立ち位置危し産業公認心理師

産業公認心理師が二階建て資格で創設されるとすれば、現在稼働している日本産業カウンセラー協会が二階部分を担う可能性もあります。

困難なのは、先に述べたとおり、産業場面に組み入れられた心理カウンセラーがどのような扱いを受けるのかということです。

現在でも、企業に勤務するカウンセラーはその所属先によって、かなり違ったスタンスで仕事をさせられるでしょう。

クローズドショップ(労働組合加入が社員となる条件)は日本でもごく一部の企業で行われています。

心理職も労働組合員にならざるを得ない場面が想定され、その場合、労組幹部をカウンセリングしなければならないことも予想されます。

産業医の下で保健師などとチームを組んでメンタルヘルス対策に望む、あるいは人事部付ということでカウンセリングを担当している心理職も今現在実際にいるでしょう。

産業場面でも問題になりやすいのが、クライエントさんとカウンセラーとの多重関係です。

人事部所属で、クライエントの個人情報を人事に流さなければならない場合もあります。

それが安全配慮義務の一環として行わなければならないのか、人事部の人事評価要請によるものなのかは、峻別がつきにくい場合も多いでしょう。

人事に話しが筒抜けだと思うと話したいことを話せないクライエントさんも多くなります。

公認心理師の職責、秘密保持義務と安全配慮義務はかなりこれまでと違って重視されることになります。

ジレンマを抱えることは必至ではないでしょうか。

さて、産業公認心理師は高度な労働法規知識を要求され、ストレスチェック制度にも関与して主体的に動くことを要請されます。

ざっと考えてみただけで、公認心理師範囲内にも入っているリーダーシップ論、集団圧力など社会心理学的知識も必要になります。

動機付け、企業組織論、コミュニティ心理学、組織と個人を対象にした属性論、アクションリサーチ、組織人モデルとプロフェッショナルモデル、人事労務管理、雇用、採用、報酬、労使など学ぶことは山ほどあります。

キャリアコンサルタントが求められている領域も期待されます。

実際、そういったことを要求され、実施している心理職もいるのですが、心理学から見た売れるための営業手法、新入社員へのメンタルヘルス、マナー教育、中間管理職研修ということで、心理とは離れた分野のジェネラリティを要求される場合もあります。

教育領域、医療領域でも同じことが言えますが、工業地帯などでクライエントと同じ地域、同じ学校のPTAに所属する場合がある、カウンセラーが車内の売店や喫茶店に行ったらクライエントが有無を言わさず座ってきて相談が始まってしまうこともあります。

お金の支払いをクライエントがあっという間に済ませてしまう、断ったら怒り出すクライエントもいます。

内線や仕事上の携帯やPHSを支給されていないクライエントが工場作業の隙を狙ってカウンセリングを申し込んでくる、内線電話が通じない、よく心理職の中で話題になるのですが、クライエントに個人携帯番号を教えてもいいのか?

危機場面に立ち会ってクライエントの上司に個人携帯を教えたらその上司が今度はまた別の問題でクライエントになることもあります。

産業場面という、心理職も一従業員である擬似多重関係の中にあって職務を遂行していく困難さが産業公認心理師にはつきまとうでしょう。

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