ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

このブログ運営者は産業と医療の中間領域のようなところでカウンセリングを行っている、世界の謎を解き明かす心理職です。

これまで司法、教育、福祉分野での心理職経験もあります。

このブログのテーマは僕が専門としている心理学に加え、スタートしたばかりの公認心理師制度の検証、カウンセリング全般についてです。毎日更新を目指しています。誰も読まなくても書きます。もし評判が悪ければ反省してやはり毎日書きます。コメントは他者の誹謗中傷でなければ掲載します。僕へのクレームは大歓迎。掲示板がわりに使っていただいて構いません。

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暗がりがこわいのは
「見えづらい」から

情報や知識という名の『あかり』で

夜道を照らそう
💫

◯第3回公認心理師試験事例午後問題

※ 難易度を独断で★の数で評価しました。偉そうに評価していますがやはり僕が全問正答したわけではありません。  

で、思ったのですが、現場感覚遊離の方向性はこの試験、爆走中という感じです。

問136★★
1歳の女児が離婚して母親だけでなく、周囲の人々全体に育てられていく様子。選択肢を見ると明らかに違うものが3つあるので二者択一

問137★★
不安障害らしい男性への心理検査の選択。GAD-7は知っていれば知っているけどそう有名ではないテストです。(僕には。どこで売ってるかわからない。)他の検査は用途目的が違うので消去法で。

問138★
エンジニアから管理職となって抑うつ状態となった患者に医師からのオーダー。何をすべきか?「焦って突っ走るな」原則です。なぜか散歩を勧める選択肢が…僕も場合によっては「散歩とかどう?」と言ったことはあるかもしれません。具体的過ぎる選択肢が並んでる時は話を聞いて評価、という無難選択が正解です。

問139★★★
高齢者への虐待がどんな種類の虐待かです。心理的虐待か、障害残らない暴力でもそれは身体的?心理的?ご飯食べさせない+ひどい言葉かけ…迷いました。

問140★
認知症の心理的解釈と介入がどうも今回のテーマのひとつだったような気がします。知っていれば、知らなくても日本語で回答できる取り繕い反応。

問141★★★
司法領域に一時期かかわっていた僕でも外国の非行理論は穴で、歯が立ちませんでした。きっと正答率低し。

問142★
急に真面目だった男性が身なりだらしなく窃盗を始めた。罪悪感なし。心理的要因だけ見ちゃいかんという生物学モデル問題。

問143★★
職場復帰の意欲が高まったリワークの次のステップ。手続き的な問題としての専門家の知見より本人の意向を重視してもいいかと。

問144★
異動で慣れずにオーバーワークになった男性への支援。産業医療現場にいる僕にとってはわかりやすい問題でした。というのも現場感覚でさっくり組織介入すると正答は得られないだろうと思ったからです。早道を辿って解決するよりも医師に見立ててもらうことが正答でした。

問145★
不適切選択問題。突然始まった20歳大学生女性への介入。いきなり知能検査はないでしょう。恐怖症と関係がない。

問146★
問題は簡単な選択肢。昇進うつになった男性。家族への説明を公認心理師が医師から丸投げ依頼されてどう対応するか。希死念慮を明らかにしていなくても「この人大丈夫です」と根拠の怪しい保証はしてはならないということで。

問147★
不適切選択問題。この辺り、わからない問題がたまってくると適切なのか不適切選択なのか混乱して疲れてしまっていた人がいたかもしれません。不登校女子12歳。正答選択、ではなく誤答選択、なのですが割と紛らわしい、というのは質問と選択肢合わせて15行程度の限られた情報の中で選ばせるという短歌の解釈のような問題です。どれも不適切そうな紛らわしい問題ですが、登校強要しないのは基本ですね。

問148★
正答一瞬で常識で考えてわかるのですが。公認心理師が建設業の事故防止委員会に要請されることがあり得るのか…?

問149★
これは解くのは簡単です。この公認心理師心理師試験で1番の良問。自傷行為を続けても笑顔で接し続けるカウンセラーの前によりひどい自傷をした姿を見せ、怒鳴りつける女子高生。こういった場面は息詰まります。

回答どおりにできる力量のあるカウンセラーがどの程度いるか…というか正しくクライエントとコミュニケーションが取れるカウンセラーなら当初から笑顔で接し続けてはいないのですが。私、こんなに苦しいのよ、に対して、うん、ワタシ別にアナタの自傷行為見てもなんともないわ。→ワタシの苦しみわかってもらってない!という帰結となるのは当たり前です。

問150★
ADHD二次障害と見受けられる9歳児童の担任へのコンサルテーション。回答は簡単で環境調整なのですが、何をどう環境調整するかコンサルテーションするか?環境調整は教師の方がよくわかっていますしSC に聞かなければならないことなんてあるの?とこういった設問を見るたびに思います。これも現場感覚で答えてはイケない問題です。

問151★
不適切選択問題。50歳女性看護師長が介護と仕事の負担が過重になる。ただ単に英語を日本語訳すればいいだけ。人工知能用語のエキスパートシステムという用語がなぜ?

問152★
GID gender identity disorderやtransgenderの設問はこれから必ずこの試験に1問は出ます。思春期の性自認女性の男性?=(彼女)の心性を理解しようとすれば2問正答選択でもわかると思います。

問153★
ASDの中学生に対する配慮。教員がどうしていいかわからないでスクールカウンセラーに相談しに来ることは実際にはない、想定想像問題。常識問題、国語問題で、A君に無理やり何かさせるとか、A君や保護者を無視して情報開示しなければ済むだけです。

154★
またしても教員がスクールカウンセラーのところに相談に来るという、そんなにはないレアケース問題。優等生的に答えればいいだけですが、チームでやったりコーディネーターになればいいんじゃね?と何の解決にもならない「連携」を考えれば正答になります。

◯ 所感

解いてみて「まあそりゃそうだけどさ」と無理くり納得する机上の空論問題が第1回試験からありましたがあたかも加速化体験力動療法のように「公認心理師試験問題だけじゃん」という問題がさくさく増えたような気がします。

事例問題は「踏み絵」です。

なんだかいろいろと思うところあり複雑な気持ちがしました。

そしてもう一点、臨床経験と価値観をを正しく学んだとおりに基本
で持っている臨床家や、そこから学びを得た新卒者、無心に帰れたGルート受験者が事例を制したのだろうなと思いました。

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刹那的で
儚い
その美しさを

より輝かせよう

わたしたちも
🌸

○ 第3回公認心理師試験事例問題の講評(午前問題)

※ 難易度を★で評価

偉そうに「評価」していますが、僕が満点を取れたわけではありません。後付けで調べて納得したものもあります。ただしこの試験で求められている独特のセンスが問われていると思いました。

問59★★
実験デザイン、2 条件に分けた尺度測定に関する主効果と交互作用に関する問題。よく考えたらわかるかなと。

問60★
不登校中学生女子に関するインテーク面接における公認心理師の初期対応を問う。いわゆる「共感検出問題」。現実対応よりも「共感」を大切にする。

問61★★
健康管理に問題あり肥満の男性。J.O.Prochaska の多理論統合モデル
Transtheoretial Model によるステージに関する質問。このモデルを知らなくともカンで当たるか。

問62★
躁転した女性入院患者に関する公認心理師のかかわり。これもなるべく具体的解決策に当たるような行為をせず、公認心理師と患者で完結する、侵襲的でないかかわりとするのが正解。 

問63★
被災者を支援する自らも被災者である公務員のバーンアウト状態に関する設問。これは第1回試験の時からの伝統として、公認心理師が「具体的方法」を勝手に行わず、公認心理師→医師につなぐのが回答という問題。

問64☆
今回の試験の目玉として語り継がれるであろう代理ミュンヒハウゼン症候群。心理学を習っていなくてもニュースを見ていれば回答可能。

問65★
家裁の処分を知っていれば、9 歳男児の重大犯罪がどのように措置されるかがわかる。

問66★
覚えたことをすぐ忘れてしまう中学生男子の状態を選択させる問題。特に理論を知らなくても字面を見ていれば解ける。

問67★
薬物使用で保護観察となった 21 歳への保護観察官のかかわり。守秘義務とインフォームドコンセントの原理で解ける。ただし、この案件は保護観察官が直接担当するような「直担」 事件か、また、保護観察業務を公認心理師が行うのか?という疑問が残る。

問68★
不安、動悸、情緒不安定な女性クライエントをどうするか?言わずもがな医療機関に紹介。精神療法だけやって悪化したら心理師は責任取れず。

問69★★
思春期やせ症、入院中の女子へのかかわりで不適切選択。具体的なものはダメ。心理療法に類するものと思い僕は点滴を受けさせる、を選んだのが IPSA、プロロゴスと回答が割れているがいかに?

問70★★
健康と物忘れ MMSE点数カットオフ値がわかればなんとなくわかる。「医師の指示」で医師を持ち上げれば正解、を装ったひっかけ問題。主治医からリファーされてまた主治医のところに行かせて服薬指導を受けさせる、というのは指示を守っているわけではなくて医師の見立てに反している。ところで公認心理師がこんなに健康指導に関与してもいいのか?ひょっとして給料そのままで心理職には健康指導もさせる、という意図が見えてしまう。

問71★
就職に悩んで抑うつ状態の男子学生の自殺のリスク評価。就職指導を行うというのは本当は有効そうな気がしないでもない。しかし現実対応は求められていないというのがこの試験の特徴。

問72★★
8歳男児の知能及び社会的能の評価
頻出の Vineland-IIの評価値がわかれば簡単

問73★
25 歳の男性会社員の日頃の言動・行動からの評価。AQ-のカットオフ値がわかれば平易。わからなくても解ける。しかし「見立て」と評して心理師が診断行為をしていいのか?心理師にそこまで責任を負わせるのか?という疑問が残る。

問74★
不適切問題選択。ボクシングで脳震盪を起こした男子大学生に対するかかわり。これは…脳震盪とは関係のない技法を試みるのはどうよ、と思う。

問75★★
2正答選択問題。
70 歳女性の日中の眠気について。「睡眠衛生指導」を心理師が行っていいの?と思いつつ、足のアカシジアかセネストパチー (身体異常感覚)について医師に相談するのはいいとしてあとは生活指導をどうすればいいか悩む。不眠
症生活指導は第2回試験でも出た。

問76★★

攻撃性高い 5歳被虐待男児、社会養護施設に勤務する心理師が行う支援。正答2つ選択。生活指導的な面も入る問題。現場感覚と異なるかも。

問77★
24歳の女性担任教諭になってから教室崩壊状態になった際、スクールカウンセラーのコンサルテーションを問う。正答2つ選択常識問題で、心理学問題とは言えないような。

◯ 講評

午前問題については「正答選択のコツ」をつかんでいれば比較的平易に思えました。この「コツ」というのは現場感覚ではない、ということです。「あ、こうすれば簡単に解決するよね、いつもワタシそうしているし」という導き出し方で答えを求めるものではありません。いわゆる「優等生的いい子ちゃん公認心理師」だったらどうするか?が解答として求められているようでした。



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┈❆┈┈┈┈┈┈┈┈┈
⋆˖𝗜 𝗸𝗻𝗼𝘄 𝗜 𝗱𝗼𝗻'𝘁 𝗸𝗻𝗼𝘄˖⋆
┈┈┈┈┈┈┈┈┈❆┈
全てを知るのは

叶わないけど

求める心が大切なんだ♾


○第3回公認心理師試験知識問題講評その2

1. 序

純粋に心理学教育課程だけ学習していたのでは解けない、そういった、公認心理師試験対策のための特殊な勉強が必要でしたが、それを見抜けていたらみなさん合格です。

果たしてこれは2022 年公認心理師制度見直しまでの過渡期の国家試験として適切なのか?と思いました。というのも、現在の新卒受験生もこの知識問題については習っていない。そうすると自学自習で身につけなければ正答できなかった問題が実に多かったからです。

公認心理師純粋培養受験養成カリキュラム卒業者が出てくるのが 2024年。僕はそれまでに
公認心理師を取得した有資格者は僕も含めて「なんちゃって公認心理師モドキ」だと思って
います。心理専修者でも心理学以外の問題多きこの試験専用の勉強をしなければならなかった。ましてやG ルート受験者は基礎のキから身に付けて合格点に達しなければならなかったわけです。

実際に合格発表があるまでわからないわけですが「新卒だから有利」と言い切れない試験だ
ったと思っています。(ちなみに本記事においては医学領域知識問題については以前の「第3回公認心理師試験の私見」 に書きましたので書きません。)

また、なんとなく国語力や常識の範囲内で解ける問題もありました。のでそういった問題も抜きました。心理?よりも雑学とかネットのニュースほか情報を集めていて知っていた設問もありましたが、それは「たまたま」でした。

2.知識問題

次に、これは臨床心理大学院シラバスの中でできちんと教えられていたのか?
という問題を精査してみます。難易度吟味も含めます。

疑問度合を★で評価してみます。

(1) 心理専修者向け問題?

問15★★
ケース・アドボカシー 

習っていたとすれば障害心理学・社会福祉に関する心理学でしょう。福祉心理学部・福祉心
理学科がある大学院もあり、習っていた受験生が多い可能性もありますが、習っていなかっ
た受験生が多い可能性もあります。

問 20★★
介護保険適用サービス

これはむしろ福祉プロパーの方が詳しかったのでは?実際に介護保険に何が適用されるかというのは、地域包括支援センターやケアマネの方が詳しかったと思います。実際、福祉サービス専門家はさくっと回答していました。

問21★★★
T. Kittwood の認知症に関するパーソンドセンターアプローチ

これは心理専修者は「聞いたことがないのでは?」という印象を持ちました。従来認知症が
出題されるときには器質的な特徴が出題されることが多かったと思います。「パーソンドセンターアプローチ」ということで、正答とされるもの「身体的ケア」を選べなかった人も多いのではないかと思います。

問34★★★

対人援助職の「感情労働」って?それナニ?僕も初めて聞きました。これも社会福祉概念だ
と思いますが知人の福祉職(社会福祉士持ち)もこの問題にコケていました。

問39★★★

H. Gardner の多重知能理論

は知能理論には違いありませんが、わからん。試しに手元の心理学検定キーワードを調べて
みたら、多重知能理論の項目はあったものの、その記述だけで正答にたどり着くことはでき
ませんでした。

問 56★★

なんとなくカンで解けなくもない問題でしたが、学校保健安全法及び同法施行規則?を読んでいる受験生は果たしていたでしょうか。

(事例問題が問 59~問77午前問題なので事例は今回すっ飛ばします。)

問96★★★

Clinical Dementia Rating (CDR)
ナニそれ?介護に使われる心理検査です。今回の試験のテーマは認知症の細かい知識です
ね。

問99★★★

「文部科学省が示した小学校段階のキャリア発達の特徴」これを知っている受験生がどれだけいたことか・・・

問100★★★

教育現場におけるキャリア・ルーブリックという単語をみなさんご存じでしょうか。

問108★
まあこれはアルバイト経験がある人はなんとなく答えられる人はいたと思いますが、「労働
基準法にいける年次有給休暇」これは国家資格である公認心理師問題と言えるのか…いや、
心理の問題なの?むしろ社会保険労務士の問題ではないかと思った次第です。

問114★★
U. Neisser が仮定する5つの社会的自己に関する問題です。ちなみに手元の心理学検定キーワードでは名前だけは出てきますが、ここまで詳しくは書いていません。 

問122★★★

学校教育法施行医規則による規定に設置されていないのはどの職員か?はやはり心理問題と言いにくい…教育法学を勉強しなければ

問125★
J.E.Marcia によるい自我同一性地位に関する設問「えいや」っとカンで解けるかもしれない…問題です。心理学検定には掲載されていません。

3.講評

以上、問題の質の吟味に迷うところは割愛しましたが、これが「国家資格である臨床心理学
の専門家」を選別するための問題なのかどうか、については疑問が残ったところです。とり
あえず法律は関係法規を徹底して読み込むことが求められるようです。したがってひなたチルドレンもどきの連中もこの試験に関してはかなりぶうたれていましたし、実に賢い選択をしたと思われる、僕とは無縁に自分でどんどん熱心に勉強を進めていた人たちも高得点が取りにくい試験だったという感想を述べていました。

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