カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

専門総合公認心理師って何?

公認心理師二階建て資格創設の可能性については、日本心理臨床学会の臨床心理士重鎮たちが前回のシンポジウムで述べ、日本心理学会の「公認心理師の会」は上位専門資格の認定を活動内容の中に正式に記載しています。

そういった上位専門資格は本当に必要なのでしょうか?

例えば医師には認定専門資格が数多くあります。

精神保健法指定医、内分泌代謝化専門医、整形外科専門医、レーザー専門医、アレルギー専門医etcいくらでもあります。

ただ、心理職を数多く細分化する必要があるのでしょうか?

専門資格を取得する、そうでなければ仕事ができないとみなされるほど公認心理師のレベルが低いのなら、公認心理師の試験をやる意味も国家資格にする必要もありません。

相当高度化されないと信頼されないのなら、いっそのこと公認心理師制度を廃止したらいいだろうと思います。

医療の世界では、がん患者さんの血液検査結果を読み込み内科的治療と同時並行で麻酔科医が麻酔をして外科医が手術、放射線治療をして、術後に精神腫瘍科とリハビリ科がフォロー、確かにこれは各専門家が協働しないとできないことです。

ですが、心理職にはそういった専門細分化機能をきわめて高度なレベルで求めることに一体何の意味があるのでしょうか?

専門上位資格を持っていればその分野では当然心理師としての採用は有利になるでしょう。

逆に専門上位資格がなければ不利になるということも十分考えられます。

駆け出しの給料が安い心理職を考えてみましょう。

月曜日は企業の非常勤カウンセラー、火曜はスクールカウンセラー、水木金でクリニックの非常勤、この人は3領域の上位資格を取得しないとならなくなります。

心理職がその現場で働くのに必要なのは上位資格なのでしょうか?

ストレスチェックテストの講習はどこでも行なっていますし、産業領域の研究会、学会に入っている心理職もいます。

教育分野は数多くの学会があって、心理職へのコンサルテーション機能も充実しています。

医療でもほかの分野でも同じことが言えますが、心理職は自分がカウンセリングを前線で行うために数多くの技法を習得しています。

認知行動療法、弁証法的行動療法、ACT、精神分析、箱庭、来談者中心療法、フォーカシング、臨床動作法、EMDRと心理療法のその数およそ400、一人で複数の技法を習得している場合も多いのです。

学会やワークショップに参加して技術を習得、スーパーバイズを受けて、心理検査スキルを上げてさらに上位資格を保持し続ける余裕はあるのでしょうか?

クライエントさんに合わせて複数の技法を使い分ける技術はどの領域にも共通する大切な臨床能力です。

ひとりの心理師に取得資格が集中してパフォーマンスが低下、ガタガタになってしまえばクライエントさんにそのツケは回ります。

5領域の心理師に加えて専門総合公認心理師というのは誰の何のための資格なのでしょうか。

新公認心理師もクライエントさんも国民も不在でどんどん先走った制度構築をするのは心理関係の為政者だけの自己満足に見えて仕方ありません。


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◯ 公認心理師制度へのクライエントからの苦言

(※ 以下の文章は8割方の事実を含むフィクションです。)

先日、出身大学での集まりがあって顔を出してきたのですが、その中で院生のPさんと話す機会がありました。

Pさんは他大学他学部出身、就職、結婚を経てまた僕の出身大学の学部編入からやり直している人です。

なかなか見識が鋭い才女です。

彼女は僕よりちょっとだけ歳上なので君づけで呼ばれています。

Pさん「ひなた君、ブログ読んでるよ」

僕「ありがとう」

Pさん「私ね、実はこの公認心理師制度ってのには相当腹が立ってるの」

僕「どうして?」

Pさん「だって今までは臨床心理士だったらやらなくてもいい義務や縛りがすごくあるじゃない?主治の医師の指示とか?秘密保持義務に違反したら医者よりも罰則が重くて免許取り上げられるとか」

僕「よく勉強してるね」

Pさん「公認心理師は主治の医師の指示を受けるけど、急いで連絡して主治の医師が何も指示をしないうちに患者が自殺したら誰が責任とるの?医者は指示する義務はないんでしょ?」

僕「公認心理師が詰め腹切らされるかもね、よくPさん勉強してるね」

Pさん「私も公認心理師は受験しようか迷ってるし。私ね、精神科にかかってたときは自分に合う病院探していくつも病院変わったんだけどね」

僕「うん」
(詳しくは聞いてないけどPさんは以前会社員の時に結構なストレスを受けて長く精神科にかかったらしい、今受診しているかどうかは不明、それが元で心理を勉強する気になったそうです)

Pさん「医者が藪だとその下の心理ってたいてい藪だよね。なんでも医者の言いなりっていうか」

僕「よくそういう話聞くよね」

Pさん「昔通ってた病院、志があって病院経営に乗り出した院長がいてね、サテライトクリニックやグループホームや作業所作ってたくさん精神保健福祉士や臨床心理士雇っていた」

僕「立派な人だね」

Pさん「ううん、院長は患者にすぐ怒鳴ったり診察は最悪。自分じゃ精神療法できないのがわかってたから心理をたくさん雇ってたんだと思う」

僕「うん」

Pさん「でもその病院に通ってた時私をカウンセリングしてくれた心理のS先生はすごい人だった。『死にたい』って私がわあわあ泣き出したら『Pさんはいつも辛い思いしていたんですね。だから死にたくなっても無理ありませんよ』って、怒らなかった。否定されなかった。受け入れてくれた」

僕「いい先生に当たったね」

Pさん「でも院長には『甘えるな』ってやっぱり怒鳴られた。『Sのカウンセリングは甘いからってお前も甘えるな、俺からSを怒っておく』って言ったけど、S先生はその後も絶対に私を責めなかった。体を張って私を院長から守ってくれたんだと思った。だから私もカウンセラーになろうと思った」

僕「うん」

Pさん「患者にとっての心理の先生は、医者が何と言おうと患者の味方になって欲しいわけ、だけど公認心理師の規則はぎちぎちに心理を縛って、わけのわからない団体たくさん作って、すごく自由を奪ってるじゃない?締め付けがすごい。出来ることが少ない。了見が狭くて偉そうにしているだけの公認心理師なんかにカウンセリング受けたくないよ。ひなた君、私が言ってることそのままの言葉でブログに書いてよ。また『大幅に改変してます』って書けばいいじゃない?国家資格になったら魂売り渡して患者の味方しませんみたいなカウンセリング受けたくない」

僕「Pさんは『迷ってる』って言ったけど、公認心理師受ける気持ちになれる?」

Pさん「わかんない。臨床心理士は受けるかな。公認心理師は受けてもいいけど、受かっても自由にならない変なカウンセリングやらされるなら資格返上する」

僕「まだ時間あるから良く考えてみたらどうかな」

Pさん「違うよ、ひなた君何言ってるの?5年後に公認心理師制度見直すって書いてあるけど、5年後っていうのはもう今この瞬間からスタートしてるんだよ。時間なんかないよ。うかうかしてるとあちこちから寝首かかれるよ」

僕「わかった」

Pさん「自分が安定してないカウンセラーにカウンセリングなんか受けたくないしね。私も自分が不安定だったら資格取ってもその時はカウンセリングの仕事やらないよ」

※ 患者さんは自分の病気、受けられる治療制度、今どんな治療を受けているかを調べてよく勉強しています。

そしてカウンセラーのこともよく見ています。

「カウンセラーがどんな流派でどこで教育を受けたのか、所持資格は何か」インターネットで簡単に調べられる時代です。

公認心理師は取った、そのせいで腕が落ちた、患者さんを守ってくれなくなったと不信感を抱かれたら最悪です。

新しくなんらかのガイドラインができてなおさら縛り付けられて心理職としての信頼を患者さんから失って患者さんが傷つく。

Pさんの発言はあくまでも彼女なりの意見ですが、彼女の危惧が現実になってクライエントさんが傷つく。

そんな事態には陥ってはいけないと自戒して思うのです。

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◯ 依存症に公認心理師を活用できるの?

公認心理師制度が創設されたことで、ギャンブル団体を含む様々な方面から、公認心理師の活躍を期待する声が出ています。

公認心理師にはギャンブル依存を食い止めて欲しい、治して欲しい。

また、公認心理師推進ネットワークVoice には国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所薬物依存研究部 部長/自殺予防総合対策センター 副センター長
松本俊彦医師が「私は臨床心理士に期待している」という文章で、「薬物依存臨床は『おいしい』ぞ!」というタイトルで心理職への依存症治療への期待が語られています。

そこで僕が思うのは「ちょっと待って、公認心理師という制度ができたということは心理職を国家資格にしたわけで依存症の専門トレーニングが行われたわけではない。どうしてそんな話になるの?」という素朴な疑問です。

松本先生の文は面白くて好きなのですが、医師はドリフターズ診察しかできない、「眠れているか?死にたくないか?宿題やれよ、また来週!」だから心理に本格的な依存臨床を任せたい、依存治療研究をすれば立派な論文も書ける、それはその通りだと思うのです。

それでは予算は?心理職が依存症治療にマトリックス・モデル、動機付けが低い依存症患者への動機付け面接を行う、SMARPPやCRAFT(Community Reinforcement and Family Training)を行うことが可能なのはそれだけの先進的治療を行うことが可能な教育研究機関で研修を受けなければ無理ですし、依存症対策の臨床家の心理職をどんどん留学させてくれるの?国内でもいいから公費負担で学習できるの?というとそんなことはないわけです。

公認心理師制度が発足したからといって、松本先生が期待しているように保険点数に心理職の関与が算定されるかどうかはわからないことです。

依存症専門の病院も多いですが、セルフヘルプグループ、自助団体からの脱落者も多いです。

依存症も細分化されていて、物質嗜癖addictionのほか行動依存として買い物やゲーム依存もあって、依存症治療だけでもとても手は回り切らないでしょう。

「国からこれ以上出す金はない、公認心理師制度ができたから関係団体は心理職からカネを取る、国民は期待しているからそれを受けて自腹で学習して治療に当たれ。」

公認心理師が創設されたことで国民の期待が高まっているという雰囲気はクライエントさんを通じても確かに肌に感じます。

クライエントさんは治りたい、治したい、家族は病識がない患者さんが死ぬ前になんとか直して欲しい。

そういった期待は臨床の現場にいる心理職は痛いほどわかるでしょう。

エビデンス・ベースド・モデルでない精神分析で箱庭でも患者さんはどんどん良くなっていますし、その検証も行われつつあります。

僕も心理の端くれとして、全く違った技法で過食も物質依存にも効果的なアプローチや研究ができるだろうという自信はありますが、それはなんらかの時間的な余裕やチャンスが与えられれば、の話です。

CBT認知行動療法モデル研究ならそれをやってみる、RCT(無作為抽出試験)で効果検証をやる、他の方法もやってみる、研究の予算も時間も十分に取った上で心理職に力をつけさせないと難しい課題を目の前に突きつけられています。

栄養は与えないけど全力疾走してねと言われるだけで、公認心理師関係団体がそれじゃやりましょうと安請け合いしないことを望むばかりです。

この制度はあまりにもぐらつきがまだ激しい。

少しの刺激がシステムの根幹を揺るがすようなことが、あってはならないと考えています。


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