ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

このブログ運営者は産業と医療の中間領域のようなところでカウンセリングを行っている、世界の謎を解き明かす心理職です。

これまで司法、教育、福祉分野での心理職経験もあります。

このブログのテーマは僕が専門としている心理学に加え、スタートしたばかりの公認心理師制度の検証、カウンセリング全般についてです。毎日更新を目指しています。誰も読まなくても書きます。もし評判が悪ければ反省してやはり毎日書きます。コメントは他者の誹謗中傷でなければ掲載します。僕へのクレームは大歓迎。掲示板がわりに使っていただいて構いません。

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臨床心理士は衰退するのか?公認心理師時代を迎えて

臨床心理士は昭和63年の第1回試験以来34,504人の合格者を出しています。

今回の公認心理師試験の合格者数(除北海道)は27,876人、もちろん臨床心理士資格を持たない他資格保有者、資格なしの現任者も今回多く受験しています。

つまり、公認心理師受験という選択を行わなかった(行えなかった)臨床心理士も相当数いたわけです。

それから、臨床心理士試験とは試験範囲が異なっている公認心理師試験に今回は不合格だった人も多いと聞いています。

心理職を必要としている職場は多く、早速公認心理師も採用のための資格要件になっています。

臨床心理士または公認心理師を条件としている募集を多くの求人で見ます。

国家資格というほかに臨床心理士と公認心理師の業務棲み分けは何か?

というとはっきりはしていないのが実情です。

採用する側は相談員として、また心理スタッフとしてのプロを求めているわけで、公認心理師と臨床心理士の差異や相違点を明確にわかっているわけではないでしょう。

問題は心理職自身もはっきりとした相違をわかっていないということです。

ただし、はっきりとした流れはあります。

募集条件「臨床心理士または公認心理師」ということは、臨床心理士単独資格のみの資格をホルダー採用パーセンテージが減少するということです。

そして公認心理師のみの就職募集もすでに出ています。

果たして平成30年度、臨床心理士試験の受験者数はどうだったのかが気になります。

毎年年度末にならないとその発表はありません。(日本臨床心理士資格認定協会に確認済)

受験する側、求人する側、現在臨床心理士資格を保持する人、それぞれの思惑があるでしょう。

「違いがわからない」のは何よりもクライエントさんにとって困惑を招きかねません。

先日の朝日新聞の記事に公認心理師制度が取り上げられ、高坂先生がインタビューに答えていました。

高坂先生は大手メディアで取り上げられることで公認心理師の認知度が高まるのは意義深いことだとブログにも書いていらっしゃいます。

クライエントさんは本当によく勉強して調べてから医療機関に来ます。

医師や心理職がどこの大学、院を出たのか、専門は何か、どんな論文を書いているか、所属学会は何かということを調べてから来る人もいます。

考えてみればそれは当たり前のことで、自分の心の問題を取り扱ってもらうというのは新車や注文住宅を買うのと同等、あるいはそれ以上に大切だと考える人もいるでしょう。

さて、その一方で、僕らにも判別がついていない臨床心理士と公認心理師の職域について、クライエントさんから聞かれたら明確に答えられる心理職の人はどれほどいるでしょうか?

1.「臨床心理士は民間資格で公認心理師は国家資格です。」→「え、これまで臨床心理士は国家資格じゃなかった?ですか?新しい資格と何が違うんですか?」

2.「主治の医師の指示が・・・秘密保持義務に対する罰則が・・・」→「このカウンセラーさんは真面目に答えようとしているけど話が長いなあ」

だから端的に説明できる答えを用意しておいた方がいいと思うのですが、判然としたものを持っている心理職の人は少ないでしょう。

心理職は「一体あなたは何者なんですか?」という問いかけに対する説明責任があります。

クライエントさんを混乱させないことが心理職の責務です。

学校心理士、特別教育支援士だと設立趣旨が公認心理師とは違うのでもうすこし明確になるでしょう。

全部の資格を混ぜこぜにして、とりあえずいろんな資格ホルダーが所属することができる日本公認心理師協会のあり方については再度検討を加えて欲しいと思います。

日本臨床心理士会がすでに存在しているにもかかわらず、日本公認心理師協会がさまざまな心理資格を持つ人が入会できる団体だいうことだと、職能団体としての意義がわかりにくくなりますし、アイデンティティも不明朗になりかねません。

自己紹介 ◯山×男
資 格 臨床心理士、学校心理士
所属団体 日本公認心理師協会

と講演会のパワーポイントの資料で最初に自己紹介したとしましょう。

?と思う聴衆は多いでしょう。

心理関係諸資格ホルダーは公認心理師とのはっきりとした峻別をした方がいいというのが僕の個人的な印象です。

日本臨床心理士会理事会決議で日本臨床心理士会と日本公認心理師協会を分けたので、多分会員数は双方とも少なくなるでしょう。

だからといって窓口を広げ過ぎると何の団体なのか不明朗になりやすくなります。

公認心理師にはなく、臨床心理士にしかない資格取得のメリットと特徴を打ち出して行くことが臨床心理士資格を「減衰していく資格」にしてしまわない道だと思うのです。

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司法領域の臨床活動と新公認心理師

1.総論

心理職は被害に遭った、一生心に傷を負ったというクライエントさんに会うことは多々あり、そのためにそれこそその人の一生がかかっているカウンセリングを何十年もかけて行う場合が多いです。

ところが心理職の中には裁判、鑑別所、少年院、拘置所、刑務所など加害者と心理学的にかかわらなければならない心理職の人も相当数います。

加害者に対する臨床面接をしていても、加害者は特に悩んでいないことも多いのです。

被害者を数百人以上出している小児性愛の性犯罪者、集団でスポーツのプレイのように強姦する犯罪者たちもいます。

加害者臨床はカウンセリングの動機付けが薄い対象者への面接を行うという困難点を常に抱えています。

精神科で一生がかりで治療しなければならない、自殺可能性が高い性犯罪被害者を膨大な数生み出していく犯罪者の自責の念は薄いです。

致死事件、殺人事件において加害者臨床を担当した心理職なら「これからどうやっていきたいですか?」と加害者に聞いたとき「殺してしまった人の分まで今度は自分が頑張って仕事(学校)に取り組みたい。交際している彼女と結婚して幸せに生活をして親を安心させることが何よりの償いです。」と言われた経験は多いでしょう。

2.精神障害者の犯罪と一般の犯罪の相違

確信的殺人(必ず殺す)という信念を実行しようとする精神障害者が起こす犯罪はほぼ皆無です。

一過性の激怒の感情を無謀運転という方法で群衆に突っ込んで行う、精神病的症状がなくて実行する犯罪者が多いのはニュースで見てのとおりです。

以前から精神科に通っていて犯罪を行う患者さんは一般人の半分未満、もっと少ないという統計もあります。

統合失調症のクライエントさんは「死んでしまえ」「家族を殺してしまえ」という幻聴に苛まされている人も多いと思いますが、その恐怖の中で何十年も踏み止まって怯えている人がほとんどです。

殺人というものは、世間では精神障害者がおかしくなって通行人を切りつける通り魔というスティグマに満ちたステロタイプなイメージがあります。

しかし実際の殺人者は家庭内や知人間で起きていることが多く、借金苦で一家無理心中しようとして加害者の父親だけが生き残ってしまったというそういったニュース性のない殺人は報道されません。

3.加害者臨床の実際

加害者に対しては徹底した行動療法しかない、それは行刑施設への収容教育だという考え方は根強くあります。

心理的な観点からだけでなく、社会予防的な視点や被害者感情の考慮という点からもそれは社会政策上、正しいことです。

非行少年、犯罪少年についての調査を警察の膨大な供述調書と照らし合わせて面接をして、事実の調査、心理的調査、環境調査を行ってケースワーク的にかかわるのは少年事件ならではの家裁調査官の働きかけです。

ただ供述長所をたどった調査をして裁判官に少年調査票を提出すれば終わりというわけではありません。

鑑別所も心理検査結果と行動観察結果から処遇に対する意見を家裁に提出すればいいというわけではなく、少年の一生の行く先を有機的に考えて鑑別結果報告書を作成します。

少年事件、成人事件双方に共通して、更生意欲をまず持たせるための動機付け面接が必要です。

そして犯罪文化に馴染んだ加害者の認知を変容させる、さまざまな更生プログラムが開発されています。

特に性犯罪の更生率は低く、どうやって他者への感情移入が困難な加害者への心理面接を行っていくかは大きな課題となっています。

4.公認心理師制度と司法臨床の今後

最高裁判所家庭局も法務省矯正局も今のところ公認心理師誕生に当たって大きな改革は考えていないようです。

法務省矯正局は社会復帰調整官に公認心理師を採用する、また、公認心理師研修受け入れ先として行刑施設見学を可能にするという対応をします。

今後公認心理師必修科目として、また公認心理師活躍の場として期待される主要5領域の中でも司法臨床は大きな割合を占めていますが、肝心の司法が動かないと司法における公認心理師活動は停滞していくでしょう。

司法臨床で大きな領域を占めている裁判所、法務省では公認心理師をどんどん採用していくとう動きはありません。

もともと裁判所法や国家公務員法にしたがって独自の採用をしているのですから、無理に公認心理師を割り込ませる余地はありません。

家裁調査官も心理だけでなく、法学、教育学、社会学、社会福祉学を学んだ受験生を採用するという独自の方針があります。

法務省も自前の国家試験で職員を採用しています。

公認心理師ホルダーを優先して採用したり、採用後の処遇で有利に扱う理由はないわけです。

司法領域は公認心理師主要5領域の中で一番公認心理師制度が発足したとしても変わりにくい分野だと認識しています。

公認心理師制度で司法は必修領域ですが、司法現場に対し、公認心理師の主要な活躍の場と伝え続ける努力と、公認心理師行政側、司法側の意識をすり合わせてその乖離を埋めていくことは決して無駄なことではないと感じているのです。

それは司法領域で公認心理師採用を増やしてくれ、という筋違いな要求ではなく、司法の現場は臨床家にとって重要な意味合いを持つという認識を相互に確認するという意味です。


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ASD、ADHD、HSP、GIFTED
変わりゆく発達障害の概念・新公認心理師に知っておいて欲しいこと

1.概論

DSM-5(アメリカ最新診断基準)でアスペルガー、広範性発達障害、PDDNOS(ほかのどこにも分類されない広範性発達障害)という概念が消えてASD自閉症スペクトラム障害という概念になったのは画期的なことだと思います。

DSM-5は重複診断がしやすくなった診断体系なので双極性障害とADHDの双方の診断を受けている人も多くなってきたという所感を持っています。

この双方の診断が出ているということはそれだけ幅広い医療的支援の可能性を高めているのですが、「やっていきにくいですよ」という宣言をされていることにもなるとも思います。

発達障害の概念は時代によってかなり変遷してきました。

2000年ごろから「軽度発達障害」はI.Q70未満の古典的なカナー型自閉症と違って知的には通常程度以上の発達障害が知的に障碍されていないから軽度」という扱いを受けてきたわけですが、これは大きな間違いでした。

生きにくいという意味ではADHD、ADD、ASDでもLDは知的障害の自閉症と変わらないどころか、むしろ重い場合も多いわけです。

2.発達障害は人の話を聞けないから鈍感という誤解

発達障害の人たちは自分たち障害のことを研究し、知識を集積するのに余念がありません。

きちんと勉強している発達障害の人のカウンセリングをしたら駆け出しの心理職は知識で優に負けます。

昔はアスペルガーと言われていたのだから、とりあえず話すのを聞いていればいいだろうと生返事で話をカウンセラーが聞いていると彼らは敏感なのでそれをたちどころに見抜きます。

HSP Highly Sensitive Person
(きわめて繊細な人)は、障害というよりもその人の特性ですが、これがその人の生き方を阻害することがあります。

スクールカウンセラーをやっていた人にはそんな経験があるかもしれませんがHSPは思春期に特に出やすい、廊下の隅で女の子たちが談笑しているのを見て「僕のことを笑っている」と思い込んでいたのが、女の子たちは昨日見たテレビのジャニーズタレントのことを話していたわけです。

思春期に敏感になると、一見妄想ではないか?と思えるような心情になることはあります。

HSPの人にも出やすいわけです。

心理職の人が「妄想だから統合失調症だ」と勝手に診断してはいけません。

3.発達障害の人が持つスティグマ(社会的烙印)・そして有能性

ビルゲイツやスティーブ・ジョブズ、エジソンのように発達障害でも天賦の才に恵まれた人々は多いです。いわゆるGIFTEDという特殊な才能を持つ人です。

人間の持つ2万の遺伝子のうち、15個程度が変異を来たすと発達障害になります。

しかし発達障害、統合失調症、双極性障害も致死遺伝子ではなく、人類誕生以来脈々と受け継がれていて、必ず人類の歴史上必要だったからいまだにこれらの障害を持つ人が生き残って何かを築いたり、天変地異の準備をしていると考えられるという仮説があります。

男たちはみんな狩に行く、無謀な狩人だけでは狩はうまく行かず、狩は嫌いだけど矢じりを作るのに熱中する矢じりオタクのような発達障害の人がいなかったら人類は滅びていたかもしれません。

我は神の子、神の声を伝えられる統合失調症と現代なら言われるようなシャーマンが戦を収め、人々の心に平和をもたらしていたのかもしれません。

大地震や噴火が起きた、いくらでも不眠不休で働いて高いテンションで人々を自信を持って指揮していた双極性障害の人たちが人類を救っていた可能性もあります。

発達障害の人々へのかかわりとして
、「もうちょっと頑張ればできるからやってみよう」というのは、ひとつの正解かもしれません。

しかし金科玉条のようにそればかりを唱えて無理強いすれば必ず失敗するでしょう。

障害を持つ人の数だけ、そしてその人の毎日の状態によってかかわり方も変わるということを心理職の人たちには知って欲しいと考えています。

これまで発達障害に深くかかわってきた心理職の人たちや、新たに心理職となった発達障害に造詣が深い新公認心理師への期待は大きなものになるでしょう。

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