ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

このブログ運営者は産業と医療の中間領域のようなところでカウンセリングを行っている、世界の謎を解き明かす心理職です。

これまで司法、教育、福祉分野での心理職経験もあります。

このブログのテーマは僕が専門としている心理学に加え、スタートしたばかりの公認心理師制度の検証、カウンセリング全般についてです。毎日更新を目指しています。誰も読まなくても書きます。もし評判が悪ければ反省してやはり毎日書きます。コメントは他者の誹謗中傷でなければ掲載します。僕へのクレームは大歓迎。掲示板がわりに使っていただいて構いません。

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◯ 自殺対策基本法、ハラスメント対策、障害者雇用促進法、健康日本21

2006(平成18)

第四条 事業主は、国及び地方公共団体が実施する自殺対策に協力するとともに、その雇用する労働者の心の健康の保持を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

自殺対策の内容

1.自殺防止の調査研究、情報収集
2自殺の恐れがある人が受けやすい医療体制の整備
3.自殺の危険性が高い人の早期発見と発生回避
4.自殺未遂者と自殺(未遂を含む)者の親族に対するケア
5.自殺防止に向けた活動をしている民間団体の支援

内閣府への自殺総合対策会議の設置・運営について

・自殺対策の大綱の作成・推進

この法律は当時年間自殺者数3万人を超えていたことから制定されたものです。この自殺対策基本法に基づいて「自殺総合対策大綱」が平成19年に整備されました。(29年改正)

勤務時間による自殺対策
長時間労働の是正
ハラスメント防止対策

が大綱には示されています。

29年の大綱改正を踏まえ、大綱の内容では地域レベルでの防止、専門職の配置、児童生徒に対する教育、革新的自殺研究プログラム推進、大学等での専門家の養成、職場での対策、災害時対応、精神疾患患者などハイリスク者への対応、ひきこもりや虐待、生活困窮者、性的マイノリティへの支援が盛り込まれています。

妊産婦への対応、社会的孤立者が出ないようアウトリーチ(積極的介入)への推進、未遂者の再度自殺企図防止、学校職場への事後対応、遺族へのアフターケアも掲げられています。

自殺対策としては啓発予防(一次予防、プリペンション)、今正に起きようとしている自殺への水際での精神保健対応(二次予防、インターベンション)、二次被害を防ぐためのアフターケア(三次予防、ポストベンション)が全て網羅された内容になっています。

◯ ハラスメント対策
男女雇用機会均等法(2007)平成19

第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

また、相談窓口開設、事案が疑われる場合には速やかな調査が提示されています。パワーハラスメントについては厚労省「職場のいじめ、嫌がらせ問題に対する円卓会議」2009(平成21)、同じく厚労省「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(2016)平成28が示されました。

◯ 障害者雇用促進法
2016(平成28)
合理的配慮、差別禁止

※合理的配慮は何度も障害者への配慮として法や規則で強調されている概念です。ユニバーサルで快適なエレベーターを設置するために校舎全体を造り変えるという要求は無理ですが、既存のエレベーターを使用する、一階の教室を使ってスロープを利用するのに職員が介助するのは合理的配慮です。

職場では障害者の雇用算定率内に精神障害者が追加されました2018(平成30)

◯ 精神障害者に対する支援制度

健康保険法により、業務外の疾病で休業した場合には傷病手当金が支給されます。最大限1年半、標準報酬月額3分の2の傷病手当金が支給されます。

精神障害を含む障害年金についてです。障害年金を請求しようとする時点で、年金の滞納がないこと(減免措置申請も支払いに入ります。)等が支給要件です。

障害基礎年金1級年間974,125円 、2級年間779,300円、障害厚生年金(直前まで働いていた場合)は障害年金+障害厚生年金で倍額が支給されています。

◯ 健康日本21

食生活・栄養、喫煙、アルコール、歯の健康、運動、睡眠など生活習慣についての指針を示し、国民の心と体の健康水準の向上を目指す厚労省が主導する運動で、2000年から始まっています。

糖尿病、循環器病、がん他の生活習慣病の予防改善、精神疾患についてもガイドラインが示されています。

心の健康については、全ての事業所がメンタル的措置を受けられる労働条件改善を目指しています。

◯ 民法の注意義務、過失

民事上、一般人は善良なる管理者として注意義務を払い、他人に損害を与えないようにしなければならない(善管注意義務)と言われています。

ただし、これが高度な知識を持つ職業陣がその知識と経験に基づいて遂行する場合には、専門家としての善管注意義務が発生し、それを怠った場合には損害賠償を請求されることがあります。

このような善管注意義務を怠った行為で相手に損害を与えた場合には民放709条による不法行為が構成されます。

医療の場合には医療ミス、説明義務、インフォームドコンセント不足により、患者や家族が同意していないにもかかわらず望んでいない治療を行い、後遺障害が残った、死亡したという場合が当たります。

医師の医療行為における注意義務は、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である」と判例にあります(医療水準論・最判昭57.3.30)。

最先端の医療を行っていて医療ミスかどうかを決めるのは、もし同様の先端医療を行う機関として同じような注意を怠っていなかったかということが基準になります。

photo by sora

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◯ COVID-19と戦う公認心理師&臨床心理士ねりちゃん

※ この記事には新型コロナ、COVID-19の記述が出てきます。心理的抵抗がある方は以下の分を読むことなくこのページを閉じることをおすすめします。

以前の研究会の知り合いで旧帝大→旧帝大院卒、教育学博士号を持つ才媛のねりさん(仮名)と久しぶりに話す機会がありました。

科研費(ぶっちゃけ言えばとってもステータスにもなって自分にも役立つ公費研究)経験者でもあり、このまま大学教員間違いなしと思われ、行政アドバイザーなどもやっていたのですが、ある時「ひなた君、ワタシやめるわ」と言って某超エリート医師の大学教授とサクッと結婚して遠距離に行き、今は心理フリーターをやっています。

ねりさんは5時までカウンセリング、5時から行政事務や研究をやっていたので、当時はすげー大変だったろうなあと思っていたのですが、今は結構リラックスして仕事をしているそうです。

ねりさんの職場はEAP(従業員支援プログラム)のコンサルティング&個人カウンセリングで、クライエント企業も一流企業、オフィスにクライエントさんがカウンセリングに来たりzoomでカウンセリングしたりということで、COVID-19が始まるまではほぼほぼ対面カウンセリングをしていたのが様変わりしたということです。

僕「ねりちゃんどう?前は出張したりクライエントさんが来たりEAP事務所もそれなりに流行ってたみたいだけど、クライエントさんとか減ってないの?給料下がったりクビになったりしないの?」

(仲が良ければ相手が偉くてもタメ口)

ねり「それがひなた君さあー、わざわざウチの会社に来たりこっちから出向くとね、キャンセルできないけどみんな手軽に予約入れて来るから結構忙しくなった」 

僕「商売繁盛なんだ。でもオンラインだとマスクなしでも会話できるからいいよね」

ねり「いや、みんなマスクしてる。室内でもマスクするように言われてるみたいで。だからワタシもマスクしてオンラインカウンセリングやってる」

僕「…なんか大変だね。」

ねり「こっちも向こうも表情わからないけどカウンセラーにも表情読まれたくない、っつー人にはいいみたい。あと前からのクライエントさんは自分の問題+コロナ+会社の業績の不安+家族の不安を抱えて重くなってるみたいな感じ」

僕「うーん」

ねり「うちの社長がさ、オンラインもできますって全国に電話営業かけてパワポ資料(営業ツール)送信してんのよ。あいつは強気だね」

僕「ねりちゃん過労になんない?」

ねり「大丈夫。ワタシも在宅テレワークにして通勤時間削れるからその分カウンセリング枠増やして給料上げさせた。」

僕「相変わらずタフだなあ。看護学校でも教えてなかったっけ?」

ねり「入学延期とかはあるわね」

僕「授業中止だと手取り減るね」

ねり「それもオンラインだから大丈夫」

僕「なんか様変わりしたなあ。ほぼほぼオンラインなの?」

ねり「いや、対面もやってるけどまだこっちは寒いから窓全開でやってるとカウンセリング早く終わる」

僕「いいのか悪いのか」

ねり「でも前に総合病院にもいたからどっからかぎつけたのかわかんないけど自治体のCOVID-19委員会に引っ張り出されたり」

僕「ま、ねりちゃん優秀だし。引っ張りだこと思うよ」

ねり「でさ、聞いて聞いて、その自治体の対策委員会の会議場が議員も来てるのに人ぎゅう詰めで三密なワケよ。まずワタシつかつかって入って行って窓全開にしたよ」

僕「ねりちゃん大胆だなあ。そういうつかみが大事だよね。僕は気弱だからなあ」

ねり「あら、ひなた君の弱気なのは昔からじゃない。」

僕「ま、ねりちゃんにはかなわないよ。」

ねり「学校関係でも会社でもとにかく攻めの姿勢ね、オンラインで不安な子はとにかくこういう時だからいつでもオープンにしてる、いつでも相談できるっていう安心感が大事なのよ」

(以上)
※ ねりちゃんは勉強家なので感染症に関する知識は相当にあります。雑談しながら文献も内外のものを紹介してもらいました。外国のものは読むのが面倒なので全部翻訳してくれと言ったら怒られました。ねりちゃんの働いている職場は、産業、教育とCOVID-19に対峙している医療の最前線ではないかもしれません。しかし、僕も経験しているCOVID-19に対するクライエントさんの不安感が増していることは彼女も肌で感じているようです。そういう意味では不安を抱いている人々に常に接している彼女の職場もまたCOVID-19の前線なのだと思いました。

photo by sora

おはようTwitter

なにができるか よりも
なにがしたいか かもね ໒꒱⋆゚


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◯ 職場復帰支援(リワーク)、労働災害防止計画、加重労働対策、過労死防止対策推進法

「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2004)
(平成16年)

1.病気休業開始及び休業中のケア
2.主治医による職場復帰可能の判断
3.職場復帰の可否の判断
4.最終的な職場復帰の決定
5.職場復帰後のフォローアップ

産業保健スタッフ、管理職が行いますが、具体的なイメージは不登校児を考えると湧きやすいかもしれません。
職場に近づく、職場の建物に入る、職場の室内に入ると暴露を繰り返し、簡単な書類整理を短時間一日置きぐらいに始める。

全日出勤が可能な日が1カ月ぐらい続いたら主治医に本作復帰の意見具申をして復職させるということです。納期がある仕事、部下を指揮する仕事、残業などはしばらくさせないということも大事です。

厚労省のリワークのパンフレットがリワークの理解に役立ちます。

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-1.pdf

◯ ストレスチェックテストについては以前書きましたが、ストレスチェックは大企業だけが行うわけでなく、50人未満の事業所でもその実施努力義務はあります。

◯ 労働災害防止計画

労災を防止するための中期計画で、2015(平成25)から2018(平成30)までの5年間を計画期間とする「第12次労働災害防止計画」が公示されています。

12次防の目玉の1つがメンタルヘルス対策で、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合を80パーセントにする(2015年現在59.7パーセント)とされています。

メンタルヘルス不調予防のための職場改善の取組み、ストレスへの気づきと対応の促進、取組方策のわからない事業所の支援が推進されています。

現在は年度が変わり、13防5カ年計画となりました。80パーセント目標は変わらないのですが、2016年現在56.6パーセント、職場内外に相談をできる事業所目標90パーセント(2016年現在72.2パーセントです。)

13防ではストレスチェック結果集団分析の活用目標60パーセントが新たに掲げられていることが特徴です。

労働災害防止計画の概要-第13次労働災害防止計画(2018年度~2022年度)-厚生労働省
http://kokoro.mhlw.go.jp/guideline/guideline-outline/

◯ 過重労働対策

過重労働によって引き起こされる「脳血管疾患及び虚血性疾患等の認定基準について」(1995)平成7

過労自殺についても認定基準が定められていますが、業務上重大事故による著しい精神的・身体的負荷、短時間の過重業務、長時間の過重業務があります。

発症前1カ月間100時間、発症前2カ月から半年に80時間を超える時間外労働は発症との因果関係が認められやすいです。

「過重労働による健康障害防止のための総合対策」2002(平成14)
は時間外、休日労働削減、年次有給休暇取得促進などを推進しています。

安衛法66条8は長時間労働者への健康管理として創設されました(2006)平成18

(面接指導等)
第六十六条の八 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労
 働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接
 指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと
 をいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2 労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指
 定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定によ
 る面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限
 りでない。
3 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項及び前項ただし書の規定による面接指導の
 結果を記録しておかなければならない。
4 事業者は、第一項又は第二項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を
 保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなけれ
 ばならない。
5 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の
 実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講
 ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への
 報告その他の適切な措置を講じなければならない。

具体的には月間100時間を超える時間外勤務者です。

「過労死防止対策推進法」
(2014)平成26


過労死等は、過労死等防止対策推進法第2条により、以下のとおり定義づけられています。

・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡

・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡

・死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

過労死に至る前の重大な疾患への罹患も防止対象です。

この法律には調査研究、啓発、相談体制の整備、民間団体の活動に対する支援が規定されています。

啓発については中高生に対しても行われていて、年少者のうちから労働者が健康を保つ権利について学べることは十分な評価に値するのではないでしょうか。

啓発は11月を防止月間としてシンポジウム等も行っています。

厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000053725.html

photo by sora

何かを始める時に「型」は必要。だけど、ある程度軌道に乗ったらそれを外すことも必要かもしれない。なぜなら、その「型」が足かせになる場合があるからね。補助輪なんて正にそれ。

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