ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

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◯ 公認心理師のスクールカウンセラークライシス

以前もスクールカウンセラー(SC)の記事を書きましたが、1)「スクールカウンセラーが公認心理師試験で持つ憂うつと不安 」2) 「公認心理師スクールカウンセラーきらみちゃんの憂鬱 」SCがひとつの自治体、学校に勤め続ける連続性の危機に晒されていることやSC制度が持つ構造的な問題点について書いてみます。

SCの任用資格としては従来臨床心理士がトップになっていたのですが、現在では公認心理師が任用筆頭資格になっています。

これについて僕は積極的な異議があるわけではないです。

学校心理士、臨床発達支援士、特別支援教育士や学校に以前から勤務していた相談員が今後SCとして働く事は十分に意義があることでしょう。

SCになる臨床心理士は都市部在住者が多かったので、就職は都市部になるほど困難でした。

そのため、片道3時間半かけて通勤、朝7時から夜10時ぐらいまで働くSCの話を聞いた事があります。

また、例えば京都府は以前は半日勤務、週1日が限度、東京都も週1日が原則でした。

いわばワークシェアリングの状態にあったのです。

SC制度が定着するにしたがって学校でのニーズが高くなっています。

SCは半日ではなく1日勤務が原則、名古屋市は全国に先駆けて定年までの常勤雇用を昨年度15人のほか、任期制の常勤雇用で毎日出勤のSCも採用しています。

ただ、これからSCの応募母体が増えることによって非常勤でも競争率が高くなるでしょう。

毎年採用試験を行っている自治体では長年その学校で勤めてきたSCが試験に落ちて再雇用されなくなり、これまで当該SCを頼りにしていた児童生徒保護者が連続性のある支援が受けられなくなる可能性があるという事を危惧しています。

そしてSCがその職務として自身のメンタルヘルスに問題を抱えた教職員の相談に乗ることとありますが、これはカウンセラーが同僚をクライエントとして扱う多重関係に当たるんじゃないの?

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/066/shiryo/attach/1369916.htm

(文部科学省には教職員の相談に乗ることも職務の中に記載されています。)

と思うわけです。

また、外国の事情について見てみるとアメリカのスクールサイコロジストやスクールカウンセラーは州によっては博士号取得者が採用要件です。

そしてこれも州によるのですが、アメリカのスクールサイコロジスト、スクールカウンセラーは学校とは全くの独立機関で、学校の対応に間違いがあれば是正できるいう強力な権限を持つ、医師よりも高い給与を得て高い地位を持つ専門家です。

日本は家近早苗公認心理師出題委員が提唱するようなチーム学校ヒエラルキーの中ではSC最下位にあります。

どの程度SCは児童生徒保護者のために機能できるのか?

昨今民間団体が文部科学省から委嘱を受けたり、自治体が自らSNSでLINEカウンセリングをしていると匿名性が担保されて多数の相談が引きも切らない。

SCは潜在的ニーズは高いのですが「相談したら秘密がバレてしまうのではないか?」

という相談者側の不安は「8割方当たっています。」

「集団守秘義務」という指針の中で、SCが相談内容をカルテに起こしてそれを全て教員に提出させられることもあります。

SCに相談室の予算がついたので相談担当者に「相談の待ち時間用にマンガでも買ってください」と言われて流行りのマンガを買ったら管理職に「なぜそんなものを買う、マンガと言えば手塚治虫のような教育的なものだろ」と叱られました。

子どもの描いたアニメキャラを「上手に描けてるねえ」と相談室だよりに載せたら「アニメは教育的でない」とおたより発禁、相談室で子どもが楽しみにして描いた絵を相談室内でも掲示禁止などSCはいろんなところで板ばさみになります。

今SCのカウンセリングを受けたことがある児童生徒たちがSCになりたいと言っているのを聞きます。

それはとても心理職にとっては嬉しいことです。

そして彼ら彼女たちが夢をかなえた時にSCが働きやすくなっているといいなとも思います。

これまで臨床心理士がたどって来た学校内での様々な苦労や軋轢を教育現場に初めて入る公認心理師が味わう事がなければ良いとも思っています。

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◯ 公認心理師が医師専権の医行為を行う日

公認心理師試験には精神薬理学分野は必ず出題されています。

僕も自分の薬理学知識をまとめるために以前精神薬理学に関する「公認心理師に精神薬理学が必要な理由」を書きましたが「本当にこれでいいのか?」とも思っています。

公認心理師試験に出題されているのは主に向精神薬の副作用についてです。

抗うつ剤SSRIで賦活作用が出る、若年者を中心として希死念慮が出て来る、「実は診察の時には言えなかったんですけど最近衝動的に死にたくなって・・・」という独自の精神状態は確かに賦活症候群を疑わなければなりません。

抗精神病薬でも「足がつっぱってとっても寝苦しい」のはアカシジアで、投薬中止を考えなくてはならない副作用です。

また、双極性障害に使われるラモトリギン(ラミクタール)は眠気も強く出やすいですし、「ちょっとかゆみが出て、最近湿疹がひどいなあ」というとスティーブンス・ジョンソン症候群といって、皮膚全体が壊死する事もあります。

もちろんカウンセリングの中で患者さんがこういった「医師には言わなかったけど初めて言う副作用」があればすぐに医師に報告しなければならないわけですが、ちょっと待て、それは医師が患者さんに確認すべき事項ではないの?と思うわけです。

厚生労働省の「公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について」では「公認心理師は、主治の医師からの指示の有無にかかわらず、診療及び服薬指導をすることはできない。」とあります。

「新しい睡眠導入剤、朝起きたとき眠気がひどいんです。」と言われて心理職が「それじゃあ薬を2つに割って半錠にして試してみましょうか」と言うことはできません。

「出された薬全然飲んでません」「ためてから一気に飲んでます」と言われたらその場で言いたくなるのが人情ですが、基本的に診察室で服薬指導、服薬コンプライアンスは医師に指示をしてもらうべきです。

目の前に「公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法 医学書院」がありますが、試験にも出た診療記録のまとめ方、SOAPの原則や嗜眠症ナルコレプシーの症状が書いてあって公認心理師試験に役立つ医学知識を得るにはとてもいいテキストです。

このテキストはなかなかいい参考書なのですが、薬物療法の欄で薬剤名とその副作用が書いてあります。

向精神薬の薬理作用にも触れられています。

「このイフェクサーってお薬はどういう効き目があるんですか?」

「このロゼレムっていうお薬はこれまでの睡眠薬とは違う働きがあるって聞いたんですけどどうしてですか?」

などなど患者さんはこちらが心理職だろうがなんだろうが、白衣を着たなんだか科学的チックな人ならいろんな質問をしてきます。

それらに答える事は心理職は(実際にはしなければならない事があっても)医師、薬剤師に尋ねるように言うのが本筋です。

上記ナルコレプシーについて公認心理師第2回試験に出題されていましたが、それは診断基準についての出題です。

ナルコレプシーの若い人が仕事をしよう、選ぼうと思っても働き方がとても制限されてしまう、これからどうやって生きていけばいいのだろうか?

そういう疑問に答えることは心理職の精神疾患へのかかわり方として大切なことです。

上記のテキストは「心理職が医療制度を理解し、その職分を守って疾患に適切にかかわるため」にとても役立つ医学分野の受験参考書です。

ただし、公認心理師試験で受験生の医学知識を深掘りしていくときりがないです。

医行為でしかできない医師の専権的知識を問う事にその必要性があるのかどうかということについては疑問が残ります。

心理職に対し「僕らの仕事もやってね」という意図ならばそれは無茶ぶりで「心理職はこういう特徴を持つ疾患にどうかかわるべきか」が問われるべきでしょう。

そうでないとタイトル通りの事柄が期待されてしまい、結局医行為に踏み込まざるを得なくなると心理職としてはおかしな事態になってしまうと思います。

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◯ 法務省・家裁から公認心理師をめざす・インターンシップの活用

法務省矯正局、家庭裁判所では常に優秀な学生を採用したいと考えています。

一昔前なら公務員は心理職に限らず「受けに来たいなら本番の試験を受けて」とか「自由に(アポは自分で入れて)省庁訪問してね」というところでした。

知り合いの心理士から「いい時代になったねえ、私もこんな制度があったら積極的に見学に行きたかったあ」と言われました。

インターンシップ説明会注意書きに記してあるようにインターンシップに参加したからといって採用が有利になるというわけではありません。

ただし、民間企業でも同じですが志望動機は面接で必ず重点項目として聞かれます。

ですのでこのインターンシップで得た知識で

(長いので途中改行します。)

「家裁では多種多様の事件を扱っていて、少年の科学的調査、健全育成にこれまで学んだ心理学が生かせそうです。

私は発達障害と子どもの性格との関係で卒論を書きました。

少年の性格特性を考えた上で処遇に関する意見を出す、また家事事件ではその子どもの特徴を明確にとらえる事が子の福祉に寄与すると考えました。

そのために裁判官、調査官、書記官事務官も一体化して目的のために熱意ある姿勢で働いていらっしゃるという事をインターンシップで学びました。

そして、少年審判廷がなごやかな雰囲気、調査面接室がプライバシーが守られる構造で、家事でも申立人、相手方控室が分けられていて人権に配慮、面接交渉等についてもビデオで当事者の方にわかりやすく説明、家庭裁判所と国民との距離が近く、親しまれる存在ということがよくわかりました。」

(一例・もっといい言い方はいくらでもあるでしょう。)

公認心理師養成学部卒から公認心理師を目指すには限られた医療機関の少ない定員に選抜されて養成を受けることが選択肢に含まれています。

そして最高裁家庭局(家裁調査官)か法務省矯正局(法務技官(心理))が公認心理師法第7条第2号に規定されている施設なので、学部卒でも公認心理師を目指すことができます。

家庭裁判所インターンシップ制度

http://www.courts.go.jp/saiyo/internship/index.html

法務省矯正局インターンシップ制度

http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei03_00033.html

双方とも試験は今年度は終了しています。

家裁調査官、法務省総合職人間科学区分受験者の方、来年受験する心理学専攻者は学部卒でも公認心理師受験要件を得られます。

現任者Gルートで司法領域の公認心理師になった方も多いでしょう。

法務省矯正局法務技官(心理)は採用1年目に基礎科研修を行っています。

裁判所総合研修所でも家裁調査官補に座学、研修、実習等幅広い研修を行っています。

精神科・心理の世界ではかなり有名な大御所の先生を読んで講義をしたり、実習も充実していて大学院レベルの教育があり、公認心理師法に規定された2年間の実習が受けられます。

公認心理師になってからこれら司法職を目指す、それも十分選択肢の中に入れてもいいと思います。

ただし「自分は公認心理師という素晴らしい資格を持っているから実力がある」というような自己アピールをするときっと合格できません。

「公認心理師になりたいから受験しました」もきっとまずいでしょう。

ただ、法務省矯正局や最高裁家庭局は優秀な人材を求めていることは確かです。

そのために公認心理師法7条第2号に規定する施設として認定を受けているのかな?と思うので、チャレンジする価値は十分にあると思います。

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