カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

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◯ 片山内閣府特命大臣の公認心理師制度への期待

片山さつき内閣府特命担当大臣が5月21日の記者会見において公認心理師について触れていました。

その後5月31日にも民間シェルターの必要性について記者会見に答えています。

「自らも被害者である」と述べた上でDV対策の重要性について触れています。

片山大臣が強調したかったのは、大民間シェルター検討会を立ち上げたこと、DVに関する問い合わせが
10万件と高止まりをしているままということ、そしてDVと児童虐待の関係が深いことについて触れています。

DVについてはその95パーセントがメンタルの問題を内包している、そのために心理職のかかわりが期待される、公認心理師制度もスタートしたばかりであると述べていました。

大臣がメンタルヘルス問題について積極的に心理職の介入を期待していく、そこで公認心理師の制度についてポジティブに意見を言うということは大きな意味合いがあると考えます。

心理職、と片山大臣は述べているので公認心理師に限定をしているわけではありません。

また

DV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会」による報告書(pdf)

が今年5月に内閣府男女共同参画局から出ており、被害女性のカウンセリングについての心理専門職のかかわりの必要性とともに、DVが起こっている家庭では子どもが暴力を受けていても行き場のない母親がそのまま居残って子どもが虐待を受けている「ファミリー・バイオレンス」の状況についても述べられています。

さらに加害者更生プログラムの必要性についても述べられていて、さまざまな見地から被害者、児童、加害者に対する心理的なかかわりは必要となってくるでしょう。

政治や行政が公認心理師について言及していく、今後ともこういった動きは加速していくものと思われます。

公認心理師-臨床心理士制度は現在過渡期にあって2つの輪のようになっています。

公認心理師制度が今後は時代の流れに乗っていくものと思われます。

ただし、高い専門性を持つ臨床心理士という専門職制度も今後も残っていき、心理職として社会から期待されていくことは心理職全体のためになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

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◯ 公認心理師試験復習・ストレスチェック制度の問題点と今後の課題

2015年12月から施行されているストレスチェック制度は厚生労働省が企業のメンタルヘルス対策として鳴り物入りで実施されていますが、さまざまな問題点がその制度計画段階から、そして制度施行5年目の現在に至るまで多く指摘されています。

で、何が問題なの?

というと、まずはハイリスク者でも申し出がなければ産業医など医師の面接を受けなくて済むということです。

まずはこのストレスチェック制度は希望者でなければ受検しなくても済むということですし、ハイリスク者のうち医師との面談希望をした人は全事業所について0.4パーセントにしかなっていないということです。

なぜこのように医師との面談希望者が少ないかというと医師と面談したらその後の人事上の措置で不利益を受けたらどうしよう?という受検者側のおそれによるものです。

これはストレスチェック制度の中では面接指導指導の結果を理由として、解雇、雇い止め、退職勧奨、 不当な動機・目的による配置転換・職位の変更を行うこととして厳密に禁止されています。

こういったテストの特徴として、ハイリスク者が医師による面接指導の申し出を行わなかったことについても不利益処分を受けないことも明示されています。

結果として、労働者側の誤解や曲解によるものかもしれませんが、こういった心理検査を産業場面で使う際には「どう使われるかわからない」という危惧は当然労働者側にあるでしょう。

そしてこのストレスチェック質問制度の57項目を見てわかると思うのですが、どれも自己申告式なので自分で低めに得点を操作できます。

産業場面において特に起こりがちなのですが、こういった自己申告式のメンタル状態を査定する心理テスト、SDS、CMIやSTAI、OSIといった心理テストは受検者の構えでいくらでも得点を低目(問題傾向なし)に出すことができます。

「このテストで高い得点を取って、お医者さんの面接を受けたら仕事楽にしてくれるの?」というお役立ち感覚は少なそうです。

どこの産業現場も人手不足、少子化の影響で若手が足りず7人野球ぐらいの負担を強いられています。

外国人を雇用できるぐらいダイバーシティ概念に理解があってもまだまだ労働力は足りません。

みなさんご存知のとおりストレスチェック実施者には「医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士」+研修を受けた歯科医師と公認心理師も加わりました。

実施者は段取りするまでが仕事で、アフターケアは医師の面談の結果、その中でさらに希望する人、そして事業所の体制が整っている場合だけは臨床心理技術者の面接を受けることができるわけで、このあたりは法文上の規定も曖昧です。

労働者が得られるアドバンテージもわかりにくいです。

ストレスチェック制度結果としてハイリスク産業なのは

1.運輸

2.医療・福祉

3.生活・娯楽

で、この辺りも知識として覚えておいた方がいいでしょう。

ストレスチェック制度は50人以上の事業所では義務、それ未満の事業所でも努力義務です。

義務化されている50人以上の事業所は労働基準監督署に報告しなければ罰則規定もあります。

働き方改革では月45時間を超える勤務は好ましくない(1日2時間ぐらいの残業)とされています。

労働基準法36条に定められた36協定(さぶろくきょうてい)では専門的職業に従事している労働者について1カ月45時間残業させる、休日出勤をさせる場合の特別な協定を結ばなければならないことが定められています。

厚生労働省基準では月間80時間残業をしている労働者は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)のハイリスク者で、労働基準監督署の立入検査も入ります。

この記事を読んでいる特に医療・福祉の方、それにかかわらず心理職や僕のブログを読んでくださっているメンタル疾患を持つ方々は「月80時間?なにそれおいしいの?」という感想を持つ人たちも多いと思います。

それから

「どうせストレスチェック制度受けて大変だーって言っても何も変わらないよね」

という意識はこの制度の形骸化につながります。

ストレスチェック制度上は当該労働者から医師を通じて申し出があった際にはその労働者の勤務軽減の措置をとらなければならないということにはなっていますが、「だって人手足りないからどうしようもないよ?」

と上司は考えて部下を閑職につけなければならなくなったらやがてその労働者はリストラ候補や低評価になっても仕方ないのが多くの事業所の現実、それを労働者も知っているからメンタルの状態より低めに自己申告します。

労働環境改善のためにストレスチェック分析結果は10人以上の部署には出しても個人が特定されるのでそれを下回る部署には組織分析の結果通知もありません。

年1回のストレスチェックが事業所ではまあ限界だと思いますが、人間が仕事で追い詰められるスピードはもっと早くて1カ月ぐらいで仕事の環境変化でメンタルダウンする人は多々います。

そういったところもこの制度のジレンマです。


また、労働環境全体について考えてみす。

国家公務員は労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)は原則適用されません。

地方公務員一般職だけは労働基準法の一部が適用されます。

公務員でも病院、保安職、治安維持組織や緊急出動を必要とする組織、行刑施設は当直もあり、夜中に叩き起こされることが仕事のうちです。

僕は1カ月のうち1週間泊まり勤務をしていたら体力精神力の限界を感じたのですが、もっと日数が多い泊まり込みの仕事をしている人たちはたくさんいます。

さあて忙しいから朝1時間早く出勤しようかな、ちょっと残った仕事片付けようかな、あ、電話入った、心理テストの結果整理しなきゃ、片付けなきゃいけない書類仕事あるなあ、とかやっていると大体午後8時、1日4時間残業×20時間で簡単に80時間残業になってしまいます。

働きすぎだぞーと上司から言われたことは一度もありません。

というわけでいろんな意味でストレスチェック制度はまだまだザル制度っぽいのですが、官制でスタートしたひとつの試みです。

厚生労働省作成のパンフレットはわかりやすいので必読です。pdf

必ず一題は出ると思いますので第2回公認心理師試験を受ける方は学習した方がいいのではないかと思います。

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◯ ひきこもりとはなんだ?!

川崎事件では死亡した容疑者がこのように親族に述べていました。

さて、容疑者は死亡時51歳、無職、家のことはちゃんとやっているだろう、というのが彼の言い分でした。

ひきこもりの厳密な定義は半年仕事をしていない、学校も行ってないということだそうです。

この辺りは若年者のニート Not in Education, Employment or Training, NEET)の定義と重なるようですが、ニートは15歳から34歳までに限られています。

内閣府(pdf資料厚生労働省、日本臨床心理士会(未公表)資料をつらつらと読んでみたのですが、ひきこもりは時代とともに概念が変遷しています。

そして今問題になっているのがひきこもりの高年齢化で、40代以上69歳までの引きこもりが61万人いるという内閣府の調査結果が2019.3.29に出ています。

この調査はかなり精度を高めて調査したサンプルから母数を推定しています。

ただし、これはよく言われていることですが潜在的なひきこもりとしての女性のひきこもりは数の上に計上されていません。

女性のひきこもりは男性よりもかなり僅少な数で算出されています。

働き盛りの夫に知らない土地から知らない土地に連れて行かれてその度新しい人間関係を構築できる主婦は限られています。

暗数としてはひきこもりの数は政府が発表しているよりも多いでしょう。

さて、昔を振り返ってみます。

一昔前なら司法試験浪人や東大早稲田浪人がいて、「あいつは30になっても40になっても頑張っている、エライやつだなあ」と一部の人は許してくれたという文化がありました。

潜在的ひきこもりを許す文化です。

現代でも10年浪人して医学部に入ればお医者様になれます。

果てしなく医学部浪人をしている人たちの中でも成功者は出てくることも事実です。

もっと時代を遡れば素浪人という無職の仕官を求めて江戸時代以前から明治前期に至るまで、時には野盗などをしながら仕官できたり、大商人になれた人たちがいます。

こういう人たちは無職でも求職していた武士もどきということで、プライドが高い無職だったのでしょう。

今度は小中高児童生徒について考えてみます。

現在登校拒否という言葉はほとんど使われていません。

いや、拒否しているんじゃなくて行けないんだから不登校なんだ、ということで不登校という言葉を使われています。

不登校に対する対処はスクールカウンセラーにとっては果てしない課題です。

そしてその人が引きこもりになってしまうかどうか、人生の境目ともなります。

スクールカウンセラー配置で不登校はどれだけ減ったか、逆に増えたかという数はそのまま翌年のスクールカウンセラーの雇用につながることがあります。

校長は自分の評価にかかわるから必死です。

スクールカウンセラーを替えれば変わるかもしれないという言い訳を考えて非常勤職員を切り捨てても不思議はありません。

学校はなかなかハードルが高い命題を出すもので、不登校児の家に迎えに行け、担任が行っても学年主任が行ってもダメだ、と言われて何度も子どもの家に行きました。

子どもに何をしに来やがったんだ早く帰れ、ばかやろうと怒鳴られたことも度々、アウトリーチ(積極的介入)の持つ意味についてきちんと説得できれば良かったのですが、しがない非常勤職員としては校長に逆らえません。

うまく行った例(改変済)もあって、家庭訪問に行くと子どもがアニキャラやオリキャラのお絵描をしていて「うまいじゃん、よく描けてるねえ、これ◯◯のキャラっぽいね?」と言うと子どもがびっくりしたような顔をします。

僕「また来ていい?」
子ども「ビミョー」

スクールカウンセラーは年間35週契約、行かない週があると「あのおじさんは?」と聞いていたそうでした。

子どもにとっては大人はみんなおじさんなので、なんだかわけがわからないけど週イチで来ておじさんに絵を褒められているうちに相談室登校して教室復帰をします。

こういう場合は子どもや保護者、学校にも十分な準備体制が整っていてカウンセラーはきっかけを作ったに過ぎない場合だといろんな例を振り返って思います。

将来的なひきこもり候補が1人復帰したと思うとほっとするのですが、長期化すると確かに厄介でしょう。

僕が福祉の現場や労働局でバイトしていたときも小学校からだんだん学校に行けなくなってそれからなんとか外に出られるようになって、必死で就継やハローワークに来てもう緊張でガチガチになってそれでも来る。

偉いねすごいねとポジティブに評価してもなかなか続かなくてまたひきこもってしまうわけです。

ひきこもりサポーターという制度があって、元ひきこもりのピアサポーターがひきこもりの人の家庭を訪問声かけをする。

ひきこもりの人を完全社会復帰させるまでいかなくとも、作業所に来られるようにするとかデイケアに行けるように頑張る気持ちになれたら僕は大成功だと思います。

行政でひきこもり地域支援センターを作りアウトリーチをするという看板は立派です。

実際のところ、ひきこもりの定義にも書かれている、さまざまな精神疾患の可能性もあるけれどもそれと決まっているわけでもない、これがひきこもりの実体的な意味づけだと思います。

社会的支援体制を充実させて福祉的な受け入れを充実させて行政はありとあらゆることをしようとしています。

厚生労働省科研費事業で作成された「ひきこもりの評価・支援に対するガイドライン」pdf資料ではひきこもりを精神障害、発達障害、パーソナリティ障害のいずれかに該当すると規定していますが(p24)
「障害がなければひきこもりは起こらないの?」と思ってしまいます。

実際にはほかのガイドラインでは述べられているようにひきこもりはさまざまな要因から成り立っていて疾患や障害が前提となっていない場合も多いでしょう。

現在、心理職ができることとして可能なのは教育では不登校支援、医療では病院に来た際にその人が統合失調症スペクトラムや神経発達障害群に当てはまっていればそのサイコロジカルな支援をしていくことです。

ところが一方では「働いたら負けかなと思っている」「親パワーで一生生きる」と言っている人たちをネットでも見ます。

50代ひきこもりが年金暮らしの母親にすがって生きているのを「母親にもやりがいを与えたいと思っているから」と開き直ったかのような態度をしていて芸能人から叱られていた動画を見たこともあります。

ネトゲの世界では60人の部下を従えてドロップ率0.数パーセントの伝説のアイテムをリーダーが入手する、みんなから拍手される、そんな話を聞くと、それだけのリーダーシップがあるなら、おま、社会人で十分やってけるだろうと思ってしまいます。

チームによってはメンバーにバイト一切禁止を言い渡しているところもあるとか。

せどりで月10万稼ぎながら声優イベントに行き続けるオタクの人もテレビで見ました。

ひとつ対応を間違えるとひきこもりの人はそのままになってしまいます。

こういった開き直ったひきこもりの人々は充実しているかというとそんなことはなく、精神的にその根底にあるのは将来への果てしない不安と恐怖です。

親から罵倒されて不登校の子が水をかけられる動画を見て「うわあ」と思ったこともありますが常識的にはそれはダメなやり方です。

故河合隼雄先生の講義を生で聞く機会がありました。

不登校の子どもの言い分をにこにこしながら聞いていたカウンセラーがあまりにワガママな子どもの言い分に耐えかねて「とにかく学校行け!」と怒鳴りつけたら子どもが翌日から学校に行き始めたというエピソードを話してくれました。

いろんな要因が重奏して起こるひきこもり、年々ひきこもりが高齢化していくにもかかわらず福祉財源が少なくなってくるでしょう。

行政ができること限られていて、心理職はどこかの場面で登場を要請されるとは思います。

心理職がどこでどうやって福祉や医療と連携して対応するか、ことひきこもり対策行政についてはまだ暗中模索のままです。

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