カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

1.重大なニュース/本日12:00から現任者講習申込み開始/2.「書く」カウンセリングに公認心理師はどう対応する?

1.重大なニュース

2019.1.7/ 12:00から日本心理研修センターと日本精神科病院主催の現任者講習申込み受付が開始されます。

双方ともWEB申し込みのみのようです。

今年Gルートで受験される方で現任者講習未受講の方は受講地、受講人数などご確認の上、日本心理研修センターあるいは日本精神科病院協会のホームページを参照してください。

日本心理研修センタートップページ「現任者講習会」から入れます。

※ 誤って明日と書いてしまいましたが本日です。謹んでお詫びします。


2.書くカウンセリング

「書く」カウンセリングは古くは森田療法の手紙カウンセリングから始まり、少年院でも昔から行われてきて、改悛の情を母親に伝える、といったようなロールレタリングは日本独自に開発されたもので、学会もあります。

ゲシュタルト療法との相似点も指摘されていて、ゲシュタルト療法が空っぽの椅子、エンプティチェアに座らせている仮想の人物に話しかけさせる行為の手紙版と言えるでしょう。

ロールレタリングは矯正、教育分野でもよく使われています。

また、認知行動療法では書くことがホームワークになっている場合があるのは心理職には周知の事実です。

担任の先生が子どもの書いた文章に返事を夜遅くまで書いているのを見ていて、これもまた「書くカウンセリング」なんだろうなと思いました。

心理市場は飽和しつつある側面もあります。

だからメールカウンセリングはあちこちのカウンセラーやカウンセリング企業で取り扱っていて、クライエントさんの細かなニーズに応えようとしています。

「公認心理師◯◯」

というステータスでメールカウンセリングをやれば国家資格だけに高い能力と役割を期待されます。

多分言い尽くされていることでしょうけれども、クライエントさんがもし「メールカウンセラーの◯◯先生とやり取りをしていて生きていても仕方ないことに気づきました」と残して自殺したらどうするのか?

メールのやり取りは印刷されて残るから、というものでした。

実はこれは通常のカウンセリングにも共通していることで、録音をしているクライエントさんもいます。

保険があるから加入して欲しい、いや予算が、というやり取りをしていたのを覚えています。

フリーで仕事をしているとこういった飛び込みのアルバイトはそれなりに嬉しいものですが、メールが来てから24時間以内に1万字返信というその会社の規則はなかなかハードでした。

立ち上げたばかりの企業体だとルールが厳格でなく、クライエントさんが「悩んでます。どうしたらいいでしょうか?」というような、内容を語らないきわめて短文のカウンセリングにどう1万字の返答したらいいのか四苦八苦した覚えもあります。

EAPでとある大きな金融機関(ちょっとぼかしてあります)の無料付帯サービスとしてメールカウンセリングをつけていて、そこで請け負い業務をしたこともありますが、なかなか依頼が来なかった覚えがあります。(大企業なので保険はしっかりしていましたが)

そこの金融機関では、サービスがあるからそれだけで安心していたのかもしれませんし、あるいは利用者さんがメールカウンセリングそのものに対する抵抗があったのかもしれません。

公認心理師法を見てみます。

(定義)

第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。

二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

(四号は啓蒙活動なので略)

「書く」カウンセリングはどうやら心理的支援の中に入りそうです。

ここで心理職のプライバシー、電話番号についても触れておきます。

以前、勤務先から専用携帯を渡されていないカウンセラーがクライエントさんに個人携帯を教えるべきかどうか?

という議論が心理職の内輪の会合の中であり、結末が出なかったことがありました。

僕も危機介入としてクライエントさんの上司と連絡を取り合うために上司にだけという約束で連絡先を教えたら上司が僕の電話番号をクライエントさんにさらっと教えていたことがありました。(ちょっと改変しています)

学校は要覧を作ります。

その中に僕の電話番号が掲載されていたこと、そこで保護者や生徒さんから直接連絡が来る、要覧がなくても相談希望者に「ひなた先生の連絡先教えておいたよー」と言われ、文化が違うんだなあと思ったことがありました。

翻って最近はさまざまなツールがあり、クライエントさんとカウンセラーの距離感は縮まることがあります。

現場作業を外でしていて多忙、そのスケジュールの合間を縫って連絡するのに携帯しかないクライエントさんに「決まりですから」と連絡先を教えない産業場面のカウンセラーは、「何の決まりなの?」と自分の上司、クライエントさんの上司から連絡先を教えるように言われることもあるでしょう。

電話に抵抗があればメール、そして電話番号がわかればLINEで連絡が来ることもあります。

携帯のショートメッセージsms、メール、LINE、どこまでがいいのか悪いのか倫理規程はありません。

前にも書きましたが「死にたい」という電話と「死にました」という電話とどちらが望ましいですか?

という命題にどう答えたらいいのでしょうか。

弁証法的行動療法はカウンセラーが時間外に連絡を受けることを推奨しています。

どうしても連絡は個人携帯しか取れない。

メールやsmsは良くてLINEはどうしてダメなの?

と聞かれたら心理学的根拠をもって返答できるでしょうか。

さまざまな民間資格を持ったカウンセラーがいろんなツールでクライエントさんとコミュニケーションを取りながら連絡しているのを見ています。

「なぜ先生はLINEを教えてくれないんですか?」と聞かれる日も来るのかなと思います。

厳しい公認心理師の倫理の中で「書く」カウンセリングを効果的に活用するのにはさまざまなハードルが存在しています。

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◯ 公認心理師資格がない心理カウンセラーの行方

1.医療現場・公的機関で行われているカウンセリングの今後

中元さんの心理カウンセラー開業で何回か書いているのですが、心理カウンセラー、心理面接というのは業務や名称を独占していないことは周知のとおりです。

公認心理師試験は名称独占で、業務独占ではないということは検討段階から再三言われていたとおりで、医師が患者さんの心理相談に乗る医行為、精神保健福祉士が当事者の心理生活相談に乗ることもあるわけです。

ハローワークにも臨床心理士資格を持つ心理職がいます。

職業相談を行っている産業カウンセラーもハローワークには多いです。

ハローワークの今後はわかりませんが、雇われている心理職は多分みなさんの予想どおりどんどん公認心理師にシフトしていくでしょう。

2.開業カウンセリングの多彩な活動

医療・行政機関で行われている心理カウンセリングは臨床心理士の半ば独占市場のような状態です。

採用基準に臨床心理士(たまに産業カウンセラー)とあるからです。

一方で開業カウンセリングをしている人たちは実に多彩な経歴を持っていて、臨床心理士もいますが、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、交流分析士などもいます。

ストレスチェック制度を今後心理に依頼するとなると外部EAP(Employee Assistance Program)(従業員支援プログラム)機関の公認心理師が実施者になります。

ただ、自治体がメンタルヘルスパッケージ(メンタルヘルス教育、カウンセリング)を入札にかけて購入する場合もありますし、企業にメンタルヘルスパッケージをEAP企業が販売する場合もあります。

EAPでない、開業カウンセリングは特殊技能に近い、無資格でも卓越した臨床技能で実施している個人もいます。

特殊分野に特化した複数のカウンセラー(有資格者・無資格者問わず)が自営をしている電話、面談カウンセリング企業もあります。

かたやEAPの開業となると、求められているのは営業能力、説明能力です。

メンタルヘルスをパッケージで企業に購入してもらい、メンタルヘルス教育を行い、カウンセリングは依頼があった際に必要に応じて実施する、となるとEAPカウンセラーはパッケージを購入したクライエント企業からカウンセリングが発生することを嫌がります。

カウンセリング件数が少ないと「十分にカウンセリング教育を実施しているから御社のメンタルヘルス状態が健全に保たれている」という言い訳excuseができます。

カウンセリング件数で1件歩合いくらで契約していると、EAP企業は心理テストを実施してハイリスク者を次々に面接して「これだけの人たちが潜在的にカウンセリングを求めていた。カウンセリングができてよかった」と人数分定期的にテストを実施してカウンセリング料金を支払ってもらいます。

さて、このようなEAPカウンセラーでも臨床能力が卓越した人もいるでしょう。

ただ、求められているのは公認心理師的な資質よりも組織介入心理学です。

こういったEAP分野においては資格は何かそれらしきものがあればいいですし、なければ「メンタルヘルスコンサルタント、多数有名企業からの依頼実績あり」、そして売り込みの際のプレゼンテーション能力の方が求められているわけです。

3.結語

公認心理師試験にはパワーポイントで資料を作成する科目はありません。

本格的な経営学もカリキュラムの中にはありません。

経営手腕に長けた非公認心理師の行うEAP企業は今後もなくならないでしょう。

個人面談カウンセリングを行うカウンセラーも極端に言えば傾聴士でも構わないわけです。

クライエントさんからの話を聞いて欲しいというニーズは高いものです。

心理職がクライエントさんが自分自身で洞察に達しないうちに切り込むように鋭い解釈をしたらそれは毒になるカウンセリングです。

公認心理師は多くの知識を要求されています。

新公認心理師でカウンセリング技能の高い人はもちろん多いでしょうし、世間からはそれが当然だと思われるでしょう。

しかし公認心理師でない心理カウンセラーへのニーズも高く、なくなることはないと僕は考えます。

自己研鑽も勉強もしない有資格者よりも、はるかに自らを鍛えて臨床能力を上げようとしている、そして獲得している心理カウンセラーも多いものです。

自分の臨床活動が世間の求めているものに本当に合致しているかどうか、資格の有無にかかわらず、これまでの僕自身のカウンセラー生活の履歴と世間からの期待をよく見直してみたいとこの機会に思います。

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※ 花屋さんに掲載の許可をもらいました。

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・次年度公認心理師試験予想

1.目的

次年度のことを考えるのは気が早いと思われるかもしれませんが、これから公認心理師として現場に出て行く人の活躍ぶりが次年度試験内容や基準にも反映されると思い、書いてみます。

2.概論

2018.9.9の第1次試験の結果を受けて2019年度の試験をどのように運営していくかはある程度方針が決まっていくでしょう。

2018年度については、申込み受付期間に何人から申込みが来たか、その前に現任者講習に何人申込みがあったかによっても試験レベルの考慮はしていたでしょうし、ブループリント(出題範囲)が決まっていた段階で試験の大枠は決まっていたわけです。

私塾の小テストで「さーて、来週なんの試験やろうかなっ!」と学生バイトがワークブックを切り貼りしているのとはわけが違っていたわけです。

いつ、去年の(?)何月何日の時点で試験問題が決まっていたかはわからないですし、一問一問設問を構成するのに相当の議論や推敲があったのではないでしょうか。

北海道追試は最初に決まっていた方針を踏襲したのでなるべく同レベルを再現しようとしたとは思います(難しかった!という声はよく聞きますが)。

3.次年度受験者数予想

⑴ 再受験者

本年度合格を果たし得なかった8000人のうち何人が受験するか、あちこちで画像がアップされていますが137点で不合格という惜しい人や、やる気のある人たちは再チャレンジするでしょう。

現任者講習を昨年受けて受験してみたものの、あまりにも合格点数に届かなくて愕然としてもういいやと思う人もいたでしょう。

5000人ぐらいは再受験するのかな?と思います。

⑵ 新Gルートホルダー+新院卒者

この辺りの人数は読めないのですが、2000人程度かな?と思います。

⑶ 合計

6000人〜7000人くらいかな?と雑駁に考えました。

4.次年度試験難易度、合格率

何度も参考にしてきた平成29年5月31日の公認心理師等カリキュラム検討会ページ30です。

「3 合格基準 全体の正答率は 60%程度以上を基準とする。基本的能力を主題とする問題の正答率は、試験の実施状況を踏まえ、将来的に基準となる正答率を定める。」

今回の試験はまず合格率、合格者数ありきだったと試験機関も言明していたと受け止めています。

難易度を補正して事例問題の配分を3倍にして合格率を上げた、合格者数数を増やしたというのは、5領域、それぞれの施設や分野、大学等で指導者の数が必要だったからと考えています。

しかし次年度は、ある程度今後を見越して合格者を定めるので、今回のような3倍補正があるのかどうかわかりません。

今回合格者が多かった旧院卒ルート、特にD2ルートは86.2パーセントの合格率でした。

これらの新院卒者やGルートを考えると試験機関では次年度そう多くの合格者数を必要としないだろうということは想像がつきます。

かといって試験内容を前年度比でものすごく困難なものにすることはないでしょう。

この試験は落とすための試験でなく、一定のレベルに達した受験者に資格を与える試験です。

よく比較される精神保健福祉士は合格率6割程度、社会福祉士試験は6割程度ですが、点数が取れれば合格しています。

臨床心理士試験(前年度65.5パーセント、2010年〜2016年は平均60パーセント)もよく対比されるのですが、一定の知識を身につけていて、面接で通常の受け答えができれば落とされるものでもないでしょうけれども、臨床心理士試験に落ちた人の話を聞くと、決定的に勉強時間が足りない。

または統計、発達、社会心理学、心理テストなど不得意分野が多過ぎて克服できなかったと聞きます。

次年度公認心理師受験者は本年度合格者と同様、現任者テキスト、心理学検定、エッセンシャルズ、辰已、京都コムニタスや100人力の情報を参考にコツコツと勉強するしかないでしょう。

漠然とですが、次年度以降公認心理師合格率は6割程度、2025年第1回Aルート受験者も6割程度の合格率になるのではないかと思います。

3.新規登録者が次年度試験に与える影響

医師国家試験に合格した学生は99.9パーセント医師になります。

医師免許がない人間が現任者ルートで受験して医師になることはありえません。

公認心理師は現任者が落ちたとしても、それが病院心理職としてもすぐクビになるわけではありません。(真っ当な職場なら)

新公認心理師には教員、作業療法士、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士も多いと聞きます。

医療、教育、福祉、産業、司法5領域のどの分野で新公認心理師が専門家としてどんな活躍をしていてどのように社会に役立っていくのかは、今後資格の価値と重み付けを決めていきます。

必要性が低い資格ならばそのような扱いを受けてしまうでしょう。

真に活躍してくれる人材が合格者に比べて多すぎると思われたら減らされます。

学生数に比して定員枠が少ない保育士は2割、受験者があまりにも多いのに対して必要介護福祉士数との兼ね合いでケアマネ合格率は10パーセントです。

もちろん新しくできる公認心理師団体のうち日本公認心理師会の意見も深く聴取されるでしょうし、委員の意見は尊重されるものと思います。

行政システムはフェイスブックやツイッターを使って自ら情報発信をしていますが、その反面でインターネット世論にもひどく敏感になっていて、そこからの生の声や意見という情報を収集しています。

個人ブログ、ツイッターはその最たるものです。

公認心理師制度が発足してよかったと世論に評価されることが後々続く受験者のためにもなるだろうということで、新登録者は襟を正していく必要があるでしょう。


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