公認心理師試験で求められていたものは何か?

僕もようやく手元が落ち着いて、試験勉強の間に棚上げしていた仕事を片付け始めることができるようになりました。

受験期間中は激動、激震のように感じられる日々で、付け焼き刃の勉強期間は寝ても覚めても勉強でした。

さて、勉強中、最愛のハニーに公認心理師の試験範囲が広いことについて愚痴をこぼしたところ、「ふうん、公認心理師じゃなくて、『万能心理師』みたいだね」と言われ、まあそうだなあと思いました。

(ちなみに彼女からは僕が試験後に抜け殻のようになっていたので「ブログに書いてることと違うじゃん!ダーはもっと私を大事にしてよ!」と言われていますがそれはまた別の話です。)

心理職のどの資格でも同じですが、アセスメントはするけど診断はしないのが当然でしょう。

しかし、深い医療知識は心理職にとってどうして必要なのか?

という根源的な疑問に立ち戻るわけです。

Lewy小体症候群の症状について知らなくても心理職は遂行不可能というわけではないです。

ただ、診断された患者さんに接するのにLewy小体症候群だということを知ってかかわるのは十分に意義があります。

精神薬理学についてですが、医師が薬を処方する以上、服薬コンプライアンスにまでは公認心理師は踏み込めないでしょう。

これこれこういった薬理作用があるので患者さんの治療や症状増悪防止のために服薬してくださいとも心理職は知っていても言えないわけです。

ただし、もし患者さんが怠薬や拒薬をしていたらその気持ちを理解するのに薬理学は役立つでしょう。

(医師でなければ薬の作用機序がわからないので、服薬の重要性の認識をさせるのは医師の役割だと思うのです。もちろんカウンセリングの最中に、服薬してないということをクライエントが口にしたらそれは医師に報告するわけですが。)

医療領域においてはどうしても心理職がアセスメントという名の見立てを行って、どんな症状が前景に来ているからこの診断名の病気だろうという当たりはつけます。

うつ病という診断名でカウンセリングをしていたら、妙にテンションが高過ぎる=双極性障害?幻聴妄想が出てくる=統合失調症かな?

と思ったら、主治医にすぐ報告しないとまずいでしょう。

医療領域以外で働く心理職もアセスメントをしてDSM-5で疑われるような疾患や障害があれば専門医に紹介します。

主治医がつけた病名と違った症状が出現していれば、クライエントさんの同意を得て情報提供書を書くでしょう。

どんな治療を受けさせるかは主治医が決めます。

今回、公認心理師試験をおさらいして読んでいると、医師が行う診断、そして医行為として医師が専権的にしか行えない行為についての知識が多かったような気がします。

考え方の1つとしては、主治医が適切な治療を行うに際して心理職も医学、精神医学的知識を必要とするので心理的な援助を行うことが必要というものです。

長々と前置きをしましたが、公認心理師に必要な知識がこれだけ深く多様になっていると、どこかで必ず医行為とバッティングするでしょう。

とある市井の精神科医が「うちの病院では診断もできないような心理も看護師も要らない」言い切っていました。

患者さんの微妙な変化に気付き、診断名と治療方法が変更になるだろうと察知したら医師に報告、その結果変わったという経験は多くの心理職が持っていると思います。

その精神科医は患者さんに病名をつけて欲しいわけではないですし、薬物療法を心理や看護師にやってもらいたいわけでもなく、患者さんの状態を正確に把握、異変があれば報告をしてもらって対処したいわけです。

診療補助職ではなく、独立した判断と見立て、ケースフォーミュレーションを行うこと、そして指示を仰ぐというのはなかなかに難しく、しかも罰則規定まで存在するという非常に厳しいものなので高度な知識も必要となるわけでしょう。

特にALSの問題を帰宅してから復習して見ていたら、「何難しい顔してるの、ダー?」とハニーから聞かれました。

ALSはがっくりとQOLが落ちる、意思表示ができなくなってくる、苦しい。

そこでの心理的支援はひょっとしたら「安楽死」のように自発的呼吸が望めないのなら延命して欲しくないという患者さんの意思を尊重しなければならないかもしれません。

もともと在宅医療支援チームに心理職がかかわる例は多くは聞かないのですが、今後その必要性は高まるでしょう。

医師は、心理の意見を「ふうん」と参考程度に聞いて終わってもそれで終わりです。

公認心理師は医療機関外でも医師の指示を仰がなければならないし、患者さんが医師には秘密にしておいてくれと頼まれたら、今度は患者さんを説得しなければならない義務があるわけです。

医療領域の出題を見ていたら高度な知識に基づく判断、推論をしてから医師に伝えつつ、患者さんへのアドバイスなどの医行為は行わない。

そして医師の指示に従いながら患者さんの支援しなければならないというとてもアンビバレンツな役割期待があるのだなと思いました。

厚労省のガイドラインも今後改定の余地があると明記されているので現場が混乱しないような明確なものを打ち出して欲しいものです。


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