臨床心理士は衰退するのか?公認心理師時代を迎えて
臨床心理士は昭和63年の第1回試験以来34,504人の合格者を出しています。
今回の公認心理師試験の合格者数(除北海道)は27,876人、もちろん臨床心理士資格を持たない他資格保有者、資格なしの現任者も今回多く受験しています。
つまり、公認心理師受験という選択を行わなかった(行えなかった)臨床心理士も相当数いたわけです。
それから、臨床心理士試験とは試験範囲が異なっている公認心理師試験に今回は不合格だった人も多いと聞いています。
心理職を必要としている職場は多く、早速公認心理師も採用のための資格要件になっています。
臨床心理士または公認心理師を条件としている募集を多くの求人で見ます。
国家資格というほかに臨床心理士と公認心理師の業務棲み分けは何か?
というとはっきりはしていないのが実情です。
採用する側は相談員として、また心理スタッフとしてのプロを求めているわけで、公認心理師と臨床心理士の差異や相違点を明確にわかっているわけではないでしょう。
問題は心理職自身もはっきりとした相違をわかっていないということです。
ただし、はっきりとした流れはあります。
募集条件「臨床心理士または公認心理師」ということは、臨床心理士単独資格のみの資格をホルダー採用パーセンテージが減少するということです。
そして公認心理師のみの就職募集もすでに出ています。
果たして平成30年度、臨床心理士試験の受験者数はどうだったのかが気になります。
毎年年度末にならないとその発表はありません。(日本臨床心理士資格認定協会に確認済)
受験する側、求人する側、現在臨床心理士資格を保持する人、それぞれの思惑があるでしょう。
「違いがわからない」のは何よりもクライエントさんにとって困惑を招きかねません。
先日の朝日新聞の記事に公認心理師制度が取り上げられ、高坂先生がインタビューに答えていました。
高坂先生は大手メディアで取り上げられることで公認心理師の認知度が高まるのは意義深いことだとブログにも書いていらっしゃいます。
クライエントさんは本当によく勉強して調べてから医療機関に来ます。
医師や心理職がどこの大学、院を出たのか、専門は何か、どんな論文を書いているか、所属学会は何かということを調べてから来る人もいます。
考えてみればそれは当たり前のことで、自分の心の問題を取り扱ってもらうというのは新車や注文住宅を買うのと同等、あるいはそれ以上に大切だと考える人もいるでしょう。
さて、その一方で、僕らにも判別がついていない臨床心理士と公認心理師の職域について、クライエントさんから聞かれたら明確に答えられる心理職の人はどれほどいるでしょうか?
1.「臨床心理士は民間資格で公認心理師は国家資格です。」→「え、これまで臨床心理士は国家資格じゃなかった?ですか?新しい資格と何が違うんですか?」
2.「主治の医師の指示が・・・秘密保持義務に対する罰則が・・・」→「このカウンセラーさんは真面目に答えようとしているけど話が長いなあ」
だから端的に説明できる答えを用意しておいた方がいいと思うのですが、判然としたものを持っている心理職の人は少ないでしょう。
心理職は「一体あなたは何者なんですか?」という問いかけに対する説明責任があります。
クライエントさんを混乱させないことが心理職の責務です。
学校心理士、特別教育支援士だと設立趣旨が公認心理師とは違うのでもうすこし明確になるでしょう。
全部の資格を混ぜこぜにして、とりあえずいろんな資格ホルダーが所属することができる日本公認心理師協会のあり方については再度検討を加えて欲しいと思います。
日本臨床心理士会がすでに存在しているにもかかわらず、日本公認心理師協会がさまざまな心理資格を持つ人が入会できる団体だいうことだと、職能団体としての意義がわかりにくくなりますし、アイデンティティも不明朗になりかねません。
自己紹介 ◯山×男
資 格 臨床心理士、学校心理士
所属団体 日本公認心理師協会
と講演会のパワーポイントの資料で最初に自己紹介したとしましょう。
?と思う聴衆は多いでしょう。
心理関係諸資格ホルダーは公認心理師とのはっきりとした峻別をした方がいいというのが僕の個人的な印象です。
日本臨床心理士会理事会決議で日本臨床心理士会と日本公認心理師協会を分けたので、多分会員数は双方とも少なくなるでしょう。
だからといって窓口を広げ過ぎると何の団体なのか不明朗になりやすくなります。
公認心理師にはなく、臨床心理士にしかない資格取得のメリットと特徴を打ち出して行くことが臨床心理士資格を「減衰していく資格」にしてしまわない道だと思うのです。
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臨床心理士は昭和63年の第1回試験以来34,504人の合格者を出しています。
今回の公認心理師試験の合格者数(除北海道)は27,876人、もちろん臨床心理士資格を持たない他資格保有者、資格なしの現任者も今回多く受験しています。
つまり、公認心理師受験という選択を行わなかった(行えなかった)臨床心理士も相当数いたわけです。
それから、臨床心理士試験とは試験範囲が異なっている公認心理師試験に今回は不合格だった人も多いと聞いています。
心理職を必要としている職場は多く、早速公認心理師も採用のための資格要件になっています。
臨床心理士または公認心理師を条件としている募集を多くの求人で見ます。
国家資格というほかに臨床心理士と公認心理師の業務棲み分けは何か?
というとはっきりはしていないのが実情です。
採用する側は相談員として、また心理スタッフとしてのプロを求めているわけで、公認心理師と臨床心理士の差異や相違点を明確にわかっているわけではないでしょう。
問題は心理職自身もはっきりとした相違をわかっていないということです。
ただし、はっきりとした流れはあります。
募集条件「臨床心理士または公認心理師」ということは、臨床心理士単独資格のみの資格をホルダー採用パーセンテージが減少するということです。
そして公認心理師のみの就職募集もすでに出ています。
果たして平成30年度、臨床心理士試験の受験者数はどうだったのかが気になります。
毎年年度末にならないとその発表はありません。(日本臨床心理士資格認定協会に確認済)
受験する側、求人する側、現在臨床心理士資格を保持する人、それぞれの思惑があるでしょう。
「違いがわからない」のは何よりもクライエントさんにとって困惑を招きかねません。
先日の朝日新聞の記事に公認心理師制度が取り上げられ、高坂先生がインタビューに答えていました。
高坂先生は大手メディアで取り上げられることで公認心理師の認知度が高まるのは意義深いことだとブログにも書いていらっしゃいます。
クライエントさんは本当によく勉強して調べてから医療機関に来ます。
医師や心理職がどこの大学、院を出たのか、専門は何か、どんな論文を書いているか、所属学会は何かということを調べてから来る人もいます。
考えてみればそれは当たり前のことで、自分の心の問題を取り扱ってもらうというのは新車や注文住宅を買うのと同等、あるいはそれ以上に大切だと考える人もいるでしょう。
さて、その一方で、僕らにも判別がついていない臨床心理士と公認心理師の職域について、クライエントさんから聞かれたら明確に答えられる心理職の人はどれほどいるでしょうか?
1.「臨床心理士は民間資格で公認心理師は国家資格です。」→「え、これまで臨床心理士は国家資格じゃなかった?ですか?新しい資格と何が違うんですか?」
2.「主治の医師の指示が・・・秘密保持義務に対する罰則が・・・」→「このカウンセラーさんは真面目に答えようとしているけど話が長いなあ」
だから端的に説明できる答えを用意しておいた方がいいと思うのですが、判然としたものを持っている心理職の人は少ないでしょう。
心理職は「一体あなたは何者なんですか?」という問いかけに対する説明責任があります。
クライエントさんを混乱させないことが心理職の責務です。
学校心理士、特別教育支援士だと設立趣旨が公認心理師とは違うのでもうすこし明確になるでしょう。
全部の資格を混ぜこぜにして、とりあえずいろんな資格ホルダーが所属することができる日本公認心理師協会のあり方については再度検討を加えて欲しいと思います。
日本臨床心理士会がすでに存在しているにもかかわらず、日本公認心理師協会がさまざまな心理資格を持つ人が入会できる団体だいうことだと、職能団体としての意義がわかりにくくなりますし、アイデンティティも不明朗になりかねません。
自己紹介 ◯山×男
資 格 臨床心理士、学校心理士
所属団体 日本公認心理師協会
と講演会のパワーポイントの資料で最初に自己紹介したとしましょう。
?と思う聴衆は多いでしょう。
心理関係諸資格ホルダーは公認心理師とのはっきりとした峻別をした方がいいというのが僕の個人的な印象です。
日本臨床心理士会理事会決議で日本臨床心理士会と日本公認心理師協会を分けたので、多分会員数は双方とも少なくなるでしょう。
だからといって窓口を広げ過ぎると何の団体なのか不明朗になりやすくなります。
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