう。

本来ならこういった、相談業務をしてなかった人たちは資格試験を受験したことを後からでも辞退しなければならなかっただろうと心理研修センターの注意書きからは読み取れます。

ただ、辞退しなかったとしても試験には合格できないだろうなあと思います。

よく聞くのが、公認心理師試験のためにはとてもお金がかかったという金銭的な話です。

本気でない人がそれだけのお金を出したのか、その所属機関がお金を出せたのか、その時点のハードルで断念した人々は試合放棄をしていたでしょう。

また、他の福祉医療関係資格で十分やっていけるけれども公認心理師資格が欲しいという人もいたと聞きます。

いわゆるこういった、資格マニアの人たちは勉強をするのが上手なで頭もいいので試験に合格できる可能性は充分にあります。

ただし、やはりここにも門外漢は歯が立たないという困難点は立ちはだかっていたでしょう。

彼らにも試験はとても難しかったはずです。

公認心理師資格が不必要、不合格ならさっさとべつの資格を取るための勉強を始める、そういう人たちにとっては、もう公認心理師のことは頭から消えているのではないでしょうか。

落ちてもさほど打撃がないわけです。

資格は不要だけれどもたまたま取れてしまう人もいます。

僕は初回試験に限っては合格率が高いと踏んでいます。

ほかの心理資格も一定の基準を満たしていれば取れます。

ただ、資格を取っただけ、本業として別の仕事ををしている、資格を眠らせている人、資格を更新しないで返上する人もいます。

考えてみましょう。

日本で資格を取る、それだけで食べられる医療福祉関係の仕事は医師、歯科医師、薬剤師、看護師がまず筆頭として考えられます。

放射線技師や臨床検査技師もいます。

社会福祉士や精神保健福祉士の活躍の場も広いでしょう。

ところがたとえ給料がよくても激務で家庭との両立ができない、心身の調子を崩して休業、転職をする専門職は多いです。

ステータスが高い歯科医師は高額な設備投資をしても自営でどんどん倒産しています。

勤務歯科医の給与は300万円ほどと聞きます。

公認心理師の資格を取っても眠らせてしまう人もいるでしょうが、僕はそれでいいと考えます。

大型運転免許だろうが玉掛けの資格だろうが、取って、それを生かさないで仕事をしている人々は多いです。

ただ、本当に資格が必要な人たちや、資格がないと将来的に困るであろう人たちに資格が付与されていれば、そこで資格は生きるわけです。

「きちんと心理の仕事をしてくれる人」に資格を与えるためには資格を利用しない人も含めて多くの合格者を出しておかないと日本の心理行政がうまく機能しないと思うのです。

合格者の中で稼動できる人は全員ではないのです。

2.公認心理師法

医療現場では当分の間、公認心理師試験受験資格を持つ臨床心理技術者が業務を行ってもいいということになっています。

しかし、そういった臨床心理技術者には公認心理師に課せられた厳しい秘密保持義務や罰則はありません。

近年の患者さんはよく医療制度について勉強しています。「先生は公認心理師の方ですか?」「いいえ、違います」というやり取りは患者さんの不信感に即つながります。

「私の秘密は守られるのだろうか?」と。

また、臨床心理技術者というだけでは主治の医師の指示に従う義務もないのです。

公認心理師受験合格率をきつく締め上げて低くしてしまう弊害は多いと思うのです。


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