カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

ASD、ADHD、HSP、GIFTED
変わりゆく発達障害の概念・新公認心理師に知っておいて欲しいこと

1.概論

DSM-5(アメリカ最新診断基準)でアスペルガー、広範性発達障害、PDDNOS(ほかのどこにも分類されない広範性発達障害)という概念が消えてASD自閉症スペクトラム障害という概念になったのは画期的なことだと思います。

DSM-5は重複診断がしやすくなった診断体系なので双極性障害とADHDの双方の診断を受けている人も多くなってきたという所感を持っています。

この双方の診断が出ているということはそれだけ幅広い医療的支援の可能性を高めているのですが、「やっていきにくいですよ」という宣言をされていることにもなるとも思います。

発達障害の概念は時代によってかなり変遷してきました。

2000年ごろから「軽度発達障害」はI.Q70未満の古典的なカナー型自閉症と違って知的には通常程度以上の発達障害が知的に障碍されていないから軽度」という扱いを受けてきたわけですが、これは大きな間違いでした。

生きにくいという意味ではADHD、ADD、ASDでもLDは知的障害の自閉症と変わらないどころか、むしろ重い場合も多いわけです。

2.発達障害は人の話を聞けないから鈍感という誤解

発達障害の人たちは自分たち障害のことを研究し、知識を集積するのに余念がありません。

きちんと勉強している発達障害の人のカウンセリングをしたら駆け出しの心理職は知識で優に負けます。

昔はアスペルガーと言われていたのだから、とりあえず話すのを聞いていればいいだろうと生返事で話をカウンセラーが聞いていると彼らは敏感なのでそれをたちどころに見抜きます。

HSP Highly Sensitive Person
(きわめて繊細な人)は、障害というよりもその人の特性ですが、これがその人の生き方を阻害することがあります。

スクールカウンセラーをやっていた人にはそんな経験があるかもしれませんがHSPは思春期に特に出やすい、廊下の隅で女の子たちが談笑しているのを見て「僕のことを笑っている」と思い込んでいたのが、女の子たちは昨日見たテレビのジャニーズタレントのことを話していたわけです。

思春期に敏感になると、一見妄想ではないか?と思えるような心情になることはあります。

HSPの人にも出やすいわけです。

心理職の人が「妄想だから統合失調症だ」と勝手に診断してはいけません。

3.発達障害の人が持つスティグマ(社会的烙印)・そして有能性

ビルゲイツやスティーブ・ジョブズ、エジソンのように発達障害でも天賦の才に恵まれた人々は多いです。いわゆるGIFTEDという特殊な才能を持つ人です。

人間の持つ2万の遺伝子のうち、15個程度が変異を来たすと発達障害になります。

しかし発達障害、統合失調症、双極性障害も致死遺伝子ではなく、人類誕生以来脈々と受け継がれていて、必ず人類の歴史上必要だったからいまだにこれらの障害を持つ人が生き残って何かを築いたり、天変地異の準備をしていると考えられるという仮説があります。

男たちはみんな狩に行く、無謀な狩人だけでは狩はうまく行かず、狩は嫌いだけど矢じりを作るのに熱中する矢じりオタクのような発達障害の人がいなかったら人類は滅びていたかもしれません。

我は神の子、神の声を伝えられる統合失調症と現代なら言われるようなシャーマンが戦を収め、人々の心に平和をもたらしていたのかもしれません。

大地震や噴火が起きた、いくらでも不眠不休で働いて高いテンションで人々を自信を持って指揮していた双極性障害の人たちが人類を救っていた可能性もあります。

発達障害の人々へのかかわりとして
、「もうちょっと頑張ればできるからやってみよう」というのは、ひとつの正解かもしれません。

しかし金科玉条のようにそればかりを唱えて無理強いすれば必ず失敗するでしょう。

障害を持つ人の数だけ、そしてその人の毎日の状態によってかかわり方も変わるということを心理職の人たちには知って欲しいと考えています。

これまで発達障害に深くかかわってきた心理職の人たちや、新たに心理職となった発達障害に造詣が深い新公認心理師への期待は大きなものになるでしょう。

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◯ 双極性障害、うつの意外な常識〜公認心理師はどこまで踏み込める?

公認心理師編ばかり書いていますが、きちんと心理カウンセラーとしての本業に関係したことも少しずつ織り交ぜながら書いていきます。


1.公認心理師の専門性

ブループリントには精神疾患のその分類、治療法に至るまで多くの領域の知識の必要性が示されています。

ただし、実際に臨床の現場に出てカウンセリングを行っていくと試験問題の勉強のやり方、知識の習得をはるかに超える具体的な質問をクライエントさんからされる場合も多いものです。

これまで臨床心理士だったら対応できた、公認心理師だけの有資格者はわかってくれない、対応できないということになると困るわけです。

そういった理由でこの記事では両方の障害の知られているようで知られていない知識、そしてカウンセリングの現場で役立つ知識を紹介してみます。

生物学的な診断と医行為は医師の専権行為です。

心理には何ができるのでしょうか?

何を知っておかなければならないのでしょうか?

2.これらの気分変動には理由はない

カウンセリングをしていると「なんでこんな状態になってしまったんでしょうか?どうしてなんでしょうか?自分が怠けてて甘えているからなんでしょうか?」と教科書に書いてあるような自己否定発言をするクライエントさんもいます。

確かに仕事がうまく行かない、家庭が不和だろうとか、睡眠リズムが乱れてしまっているとか、思い当たる節がある気分変動もあります。

ところが理由が全くない気分変動もあるわけです。

「なんだか知らないけど落ち込む」「よくわからないけど眠れない」
「テンションが上がって仕方ない」

という話を聞きます。

さて、まず双極性障害(躁うつ病)ですが、うつの人はなだらかに段々と気分が落ち込んで学校や会社に行けなくなる、家族から見ていても少しずつ状態が悪くてなっていくということが多いものです。

ところが双極性障害の場合にはなだらかさはありません。

急にテンションが上がる、前触れなくがっくりと落ち込むという折れ線グラフのような気分の変化の仕方をします。

「なんで?」というクライエントさんの問いかけには「理由がないこともあるのがこの病気の特徴ですね」と答えています。

原因究明よりもどうやって養生するのかを考える方がいいでしょう。

DSM5(アメリカ精神医学界診断基準)では双極性障害はうつよりも統合失調症の近縁に分類されています。

統合失調症の人に対して「なぜあなたは幻聴が聞こえるのですか?」とダイレクトには聞かないでしょう。

双極性障害も同じです。

「なぜあなたはラピッドサイクラー(年4回以上躁状態とうつを繰り返す病態、双極II型)なんですか?」と聞かれてもクライエントさんにもわかりません。

うつの人でもこういった折れ線グラフ的な気分変動をする人がいます。

双極スペクトラム障害という、うつの中でも双極性障害に近い病態を示します。

近親者に双極性障害の人がいる、薬が効きにくい、効いても消失しやすい、薬で躁転しやすいなどさまざまな要素があり、医師も双極性障害と同様の薬で治療している場合があります。

クライエントさんが医師にこれら双極性障害や双極性スペクトラム障害について「早く治りたいです。薬を飲まなくてもいい生活になりたいです」と言っても医師は「治りませんが、ただ、維持治療を続けていると安定しますから一生病院には来てくださいね」と答えるしかないでしょう。

3.公認心理師の踏み込みどころ

臨床心理士は長い歴史を経て精神科勤務の人たちも多いので、比較的慣れているかもしれません。

医師からインテーク(初回鑑別面接)を依頼される、詳細な心理テストを依頼されて心理職が実施してみるとADHDなのか、双極性障害なのか、併発しているのかという見立てを医師に伝えることはできるでしょう。

公認心理師も従前の臨床心理士と同様の役割を取ってきちんと心理検査をできた方がいいわけです。

この辺りは初めて本格的に専門心理領域に踏み込む公認心理師の人ならば自己研鑽をして欲しいと思います。

確かに統合失調症も双極性障害も状態が悪化したときに理由がわからないことが多いです。

ただ、よくよく話を聞くとストレス、過労、睡眠不足は引き金になっている場合は多いです。

虫歯が痛いとか肩こりや腰痛がひどいとか、身体を矯正してもらうと症状がよくなる場合も多いです。

歯がほとんどない統合失調症患者さんに歯科に行ってもらったら数十年来の幻聴が消えた人がいたと中井久夫先生の著作に報告がありました。

水道管が壊れた、車が故障したなど小さく見えるストレスは実は重大です。

4.なんでも心因で片付けない

初学者に多いのですが、なんでも心因で片付けがちです。

胃痛は確かにカウンセリングで良くなることもありますので、それに終始していていいかというとそういうわけではありません。

過呼吸もまあ良くなりますが、隠れた循環器疾患がある場合もあります。

頭痛は脳腫瘍かもしれません。

せっかく公認心理師資格をこれから取得して心理の世界に入る人、これから心理を学び始める大学生の方にはグローバルな視点を持ち、真にクライエントさんの役に立つカウンセリングをして欲しいと思うのです。

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◯ 公認心理師志望学生、きりみちゃんと話す

※ 多少脚色あり

きりみちゃんは僕が道楽で所属している哲学書購読会の見学に来ている学生です。

(終わってから会場で)

きりみ「ひなた先生公認心理師の勉強大変だったでしょ」

僕「いや、そんなにかしこまらなくても、先生はいらないから」

きりみ「おいひなた」

僕「けっこうむかつく」

きりみ「ねえ、アッキー?」

僕「それ、くだけ過ぎ系みたいな?」

きりみ「ひなたさんさあ、私も臨床勉強してるから公認心理師になりたいわけね」

僕「うん」(このブランドのミルクティー美味しいな・・・)

きりみ「でね、私ね、豆腐メンタルだから人が死んだりするとこっちも食らっちゃうと思うの、病院ってまずいよね」

僕「2人いとこが看護師やっててホスピスと医療観察法対象病院で働いてるよ」

きりみ「そういうのは私はダメじゃん、スクールカウンセラーは?」

僕「どこの自治体のスクールカウンセラー部会でも自殺が発生したときの対処マニュアル置いてあるからなあ」

きりみ「・・・司法関係は?」

僕「自分は死んでないけど人死なせちゃった人と面接するよね、更生保護施設からどっか出てって死ぬ人いるし」

きりみ「児童」

僕「虐待死。神は死んだ」

きりみ「と言ったニーチェも死んだ。老人・・はやめといて、あ、わかった、作業所だ」

僕「就労継続支援施設はわりと重病の人も多いしなあ。境界性パーソナリティ障害とか双極性障害とかPTSDとか毎日重い人と会うよ」

きりみ「リワークなら大丈夫でしょ!」

僕「復職支援はかなり厳しいよ。会社やめるか戻るか瀬戸際だから命がけでくる人多いよ」

きりみ「ひなたさんいじわるしてるでしょ」

僕「ないない、実感だって。クライエントさんは確かにいつ死ぬかわからない、僕らだってそれは同じで、いつ死ぬかわからない。心理は風来坊みたいな生活してるからいつ転職するかわからない、そうするとクライエントさんは見捨てられたって思うようになるかもしれないよね」

きりみ「無責任な仕事だよね」

僕「身分が不安定な専門職だからいい条件があると移るよね。自分が大事だし。生活してる人間だもん」

きりみ「私やっぱり人が死ぬのはイヤ」

僕「クライエントさんが自殺したときにね、『あの人はそういう運命だった』とか、『あの性格だから仕方なかった、あの人が悪かった』っていうカウンセラーは先輩でも後輩でも見たけどね」

きりみ「それは聞いててやだなあ」

僕「辛くてもスーパーバイザーに話して自分の面接を振り返ったり、もっと踏み込んで自分の心理職としての生き方やキャリアを考え直すとかね、それが必要なんだよね」

きりみ「ふーん、ひなたさんは?」

僕「死んだクライエントさんが生きて最後に話したのが僕だったから、長時間警察に取調べ受けた。しばらく眠れなかったなあ」

きりみ「キツイね、公認心理師っていう国家資格になったら何か変わる?」

僕「マイルールで好き勝手なカウンセリングやって何か起こったら信用失墜行為と責められるんじゃないかな。そこら辺の責任は重い」

きりみ「じゃ、臨床心理士だけにした方が楽?」

僕「臨床心理士だって倫理は厳しいじゃない。それにこれからどんどん採用は公認心理師シフトになっていくよ」

きりみ「じゃあきちんと両方とも資格取ろうかなあ」

僕「うん、その方がよさそうだね、きりみちゃんぐらいまでかな?資格両方取る人は。これから公認心理師しか取らない人が増えるかもね」

きりみ「勉強して資格だけは取った方がいいかなと思ってさ」

僕「寒いね、駅のそばの味噌ラーメンでも食べてく?あそこのラーメンまずいけど七味唐辛子山ほどかけると味がわけわからなくなって美味しくなる」

きりみ「・・そういう誘い方ってどうよ。まあひなたさんのおごりならいいや。一食浮くし。」

僕「何言ってんの。ありがたいお話してあげたじゃない、講義料だからワリカンで負けてあげる。吝嗇心理士だし」

きりみ「ひなたさんがケチってだけでそれ心理士と何の関係もなくない?」

僕「さ、行こ行こ」

※ 若い人はきりみちゃんに限らず、臨床の現場に出て行く前に不安を抱える人もいます。

それは当然のことで、むしろ心理職が不安を話せるということは、誰かに聞いてもらえるというセーフティネット作りにもなります。

国家資格ホルダーだからといって、乗り越えられる困難が増えるというほどカウンセリング現場は甘いものではありません。

国家資格化は心理職のある意味スタートに過ぎず、5年後の制度見直しも待ち受けています。

クライエントさん、その家族、同僚や上司、世間の全てから注目されているという意識が大切なのではないでしょうか。

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