ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

このブログ運営者は産業と医療の中間領域のようなところでカウンセリングを行っている、世界の謎を解き明かす心理職です。

これまで司法、教育、福祉分野での心理職経験もあります。

このブログのテーマは僕が専門としている心理学に加え、スタートしたばかりの公認心理師制度の検証、カウンセリング全般についてです。毎日更新を目指しています。誰も読まなくても書きます。もし評判が悪ければ反省してやはり毎日書きます。コメントは他者の誹謗中傷でなければ掲載します。僕へのクレームは大歓迎。掲示板がわりに使っていただいて構いません。

ブログ運営者:ひなたあきら/メールアドレス himata0630★gmail.com(★を@に変えてください)

ツイッター
https://twitter.com/hinataakira0630

64116F70-8564-4FD6-BA99-0EE7555A7BCD

◯ 公認心理師・臨床心理士は新型うつに対処できるか?

10年近く前から「新型うつ」ディスチミア親和型うつ病は果たしてうつなのか?それとも性格の問題なのか?

という大論争が精神医学界で行われていました。

SSRIのような抗うつ剤が効きにくい、職場や学校ではぐったりしているけれども自由時間になると元気になる、友人と飲み会に行ったりカラオケに行ったり、果ては病休をもらえたから海外旅行に行ってパラグライダーに行ってしまう。

これは従来型のうつとは違うから何なのか?治療法はどうしたらいいのか?

社会問題ともなり2012年には「職場を襲う“新型うつ”」というドキュメントがNHKで放映されていました。

うつで休職する若い男性、仕事外では元気でブログに自分の上司を名指しして病気にした犯人扱い、それに共感した現代型うつの人たちがオフ会で集まります。

そこに登場した「現代型うつをもっと詳しく知りたかったから」と登場した臨床心理士!(というところは突っ込みどころ満載なのですが)新型うつの人たちを「精神的に幼い」「未熟」「批判されると攻撃する」「思い込みにとらわれる」等舌鋒鋭く批判をします。

臨床心理士が患者さんの集まるオフ会に専門知識を披歴するために参加することも、こうやって他者集団を批判することはないわけですが、「結局この『新型うつ』とは何だろう」という疑問は抜けていないわけです。

これを人格の未成熟と見るか、他者への共感性の欠如は発達障害そのものでなくとも発達障害と重奏するのか、果ては攻撃性の強さは境界性パーソナリティ障害の一種ではないかという論説まで出ていました。

最近の精神医学界は新型うつを双極性障害(躁うつ病)の一亜型として見る動きもあります。

確かに双極性障害の人たちも基底気分にイライラや抑圧感情を持つタイプの人々もいて、普段はぐったりして動けないほどの双極うつになっている人もいます。

それを「未熟」と切って捨てたら患者さんが反発してカウンセリングからは離脱してしまうでしょう。

また、双極性障害研究の権威Akiskalが提唱した双極スペクトラム障害の可能性もあるのではないかと指摘する専門家もいます。

抗うつ剤への非反応、非定型うつに酷似した症状はいかにも双極性スペクトラム障害に新型うつは近似しています。

双極スペクトラム障害は時として抗うつ剤に反応して気分が高揚する軽躁状態になる(医学的に確立していませんが薬物反応性双極障害の「双極Ⅲ型」かもしれません。)

ただし、精神医療の現場では医師が「双極スペクトラム障害ですね」と言われても患者さんも?となるでしょうし、まだ双極スペクトラム障害が学術的に完全に確立した疾患単位でもないのでそうは言い難いわけです。

それでは心理職がどうやって新型うつと対処したらよいでしょうか。

新型うつは20代から30代が中心と言われて来ましたが、僕の臨床的感覚からは40代、50代の適応障害の人たちにも多く新型うつの人たちが混ざっているような気がします。

新型うつという概念が確立していないにもかかわらず、心理職は心理教育をする役割も持っています。

患者さんが自己認知や対人関係認知にどういった特質を持っているのか伝えなければならないです。

こういった際には「◯◯病」と断定をしない、患者さんの性格特性を見て、さらに適応性を高めるためのアドバイスができる心理テストの活用は有効でしょう。

精神科医林公一氏は新型うつ/擬態うつが精神医学の現場に出現したことによって、従来型うつとの鑑別が難しくなるとうつ病と他疾患概念を包含しているであろう新型うつで、治療が困難になる可能性を指摘していました。

診断は医師の専権行為(といっても公認心理師試験には出ますが)なので、患者さんの状態像に合わせた投薬治療をしてもらう。

そして心理職は「ニセうつ」「なんちゃってうつ」と言われてしまうようなこの人たちの心理状態をきちんと理解して否定的にならない事が大事です。

患者さんが持っている「うつ病」という認知も否定せずにその場できちんと対応していくという姿勢が大切ではないかと思います。

参考文献;

1.多様化したうつ病をどう診るか 野村総一郎編集 医学書院

2.「新型うつ病」のデタラメ 中嶋聡 新潮新書

3.擬態うつ病/新型うつ病 実例からみる対応法 林公一 保険同人社

※ ブログタイトルを変更してみました。評判が良ければこのままにしますが悪ければ戻します。

6E52766A-6A37-49FD-98C8-C1B0F01F6E11

◯ 試験対策・看護師もなみさん公認心理師に言及&脳科学復習

(会話部分は実話を元にしたフィクションです。)

も「このブループリントやら公認心理師試験の過去問から見るとずいぶん本格的な医療知識が要るのねえ」

僕「はあ」

も「医療法とか出てるじゃない。病院と診療所は20人の入院が可能かどうかとか、心理カウンセリングに関係あるの?」

僕「うーん、とは言え試験範囲ですから。」

も「医療事故は確かに医療者の基礎知識だけど、予測していなかった患者の死は医療事故とか、ヒューマンエラーとか
やっぱりカウンセリングに関係あるのかしら?」

僕「うーん、あるのかないのか」


も「医療保険制度とか、介護保険とか、審査支払機関がどこかとか、これ、医療事務にも関係しているわねえ。後期高齢者の一般費用は知ってる?」

僕「4万4千円ですかね」

も「そうね。公衆衛生学とかも出るのかしら」

僕「将来的には多分」

も「精神科の特徴として入院と外来のどっちが多い?」

僕「外来?」

も「いや、入院27万通院26万人ね。医療安全とかも出てるみたいね」

僕「うん」

も「事故防止型の医療、インシデント分析、報告、KTY(危険予知トレーニング)、5Sは整理、整頓、清掃、清潔、躾、インシデントとアクシデントの違いは?」

僕「ヒヤリハットか医療事故か?」

も「公認心理師って医療職なのかしらねえ」

僕「いやそんな権限ないし」

も「手指消毒は第2回で試験範囲から外れたけどスタンダードプレコーション(感染症予防のための標準予防策)とかどこから出されるのかわからないわねえ」

僕「カルテ、診療録なんかの書き方は確かに関係するかな?って思いますけどね」

も「最近は電カル(EHR、医療電子記録)も当たり前だしPOS(問題志向型システム)やPOMR(POSに従った記録)とか、SOAPも出てるのね」

僕「はい、何がなんだか」

も「医療倫理も出るかもねえ。医療倫理の4原則やJONSENの4分割法とか」

僕「いちおう出なさそうにはなっているんですけどね。あと公認心理師の医療介入保険点数化は出るかもしれませんね」

も「緩和ケアサポートが出ていればサポートチーム、精神科リエゾンチームやNTS(栄養サポートチーム)とか?」

※ これからの公認心理師試験には一般医療知識はまだまだ網羅しなければならない分野も多そうです。

脳科学について記載してみます。

学部レベルで学ぶ失語症のウェルニッケ失語(感覚失語)と左前頭葉言語中枢ブローカ失語(運動失語)は出そうですし、脳梗塞や脳溢血を起こした際の頭頂葉や後頭葉部位による機能障害についても出題されそうです。

後頭葉損傷は視覚障害に関連します。

側頭葉は記憶のみでなく、ダメージを受けると聴覚機能に影響します。

脳梗塞は脳の様々な部位に障害をもたらし、失語、失行、失認現象が起きます。

病識は脳梗塞では著しく低下、病態失認では半身不随も否認します。

「わざと施設から出たくてやっている」わけではなく本当に患者さんはそう感じているので、病識がないのに運動機能や認知機能に障害があることを指摘されると怒る人も多いです。

半側無視は左側に起きやすいですが、病変部によっては右にも起きます。

リハビリテーション医学で心理師もかかわりそうな高次機能障害の特徴はとらえておかなければならないでしょう。

前頭葉前頭前野は理性、注意を促し、大脳辺縁系では扁桃核はPTSDで縮小します。

東日本大震災後の科研費研究では沿岸部の住民ほど扁桃体が縮小しているという結果が出ていました。

前頭前野は感覚に結びついていないので脳内の働きがないと思われていた時期もありますが、特にワーキングメモリー機能(動作記憶)には大きな影響を与えます。

海馬(記憶)の縮小も見受けられます。

また、性欲を司る視床下部(既出)その他前帯状回は全て大脳辺縁系です。

脳下垂体、小脳が脳幹に接していて運動機能に関連していること等どこから出題されるかは不明なので、脳全体は出題範囲と考えておくといいかもしれません。

脳に関してはこれだけでもまだごく一部しか触れていませんので、今後また機会があれば記事にしたいと思います。

参考文献:脳科学と心の臨床 岡野憲一郎著 心理療法家家・カウンセラーのために 岩崎学術出版社

6291A21B-FAB4-484F-BB0B-D66968207F9E

◯ 公認心理師の給与・地位、医療職内ヒエラルキー

心理職を国家資格にして地位を向上させよう!

という目論見が公認心理師資格創設の際にはあったはずですが、国家資格化されたからといって、ぐんと給料が上がるわけでは全くありません。

医療の世界の中では厳然としたヒエラルキー、上下関係があります。

果たして公認心理師はどこの辺りに位置付けられているのでしょうか。

ヒエラルキーの頂点はだれが何と言っても医師です。

東大博士号取得者の心理職でも医療機関に勤務している限り医師が必ず上長にいます。

次は歯科医師、自営では食えなくなったとは言え、口腔外科手術もできる歯科医師はヒエラルキーの上では医師の次にいます。

そして次は薬剤師です。

薬剤師は従前4年制だったのですが6年制となってより専門性が高まりました。

薬学部入試科目は医学部とだいたい似ているので医学部を諦めて薬学部に入学する人も多いのですが、調剤薬局(病院の隣にある薬局)やドラッグストア勤務でも初任給600万円、時給3,500円も珍しくありません。

意外と知られていないのは調剤薬局では当直があり24時間薬の相談に乗ってれるところが多い事です。

小さなクリニックでも朝早くから薬局を開けて病院によっては遅くまで開いていて、そこでまた調剤をする薬剤師は相当神経を使いながら体力勝負で仕事をしています。

この3業種の地位は不動と思われます。

さて、ここからは勤務機関によってその扱いが大きく異なってきます。

大学病院や大病院の看護師は新卒でも年収600万円、そのかわり夜勤、交代制勤務の連続です。

医療専門職ですから当然人の命にダイレクトにかかわります。

看護師を取りまとめる師長、看護部長には研修医もかないません。

看護師が診断までしても若い医師は文句を言えません。

看護師が保健師資格を持っていれば、健康指導ができますし、助産師資格を取る人も多いです。

機関によっては医師-看護師管理職-心理職の順番に序列が決まっている場合もあります。

事務長が権勢をふるっているとイチ心理職はかないません。

専門性とヒエラルキーいう意味では心理職、理学部療法士PT、作業療法士OT、言語聴覚士ST、視能訓練士CO、精神保健福祉士PSW、社会福祉士SWはだいたい同等の扱いという職場が多いです。

放射線技師は放射線医のようにがん治療に当たっていて、時間があると放射線室の遮蔽計算を微積でやっていて、専門家というものはすごいなあと思います。

臨床検査技師は病院だと手術中に患者さんの細胞を採取してがん化しているかどうか病理医とチームを組んでやっているのですごい専門家だなあと思います。

検診車で腹部エコーを取るのも臨床検査技師の役割です。

心理職は公務員だと医療職(二)の俸給を適用されていたり、民間大学病院だと事務職の扱いだったりバラバラです。

管理栄養士の立ち位置は他医療職とは少し異なる事が多いですが、本ブログの読者のふみさんが書いておられるように、管理栄養士さんにクライエントさんの相談に乗ってもらいたいことも多いです。

心理職の給料は院卒ということで専門学校卒でも取れる他職種より少しだけ序列が高いことも多いですが、それほどでもありません。

「先生」と呼ばれるのは心理職で、僕は先生扱いは苦手ですが医師から「心理の先生によく相談してね」と言われると逃げられないので、その時は心理職への期待、矜恃を持って(先生と呼ばれなくても)クライエントさんに当たります。

先生扱いはあとは理学療法士、言語聴覚士、視能訓練士、あんま鍼灸マッサージ師でしょうか。

ケアマネと介護福祉士は今ニュースで話題になっていますが、福祉関係ではどちらが給与面での待遇が良いのかは今後の運用にかかっています。

心理職は開業ができるというところは他の職種に比べるとメリット、アドバンテージがあります。

病院によってヒエラルキーはとてもごちゃごちゃしていて、心理職が歯科医師の部下になることもあります。

心理室が独立しているような大病院だと心理実務のみやっていればいいのですが、小さな病院や診療所だと心理兼事務員として受付やレセプト計算をやらされる事もあります。

大学病院や精神医学研究専門機関だと研究員の中に組み込まれて専門性を発揮する事が期待される職場もあります。

経験年数や職場によってですが、常勤心理職年収300万円〜600万円程度かな?と思います。

臨床心理士動向調査でもこの辺りの年収が約半数を占めるコアになっています。

常勤、常勤+非常勤も同資料によると約半数です。

医師団体は医師数の増加にはかなり慎重で、既得権益を守ろうとしています。

そんな中で公認心理師が権限を拡大していくのは難しい課題と思えます。

↑このページのトップヘ