ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

このブログ運営者は産業と医療の中間領域のようなところでカウンセリングを行っている、世界の謎を解き明かす心理職です。

これまで司法、教育、福祉分野での心理職経験もあります。

このブログのテーマは僕が専門としている心理学に加え、スタートしたばかりの公認心理師制度の検証、カウンセリング全般についてです。毎日更新を目指しています。誰も読まなくても書きます。もし評判が悪ければ反省してやはり毎日書きます。コメントは他者の誹謗中傷でなければ掲載します。僕へのクレームは大歓迎。掲示板がわりに使っていただいて構いません。

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生活保護行政は公認心理師の新活動領域か?

生活保護に関する文書や論文などを読んでいると「支援」「自立」という言葉がよく使われています。

生活保護は被支援者が就労できるまでの「つなぎ」として支給する、だからやがて自立を促していくための一時的支援だという考え方があります。

生活保護行政については多くの報道がされていて、生活保護者支援団体があって、そして生活保護ビジネスがあり、不正受給に関するニュースが報道されて、と常に世論の注目の的になっています。

ネット上では受給者に対する「怠けてる」という批判が多くされているのを見かけます。

連載中の「ケンカツ」(『健康で文化的な最低限度の生活』:憲法25条条文を引用したタイトル)は柏木ハルコが現在連載中のマンガで、要支援者のために駆けずり回る生活保護ケースワーカーの一生懸命な姿が描かれています。

ただし、このように要支援者のために真摯に時間をかけて対応してくれるケースワーカーは実際には皆無です。

どのケースワーカーも1人100件以上のケースを抱えています。

そして本来的には社会福祉士の業務と思われるのですが、慢性的な人手不足です。

とても簡単に取得しやすい3科目主事(法学、経済学、福祉、医学などなんでもいいので短大、大学で教える関係ありそうな3科目)履修資格者が講習を受けるなどとても簡単な手続きで生活保護ケースワーカーになることができます。

「生活保護ケースワーカー」という言葉で検索すればわかるのですが、生保ケースワーカーは全国的津々浦々で募集されていて、時給性や契約社員と彼らも不安定な待遇が多いです。

さて、公認心理師法施行規則第5条には公認心理師の活動領域として認められている26の施設が規定されていますが、第8号には「社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所又は市町村社会福祉協議会」があります。

社会福祉事務所が生活保護事務を管轄しているわけですが、社会福祉士だけでなくここで臨床心理士が働いている場合もあります。

公認心理師試験では社会福祉事務所で働いていた現任者も合格していたのではないでしょうか。

社会福祉法や生活保護法が今後どう変わっていくかはわかりません。

それでも公認心理師の職務として社会福祉事務所で働く心理師は増えていくことは予想されます。

社会福祉事務所での保護業務は生活保護受給申請者の保護申請を審査することですが、多くの事務所では申請者を「相談に来たんですね、申請ではないんですね」と「水際作戦」で申請させないようにして追い返す行為が行われています。

これは厚生労働省では好ましくない対応として、通達で適正な対応をするよう通知されていますが、現場ルールでは相変わらず申請者を追い返すような対応が行われています。

心理職なら生活困窮者のカウンセリングをしたこともあると思います。

有料のカウンセリング事務所でもかなり生活保護受給者に手厚く、無料にしたり料金面の負担を減らす工夫をしています。

生活保護申請者から聞く話は悲惨なものが多く「帰れ!」「税金泥棒!」と罵倒される、追い返される、長時間無視されるといった対応が社会福祉士や精神保健福祉士、臨床心理士を含む職員によって行われているわけです。

生活保護受給者が生活に困窮、家電を買えない、クーラーが買えなくて熱中死したなどの事案が報道されています。

受給者も禁煙のための治療や自動車教習所に通えることができます。

ただし、社会福祉事務所は聞いたら教えるけれども聞かれなければ教えないという対応です。

医師から就労不能の診断書が出ていても働くように促されます。

果たしてこれは心理職の仕事なのか?

一方で申請者を冷たく扱い、また別機関に行ったら心理職から同情されたら当事者は混乱するでしょう。

保護申請の現場では福祉職が当事者に甘くなりがちだということで無資格者を優先的に窓口配置することも行われています。

申請者と窓口担当者の軋轢も当然多く、かなりの担当者がバーンアウトして退職してしまうので非常勤職員が多いのでしょう。

こういった厳しい職場で心理職が保護業務にかかわっていて、申請者に対して適正な支援を行っていけばいいのですが、文書に示された保護業務体験談を読む限り、独りよがりの「支援」に終始していて、その正当性には疑問があります。

さて、今後公認心理師が生活保護業務にかかわることは上記の理由から信頼性が揺らぐのではないかという根本的な危険性があります。

社会福祉事務所窓口対応は誰もやらなくていいという業務ではないです。

しかしもし心理職がかかわらなければならないのなら、心理職としての社会的信頼性を担保して当事者に相互理解を求めていく、そこに至るまではかなり長い道のりが必要です。

というのは自分で書いていて思うのですが、それは理想論にしか思えません。

今後の見通しがない道程を考えると、双方代理を行うようなこのような業務には公認心理師はかかわってはならないようにも思えるのです。

活動領域を広げていくことだけが公認心理師の信頼性獲得にはならないと考えます。

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公認心理師試験に出そうな精神医学症状スペクトラム

心理職がカウンセリングをしていると「妄想」「幻覚」様の言辞がクライエントさんから語られることがあります。

一昔前は統合失調症には99.9パーセント幻視などあり得ない、幻視は薬物依存症でしか起こらない、と言われていたのが実際には統合失調症の患者さんから幻視体験の数々を聞いたことがある心理職の人たちも多いでしょう。

こういった非現実の世界は教科書やDSMの診断基準では境界性人格障害でも起こり得ると書かれています。

患者さんたちが見ているこういった幻覚については偽性幻覚pseud hallucinationと言われていて「どの程度はっきりと見えているの?」と聞くと「うーん、なんとなくぼんやりかなあ、部屋の隅で男の子がうずくまってる」「寝入りばなに枕元に女の人が立って話しかけている(ような気がする)」

これらははっきりと知覚されるものではないです。

ですが「そこに存在している」「動物がそこに絶対にいる」という真正幻覚true hallucination
もあるわけです。

この人たちは全員ドーパミンが過剰放出されている統合失調症の人かというとそうではありません。

まず統合失調症はDSM-5ではスペクトラム、グラテーションのように分類されています。

統合失調症

統合失調症様障害

短期精神病障害

妄想性障害

統合失調症パーソナリティ障害

と分かれていて、この間を行ったり来たりしている患者さんも多いわけです。

あといろんな患者さんは別に統合失調症でなくとも、双極性障害でも、うつ病でも妄想幻覚が起こっています。

うつ病で昔から起こると言われている

罪業妄想(自分はひどい罪を負っている)

世界没落妄想(世界は滅びるに違いない)

貧困妄想(1億円しかないから破産する)

とか、医師もパーソナリティ障害で診断に迷うと「パーソナリティ障害、精神病圏の疑い」と診断をすることもあります。

もちろん通常の健常人でも妄想幻覚は起こり得ます。

極度の疲労やストレスでも一時的に発生します。

あとよく言われているのが、教科書にも書いてあるのですが思春期性の妄想です。

「あっちで女の子たちが笑っているのは僕のことを笑っているに違いない」

は女の子たちは昨日見たジャニーズのテレビ番組のことを話していただけということが多いです。

公認心理師試験だと知識問題で

「Aのような症状に適切な治療は次の中からどれか一つ選べ」

とか、ケース問題で

「◯◯のようなことを訴えかけてくるBさん。Bさんのような症状から公認心理師の適切な働きかけを選べ」

などが出て来そうです。

心理職はPCA(パーソンドセンターアプローチ)で受容傾聴をしっかりとしているから大丈夫と思いがちですが、患者さんが100万回語っている内容より語られていない症状の方が大切ということです。

精神分析家ならよくわかっているでしょうけれども「あいつは俺を憎んでいる」その対象の「あいつ」は「お前、誰?俺、お前のこと知らないんだけど」という投影同一視が起こっている場合も多いです。

対人恐怖の人は語らない多くの症状を抱えているかもしれません。

精神科医は短時間の診察の中で患者さんが語っていない症状を推察するのには長けているでしょう。

公認心理師試験に出た「あなたたちは私の秘密を全部知っているでしょう」という即座に医療的介入が必要であろう発言についての問題がありました。

診断、診察、薬物療法は医師のみしか行えない医行為です。

ただし、公認心理師試験委員には精神科医師が多く、心理職は医師への報告の前に、専門職としてのアセスメント、見立ては必要です。

クライエントさんにはどんな治療が望ましいのか、医療機関以外で働いていても多くやってくるクライエントさんのインテーク(初回)面接の際にも医療機関を受診させるのが望ましいのかどうなのかも判断を迫られます。

このあたりは試験対策として考えるだけでなく、常に実務上も必要とされる実践的対応です。

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無資格カウンセラーと公認心理師・臨床心理士資格について再考

ちょっと前に無資格カウンセラーと公認心理師・臨床心理士など資格心理職の違いについて書きましたが、ある程度反響があったので、誤解がないよう、もう少し丁寧に説明してみます。

1.無資格カウンセリングと有資格者はどちらが優れてる?

これに関して僕はどちらも一長一短、と思います。

絶対的な優劣はつけられません。

クライエントさんが満足できるのはどちらか?

昨今はクライエントさんもよく勉強していて、開業カウンセラーで臨床心理士・公認心理師有資格者は信頼できるからということで、より専門性が高いカウンセラーを選ぶ人も多いです。

実際にはカウンセラーの実力は資格があってもさまざまです。

クライエントさんはさまざまなホームページを見て、自分にフィットしたカウンセリングオフィスを探します。

「心理学を専門に学んで公的資格がある」というよりも、プロフィールや経歴を見てみると自分と同じような経験をしてきたようだ、文章を見ると信頼できるだろう」という理由からカウンセラーを選ぶ人もいます。

臨床心理士・公認心理師といえども全ての分野のカウンセリングに上手に対応できるとは限りません。

同じような体験をして、乗り越えたというピア的なカウンセリングの方が効果的なことは多々あると思うのです。

2.侵襲性の問題

侵襲性は有資格者だから、無資格者だから、どちらが安全性が高いの?

ということははっきり言ってわからない、絶対的な解はないとしか言いえないでしょう。

有資格者でクライエントさんの人権を尊重してきちんとインフォームドコンセントを行い暖かい態度で接することができる人は多いのですが、公認心理師試験は別に実技試験を行うわけではないですし、経歴だけから心理職としての適不適を判断することもできません。

売れっ子でクライエントさんをたくさん抱えている無資格カウンセラーは集客のコツやカリスマ性を備えていて、人気がある=付加価値がある、ということで顧客満足度が高い場合も多々あるでしょう。

なかなか予約が取れないのに取れた、という希少感はその価値をさらに高めるかもしれません。

満足度が初めから高くて常識的な受け答えができる無資格のカウンセラーでもそういった経緯を経てカウンセリングを受ければ侵襲性は低くなると思います。

いろいろと例外はあって、スピリチュアルなものを信じるのは自由なので否定はしませんが、そのために大金をはたいてしまう人もいます。

価格設定が異様に高いということはそれだけで侵襲的だと思います。

払えなければ治らないなどという脅迫に似た言辞を弄するのは言語道断です。

そして有資格者のカウンセリングの侵襲性について考えてみます。

有資格者は教育や経験、知識があるから誰にとってもどんな場合でもいいカウンセリングをできるわけではないです。

理論に基づいたカウンセリングでも侵襲的なものはいくらでもあります。

不潔恐怖症の人に「このカウンセリングルームはね、みんな土足だから靴の裏にトイレに行ったままで便や尿がついてるかもしれないよ」と言ってから患者さんを床の上で転げ回らせるという激しい暴露療法、エクスポージャー法もあります。

この暴露療法では患者さんがエクスポージャーのためにジャージを着てやってくると叱られて普段着で来なさいと言われます。

どんな専門的カウンセリングも侵襲性からは逃れられません。

トラウマを負った人にはPCAパーソンドセンターアプローチで受容して話を聞くだけでもトラウマを想起させて、激しく感情を爆発させる徐反応を起こすことすらあります。

投影的な心理検査が恐ろしいイメージを呼び起こすこともあります。

3.総括

クライエントさんが何に満足して何を求めるかは、より自分の気持ちにフィットしたサービスを選んで自分で購入するということです。

僕の知っている精神科医はヒーラーを紹介することもありますしホメオパシーを施行することもあります。

こうなると「科学とは何か?」という問題にもなりますが、科学論議はクライエントさんにとってはどうでもいいことです。

エビデンスの世界でなく、癒しを求める人に何を提供して満足感を味わってもらうことは資格の有無とリジッド、厳密な相関関係はないのかもしれません。

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