カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

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◯ 公認心理師現任者Gルートへの批判に対する批判とそれに対する批判

この話題はくどいようですが、実際に公認心理師受験生たちの間で多く取り交わされているという実情もあります。

「元々心理の仕事をしてこなかったのにこれから心理の仕事をやるためじゃない、自分のキャリアアップのつもりだけで取るの?」

「ペーパーテストができればカウンセリング能力や心理テスト能力が認められるのってのはおかしくないの?本当に心理業務ができるの?」

「試験に通ったからといって心理の領域に口出しされたらたまらない」

等々です。

元々公認心理師カリキュラム検討委員会(2016)では現任者として週一回でも心理実務経験者を認めていました。

例えば週一回しか稼働していないけれどもその日はスクールカウンセラーをしている、週一回でクリニックのカウンセリングをしている人も現任者として認めようというゆるい受験者要件を現任者としていたからです。

実際、そういった働き方をしている心理職もいたわけで、そういう人に公認心理師国家資格を与えるのは理にかなっているような気がします。

カリキュラム検討委員会で把握していた全国の心理職の稼働人数はおよそ数万人、その心理職の人たちを対象とするという趣旨でこの試験は行われています。

つまり現職心理職の国家資格化を狙った試験だったと思われるのですが、公認心理師法施行令に定められた26施設で働いてきた相談業務担当者はカリキュラム検討委員会では心理を主たる業務としない場合には「心理職」としての読みをしていなかったことになります。

そして実際に現任者Gルート受験者、合格者を見てみたら心理を主とする業務としない人々が多かったのはカリキュラム検討委員会や試験委員会の予想外、ただし当局は試験後には把握していた事実だったでしょう。

邪推になりますが、だから第2回試験のハードルを上げて心理を大学院で専攻した対象者でないと合格できないレベルにしたのではないかと思うのです。

カリキュラム検討委員会も日本心理研修センターもザル審査しかしないことはすでに決定事項です。

今さら「看護師はおかしい」「教師は違う」「せめて心理学部卒」と言っても試験制度がそうなっている以上、さまざまな合格者も出ている、これからもGルートで多種多様の合格者が出てくるのは事実です。

博士号を持つ臨床心理士でもその他の民間心理資格取得心理職でも1点点数が足りなければ合格できません。

そしてこの試験によって受験者の臨床対応能力は正確に測定できません。

それは他の心理試験でも同じことです。

だから他領域専攻者でも点数が取得できれば資格は取れます。

これはきちんと試験カリキュラム検討委員会でも試験委員会でも定めていることなので、つまりはそういうことです。

2024年からはもう新課程の院卒者が受験者の中心になり、精神科医であろうと現任者を逃すと公認心理師にはなれません。

旧院ルート、科目読替えができなかった人たちもGルートに入っています。

「過渡期」のこの時期に公認心理師となった人々がどのようにこの資格を活用していくかがこの資格の価値を決めるでしょう。

5年後の制度見直しにも色々な意味での影響を与えていくことに繋がっていくと思うのです。

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◯ 公認心理師試験は文系?理系?

公認心理師第1回カリキュラム検討委員会では

(以下引用)
○北村座長 ありがとうございます。心理士というのは文系ですか。
○林構成員 文系です。
○北村座長 精神科医は文系ですか。
○林構成員 理系です。
○北村座長 高校段階で文系と理系にきっぱりと分けてしまうのは、非常に問題かなと。今、先生がおっしゃったように、心理士の人にも医学を勉強してもらおうと思ったときに、往々にして生物学の基本を知らなかったりして、びっくりすることがあります。そんなに文系、理系と早い段階で分けなくても、やっていただいたほうがいいと思うのですけれどね。
 公認心理師の人というのは、ほとんど文系出身ですか。理系というのは、余りいないのですか。そうすると、このインタープロフェッショナル・エデュケーション、多職種連携教育と言うのですが、こういうものも会話が合わなかったりすることがあります。そういうことから、やはり教育してほしいかなという気もします。」

(引用終わり)

※ 北村座長は内科医、林構成員は精神科医です。

という質疑がありました。

考えてみれば統計的手法は完全に数学的分野ですし、高校数学の域を超えた出題もされています。

実験法、研究法についても同様です。

さらに言うならこういった統計的手法を用いた分析を利用して効果的な心理療法を行うわけですから、医学における治療と同様にエビデンス・ベイスドの要素も強いわけです。

また、脳科学領域は医学・生物学的分野です。

神経細胞の生理や視床下部に関する出題が過去にありました。

そしてこれは医学の中でもアメリカ診断基準DSM-5やICD10(11)による精神疾患の分類も精神医学分野となります。

抗精神病薬副作用についても薬学、医学的知識ですし、医療制度論については文系とも言い切れない分野です。

身体疾患はALS (筋萎縮性側索硬化症)や女性更年期障害等についての出題がありました。

こういった出題が心理職にとって適切かどうかということについて、研究活動を行うためには統計法、調査法、実験計画法は必須、不要の知識とは思えません。

ただし心理学や関連諸科学専攻者で受験する人々の中には文系の人が多く、手こずる、というか苦手な人は多いかもしれないと思います。

また医学的な知識や薬理学的副作用の知識についてですが「さっきお医者さんの診察では言えなかったんですけどこの薬(ラモトリギン)を飲んでから身体中に湿疹が出ましてね」と言われたら心理職といえども「えっ、なにそれヤバい」

と思って滅多に出ない副作用でも出たら命にかかわりかねないスティーブン・ジョンソン症候群(重度の皮膚の壊死で致死的になりかねない)かもしれないのですぐに医師に報告しなければならないでしょう。

公認心理師試験は臨床心理士試験に比較して基礎心理学分野、科学的、医学的、生物学的分野が多く出題されていることがよく言われていますし実際そのとおりです。

法律や制度、五領域分野が臨床心理士より詳しく出題されることも事実です。

看護師さんや保健師さんのように理系知識が十分にあると思える人たちがこの試験に苦心して挑戦しているのも知っているのですが、文系領域オンリーでは解けない問題はこれからも出てくるでしょう。

解剖学や精神腫瘍学も出題領域として明記されているこの試験で得点率を上げようとしたらそれなりの理系学習も必須ということになります。

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(ちみちゃんと摘んできた彼岸花)

◯ 心理臨床学会に入会できない公認心理師の存在

心理臨床学会は会員数3万人近くを誇る心理学関係では最も大規模な学会です。

心理学大学院在学者や新卒者も学会入会資格がありますが、ほぼほぼ現役の心理職、臨床心理士や公務員心理職で構成されています。

心理臨床学会員=心理職+心理学専攻新院卒or在学者

これは間違いのない図式です。

しかし公認心理師は異なります。

公認心理師の全てが無条件で心理臨床学会に入会できるかというとそうではありません。

公認心理師試験は統計、実験法等多くの研究法が出題されます。

公認心理師の責務として研究は法には定められていないのですが、事実上は奨励されていると解せます。

また、心理臨床学会も日本公認心理師協会に2000万円、公認心理師養成機関連盟に2,200万円の寄付をしているので、学会を挙げて公認心理師制度を支援する姿勢なのは間違いありません。

ところが非臨床心理士を中心としたGルート現任合格者新公認心理師の入会資格はどうかというと、この学会の入会資格を定めた会則ではかなり厳しいものになっています。

心理系、または隣接諸科学大学院在学または卒業者、心理系か隣接諸科学大学学部卒後2年の心理臨床経験者でないと入会資格が得られないのです。

Gルート現任公認心理師合格者の中には例えば数学や物理を学んだ教員や現任で福祉職をしている人たちがいます。

人間科学や特殊教育学、児童学についても個別に審査します。

そして短大卒業や専門学校は学歴要件どしては認められません。

ただし、8年以上の心理臨床経験(かつ心理臨床学的業績の顕著なものと認められたもの。)であれば入会資格がありますが、Gルート現任者の定義は週一回以上、5年以上の臨床心理実務経験者です。

「顕著な業績ってナニ?」と思いますが、どうやら実務経験者に広く門戸を開いているわけではなさそうです。

経験年数についても非常勤週2日だと経験値6割に切り下げられますので、公認心理師よりも厳しいです。

そして心理臨床学会が実務経験として認めている施設は6種類+その他相当と認める施設、公認心理師法施行令の26施設よりもぐんとその数は少ないです。

僕は改めて心理臨床学会会則を読んで知ったのですが実務経験を積める病院等は「精神科、神経科、小児科、心療内科」老人福祉施設や国立療養所身障児病棟に限られています。

今や心理職は産婦人科、精神腫瘍科、整形外科、血液内科、耳鼻科、眼科などなどあらゆる科で働いています。

地域連携室で福祉職として患者さんや家族の相談に乗ってきた福祉職の人たちも多いでしょう。

精神科以外にでも患者さんのメンタルケアに当たっていた看護師さんは?

とも思うわけです。

保健所にも精神保健福祉相談員をしている保健師さんもいれば、地域包括支援センターで相談に乗っている行政職員もいます。

この学会に入るには正会員2名の推薦が必要というハードルもあります。

この学会の中核を占める臨床心理士や公務員心理職の推薦人を探さないといけません。

さて、僕の私見ですが、新公認心理師が様々な職種からの心理業務をどのように行っているか、心理学プロパーの臨床心理士とは違った視点からのクライエントさんへのアプローチの仕方など学びたいところは多々あります。

心理臨床学会が心理職のための自己研鑽の場ならば、もっと間口を広げて新公認心理師に参加して欲しいですし、そうやって入会できた新公認心理師に研究発表もぜひ行って欲しいと思っています。

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