今朝の新聞で読んだのですが、親権者をめぐる紛争が激化すると間に挟まれた子どもの福祉を著しく害することになるということを改めて感じました。

家事手続法(旧家事審判法)でも「子の福祉」を第一に考えているのですが、非親権者が子どもを育てていた場合、親権者が立ち会っていれば、子どもの身柄引き渡しを執行官が強制執行できるというものです。

親権者が子の親権と監護権双方を持っている場合が多いので、法的な理屈はわかります。

しかし子どもが十分馴染んでいた非親権者の家庭から執行官によって引き離されることが本当に子の福祉にかなうのかどうかははなはだ疑問です。

非親権者が子を連れ去り監護した場合には罰則規定を適用し、1日につき幾ら、という罰金を取るのも子のいる家庭をさらに経済的な困窮に追いやります。

確かに子の連れ去りは非合法で、家事審判官(裁判官)がそれをよしとしないで本来の親権者のところに子を戻すという理屈はわかります。

最高裁家庭局?か最高裁判事の方針なのかどうかはわかりませんが、子の状況を考えるとあまりにも強引と思わざるを得ません。

子どもを学校帰りに待ち伏せして奪取するようなことはしない、子どもの意見聴取を十分に行うとされています。

しかし、親権者がDV夫で、子が怖がっている場合、子どもは自分の意思を十分に伝えられるのでしょうか?

子どもに精神・発達の障害がある場合、意思の欠缺となりはしないのでしょうか?

新聞には公認心理師出題範囲ともなっている、ハーグ条約、国際的子の引き渡し協定についても言及されていました。

ハーグ条約の結果、子を国境を越えて引き渡すことができるのは請求のうち約3割ということで実効性のあまりの低さに国際的信頼を失っているとも聞きます。

これから公認心理師を目指す方、今後こういった子の引き渡しに立ち会う場面では子の福祉を十分に考えて欲しいものです。

法律は生き物なので縷縷転々と変わります。

それが必ずしも良い方向に変わるとは限りません。

少年法で検察官送致年齢が16歳から14歳に引き下げられた時、少年犯罪の悪質化が世論を納得させる理由になっていました。

しかし実際には少年による凶悪犯罪は年々減少の一途を辿っていたのです。

むしろ法制度改正を推進した団塊の世代こそが少年時代に好き勝手に気ままに悪質な犯罪を犯していたわけです。

公認心理師は多くの法律を駆使して人々とかかわる資格になるでしょう。

だからこそ世の中の法の動きと人々の生の感情の動きに敏感でいて欲しいのです。



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