ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

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◯ 産業場面の公認心理師がハラスメント事案に期待される役割

パワハラ、セクハラ、マタハラ、アカハラ、ドクハラ・・・とハラスメント行為は数限りなくあります。

厚生労働省はパワハラ対策導入マニュアル第4版を出していて、76ページもある資料なので読むのが困難かもしれませんが、どの通達やパンフレットから公認心理師試験が出るのかわからないので目を通しておいた方がいいかもしれません。

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/jinji/download/

ちなみに僕がツイッターでつぶやいていた冒頭の写真は「死ね」と言い続けた上司が書類送検された事案に関するものです。

パワハラはどの企業でも起こりえます。

本社機構には産業医が常駐していたとしても、小売業だと店長が長時間労働や過大なノルマを要求されていても社内のどこにも相談窓口がないです。

仕事を全く与えずリストラ候補者を「再就職支援室」のようなとパソコンも電話もない一角に閉じ込めた企業はうつ病を発症した社員に対して裁判で損害賠償を命じられました。

大手広告代理店の新入社員に対するパワハラ事件は、スポンサーから靴でビールを飲まされ、その会社の営業マンは接待を自腹でする事が多かったというブラック体質でした。

東大や早慶卒の次々と優秀な新入社員が辞めていく事でもその会社は知られていましたが今はどうなのでしょうか。

精神疾患を発症したり死亡したとしても誰も支援しない体制が社内で当たり前になっている事は大きな問題です。

有名企業でもパワハラ的ノルマを要求する会社はあり、前月比140パーセントを常に要求する会社もあります。

前月比120パーセントだと落第、160パーセントで合格です。

新進気鋭と言われてあらゆる業種に手を伸ばしているコングロマリットもワンマン社長の下だとかなりのプレッシャーを社員たちは感じざるを得ないでしょう。

パワハラの6類型のうち、身体的暴力に準じているのがクリップボードを床に叩きつける、誰も座っていなくても執務室内の部屋の椅子を思い切り蹴る、という威嚇的行為が行われることがあります。

部下や新入社員もいる前でベテラン社員を怒鳴りつけるのは精神的パワハラでしょう。

パワハラは上長から部下に対して行われるだけではありません。

転勤してきた課長に「課長だから何も言わなくても何でもできるでしょ?」と何も教えないのは部下から上司に対するパワハラです。

公認心理師は法律分野も出題されます。

こういったパワハラは民法709条では不法行為として規定されます。

そしてこの不法行為を行っても何ら企業から救済がなければ民法415条の債務不履行に当たります。

民法715条の使用者責任、労働契約法5条の安全配慮義務、さまざまな法律違反があってもそれを改善することができなければ労働基準監督署への相談、裁判官が決定する労働審判も活用可能です。

不当解雇には仮の地位保全処分訴訟を提起できます。

さて、パワハラでメンタルダウンしてきた社員が公認心理師のところに相談に訪れて来たとします。

その際「ここに相談するといいですよ」「こんな方法もあります」「弁護士さんのところに相談に行きませんか?」等具体的アドバイスは公認心理師試験では全て不正解として扱われるでしょう。

ただ、実際にはせめて産業医を通じて、また、心理職自身が上長と話すことで解決の糸口が見えて来る事例は多いと思います。

心理職は相談者に対してサイコロジカルなカウンセリングを行っていてもどうにもならない事が多いです。

ただ漫然と相談に乗り続けていると「これまでの自分が甘かったのでこれから全力で頑張ります」という間違った洞察に導いてしまう危険性があります。

心理職は何ができるのか、何がその人にとってメリットになるのか、何でもかんでも制度紹介をすればいいというものではないですが、心理職ができない事については、せめて総合労働相談コーナーがある事は伝えてもいいかと思います。

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◯ 公認心理師・臨床心理士は新型うつに対処できるか?

10年近く前から「新型うつ」ディスチミア親和型うつ病は果たしてうつなのか?それとも性格の問題なのか?

という大論争が精神医学界で行われていました。

SSRIのような抗うつ剤が効きにくい、職場や学校ではぐったりしているけれども自由時間になると元気になる、友人と飲み会に行ったりカラオケに行ったり、果ては病休をもらえたから海外旅行に行ってパラグライダーに行ってしまう。

これは従来型のうつとは違うから何なのか?治療法はどうしたらいいのか?

社会問題ともなり2012年には「職場を襲う“新型うつ”」というドキュメントがNHKで放映されていました。

うつで休職する若い男性、仕事外では元気でブログに自分の上司を名指しして病気にした犯人扱い、それに共感した現代型うつの人たちがオフ会で集まります。

そこに登場した「現代型うつをもっと詳しく知りたかったから」と登場した臨床心理士!(というところは突っ込みどころ満載なのですが)新型うつの人たちを「精神的に幼い」「未熟」「批判されると攻撃する」「思い込みにとらわれる」等舌鋒鋭く批判をします。

臨床心理士が患者さんの集まるオフ会に専門知識を披歴するために参加することも、こうやって他者集団を批判することはないわけですが、「結局この『新型うつ』とは何だろう」という疑問は抜けていないわけです。

これを人格の未成熟と見るか、他者への共感性の欠如は発達障害そのものでなくとも発達障害と重奏するのか、果ては攻撃性の強さは境界性パーソナリティ障害の一種ではないかという論説まで出ていました。

最近の精神医学界は新型うつを双極性障害(躁うつ病)の一亜型として見る動きもあります。

確かに双極性障害の人たちも基底気分にイライラや抑圧感情を持つタイプの人々もいて、普段はぐったりして動けないほどの双極うつになっている人もいます。

それを「未熟」と切って捨てたら患者さんが反発してカウンセリングからは離脱してしまうでしょう。

また、双極性障害研究の権威Akiskalが提唱した双極スペクトラム障害の可能性もあるのではないかと指摘する専門家もいます。

抗うつ剤への非反応、非定型うつに酷似した症状はいかにも双極性スペクトラム障害に新型うつは近似しています。

双極スペクトラム障害は時として抗うつ剤に反応して気分が高揚する軽躁状態になる(医学的に確立していませんが薬物反応性双極障害の「双極Ⅲ型」かもしれません。)

ただし、精神医療の現場では医師が「双極スペクトラム障害ですね」と言われても患者さんも?となるでしょうし、まだ双極スペクトラム障害が学術的に完全に確立した疾患単位でもないのでそうは言い難いわけです。

それでは心理職がどうやって新型うつと対処したらよいでしょうか。

新型うつは20代から30代が中心と言われて来ましたが、僕の臨床的感覚からは40代、50代の適応障害の人たちにも多く新型うつの人たちが混ざっているような気がします。

新型うつという概念が確立していないにもかかわらず、心理職は心理教育をする役割も持っています。

患者さんが自己認知や対人関係認知にどういった特質を持っているのか伝えなければならないです。

こういった際には「◯◯病」と断定をしない、患者さんの性格特性を見て、さらに適応性を高めるためのアドバイスができる心理テストの活用は有効でしょう。

精神科医林公一氏は新型うつ/擬態うつが精神医学の現場に出現したことによって、従来型うつとの鑑別が難しくなるとうつ病と他疾患概念を包含しているであろう新型うつで、治療が困難になる可能性を指摘していました。

診断は医師の専権行為(といっても公認心理師試験には出ますが)なので、患者さんの状態像に合わせた投薬治療をしてもらう。

そして心理職は「ニセうつ」「なんちゃってうつ」と言われてしまうようなこの人たちの心理状態をきちんと理解して否定的にならない事が大事です。

患者さんが持っている「うつ病」という認知も否定せずにその場できちんと対応していくという姿勢が大切ではないかと思います。

参考文献;

1.多様化したうつ病をどう診るか 野村総一郎編集 医学書院

2.「新型うつ病」のデタラメ 中嶋聡 新潮新書

3.擬態うつ病/新型うつ病 実例からみる対応法 林公一 保険同人社

※ ブログタイトルを変更してみました。評判が良ければこのままにしますが悪ければ戻します。

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◯ 試験対策・看護師もなみさん公認心理師に言及&脳科学復習

(会話部分は実話を元にしたフィクションです。)

も「このブループリントやら公認心理師試験の過去問から見るとずいぶん本格的な医療知識が要るのねえ」

僕「はあ」

も「医療法とか出てるじゃない。病院と診療所は20人の入院が可能かどうかとか、心理カウンセリングに関係あるの?」

僕「うーん、とは言え試験範囲ですから。」

も「医療事故は確かに医療者の基礎知識だけど、予測していなかった患者の死は医療事故とか、ヒューマンエラーとか
やっぱりカウンセリングに関係あるのかしら?」

僕「うーん、あるのかないのか」


も「医療保険制度とか、介護保険とか、審査支払機関がどこかとか、これ、医療事務にも関係しているわねえ。後期高齢者の一般費用は知ってる?」

僕「4万4千円ですかね」

も「そうね。公衆衛生学とかも出るのかしら」

僕「将来的には多分」

も「精神科の特徴として入院と外来のどっちが多い?」

僕「外来?」

も「いや、入院27万通院26万人ね。医療安全とかも出てるみたいね」

僕「うん」

も「事故防止型の医療、インシデント分析、報告、KTY(危険予知トレーニング)、5Sは整理、整頓、清掃、清潔、躾、インシデントとアクシデントの違いは?」

僕「ヒヤリハットか医療事故か?」

も「公認心理師って医療職なのかしらねえ」

僕「いやそんな権限ないし」

も「手指消毒は第2回で試験範囲から外れたけどスタンダードプレコーション(感染症予防のための標準予防策)とかどこから出されるのかわからないわねえ」

僕「カルテ、診療録なんかの書き方は確かに関係するかな?って思いますけどね」

も「最近は電カル(EHR、医療電子記録)も当たり前だしPOS(問題志向型システム)やPOMR(POSに従った記録)とか、SOAPも出てるのね」

僕「はい、何がなんだか」

も「医療倫理も出るかもねえ。医療倫理の4原則やJONSENの4分割法とか」

僕「いちおう出なさそうにはなっているんですけどね。あと公認心理師の医療介入保険点数化は出るかもしれませんね」

も「緩和ケアサポートが出ていればサポートチーム、精神科リエゾンチームやNTS(栄養サポートチーム)とか?」

※ これからの公認心理師試験には一般医療知識はまだまだ網羅しなければならない分野も多そうです。

脳科学について記載してみます。

学部レベルで学ぶ失語症のウェルニッケ失語(感覚失語)と左前頭葉言語中枢ブローカ失語(運動失語)は出そうですし、脳梗塞や脳溢血を起こした際の頭頂葉や後頭葉部位による機能障害についても出題されそうです。

後頭葉損傷は視覚障害に関連します。

側頭葉は記憶のみでなく、ダメージを受けると聴覚機能に影響します。

脳梗塞は脳の様々な部位に障害をもたらし、失語、失行、失認現象が起きます。

病識は脳梗塞では著しく低下、病態失認では半身不随も否認します。

「わざと施設から出たくてやっている」わけではなく本当に患者さんはそう感じているので、病識がないのに運動機能や認知機能に障害があることを指摘されると怒る人も多いです。

半側無視は左側に起きやすいですが、病変部によっては右にも起きます。

リハビリテーション医学で心理師もかかわりそうな高次機能障害の特徴はとらえておかなければならないでしょう。

前頭葉前頭前野は理性、注意を促し、大脳辺縁系では扁桃核はPTSDで縮小します。

東日本大震災後の科研費研究では沿岸部の住民ほど扁桃体が縮小しているという結果が出ていました。

前頭前野は感覚に結びついていないので脳内の働きがないと思われていた時期もありますが、特にワーキングメモリー機能(動作記憶)には大きな影響を与えます。

海馬(記憶)の縮小も見受けられます。

また、性欲を司る視床下部(既出)その他前帯状回は全て大脳辺縁系です。

脳下垂体、小脳が脳幹に接していて運動機能に関連していること等どこから出題されるかは不明なので、脳全体は出題範囲と考えておくといいかもしれません。

脳に関してはこれだけでもまだごく一部しか触れていませんので、今後また機会があれば記事にしたいと思います。

参考文献:脳科学と心の臨床 岡野憲一郎著 心理療法家家・カウンセラーのために 岩崎学術出版社

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